軍務医官になった。
軍務医官になるとは、思いもしなかった。
日本皇国憲法が施行されてから数十年が経っている。
もう、軍があることは当たり前であるし、月面県が独立すると言って騒がしいのも日常茶飯事である。
手野大学医学部を出て、それからしばらくは実家に身を寄せていた。
開業医である両親は、俺がやってきてしばらくは手伝いをさせていた。
だが、数年後、俺は独立するための資金をため、実家から出た。
さらに数年たつと、医術の腕がどんどんと上がっているのが分かった。
ほとんど一瞬で病名を言い当てられるというのは、もはや超能力の域だと言われる。
それだからか、軍務総省から呼び出しを受け、軍務医官として受け入れたいと言われたときには、驚いた。
戦場、それも銃弾飛び交うような野戦病院では一瞬で判断することが必要らしい。
そこで俺は活躍することとなった。
今では、医務大佐として活動している。