僕がなくした大切なもの
1
おち○ちんをなくした。エルッピ!エルッピイ!そして僕は旅に出た。
しかしおかあちゃんにひきとめられて、ようやくウチまで帰ってきたら、
晩ご飯ができていて嬉しくなった。
「今日は、たけのこご飯よ」
おかあちゃんは何もいわない。しってるのだろうか、ぼくが男じゃなくなったこと。たけのこはおち○ちんを連想させる。大きく育て。エルッピイ!
2
翌日学校へ行くと、ユリがにこにこしながら話しかけてきた。
「チョコ食べた?」
「うん、たべたよ」
「どうだった?」
「おいしかったよ」
「どうしたの?元気なさそうだけど」
「いや、そんなことないぞ。今日もびんびんだ」
「馬鹿!」
チョコは告白のかわりで、僕への愛のメッセージなのだ。
そして来月のホワイトデーまでに返事を求められる。エルッピイ!
しかしぼくにはおち○ちんがない。きのうなくなった。
だからユリとつきあえない。
だけどとりもどさなければならない。ぼくのだいじなおち○ちん。
3
きのうのことをかんがえた。チョコもらってうきうきかえる途中、いきなりビームにあたってたおれた。
へんな乗り物にのせられ、ほっかむりの女の子にいきなりとられてしまった。
「かえしてくだせえ!おらのおち○ちんかえしてくだせえ!」
江戸時代の百姓のように、僕は涙ながらにうったえた。
女の子は「ふん、こんなもの!すててやる!」といっておち○ちんをにぎったままどこかにいってしまった。
それから僕はおきあがり、旅にでた。でもたけのこごはんだった。
4
しかたなくぼくは職員室に行って、担任の山本先生に相談することにした。
「先生、ちょっと相談があるんですけど」
「なに?」
「ちょっとここではいえないんです」
「うん?じゃ、相談室いこっか」
「はい」
僕と山本先生は相談室に入った。山本先生は若くていい匂いがする。僕はいつも授業の時は先生を使って色々想像してたのしむ。
「で、相談てなに?」
「じつは・・・ぼく、おち○ちんなくなっちゃったんです」
ミス山本の顔が真っ赤になった。ああ、おこっちまった。もうだめだ。おだいかんさま。
でも先生は先生らしく、根気強く僕の先生であろうとしてくれた。
「何をいってるの?からかってるの?」
「いえ、ほんとうなんです。みてください、ここのところ」
僕は股間を指さした。
「あら?」
先生は気づいてくれたろうか。
「へんねえ?」
「男の子なのに?」
「ちょっとさわってみてください」
そういって僕は先生に股間をさしだした。先生はおそるおそる僕の股間に手を伸ばした。
「あら?何もないわ。どうしましょう」
「そうなんです。困ってるんです」
僕は先生に昨日のいきさつを話した。
「探しにいきましょう!いますぐ」
「はい。」
僕と先生は一緒におち○ちんを探しに行くことにした。
5
校門を出るとき、ユリに会った。
「どこいくの?先生と2人きりで」
「ちょっとさがしもの」
「何?何なくしたの」
「大事なもの」
「私もいく」
「だめだよ」
「なんでよ」
「君とはいけないんだ」
「なにそれ?あたしじゃだめだっていうの?それがチョコの答えなの?」
「ちがうよ。とにかく、今日はだめなんだ」
「もう知らない!」
ユリは僕に背を向けてぷいといってしまった。
「みつかったらあとであやまりなさいよ」
先生が優しく言った。
6
「まずどこいこうか」
「昨日とおなじ帰り道をあるいてみます」
「そうね、それがいいわ」
僕たちは学校を抜けて、坂道をおりはじめた。学校は山の上に作られていて、自転車通学者を苦しめている。僕は家が近いから、徒歩通学なのだ!エルッピ!
「手がかりありそう?」
「もうちょっと歩きましょう」
坂をおりて、T字路を左に曲がる。文房具屋と駄菓子屋とポルノショップを越えると細い道になる。
「このへんで倒れたの?」
「そうです」
「じゃ、倒れてみて」
「え?」
「昨日と同じことすれば何かわかるかもしれないでしょ」
「わかりました」
僕はたおれた。すると空から強い光が差して、僕と先生を吸い込んだ。エルッピ・・・。
7
「ここはどこだろう」
「いらっしゃい。よく来たわね」
ほっかむりが僕をのぞきこんでいる。
「あ!昨日の!僕のおち○ちん返せ!」
「馬鹿ね。あなたって」
山本先生は倒れて眠ったまま動かない。
「馬鹿?馬鹿はそっちだろ!人のおち○ちん勝手に取っておいて」
「もうすぐよ」
「何がだ」
「胸に手をあててごらんなさい」
僕は胸に手を当ててみた。なんだか、いつもより柔らかい。
「どういうことだ?」
「まだわからないの?まあいいわ。昨日あなたからもらったコレ、どうしようかしら?」
「返してくれ!」
「どうしてそんなに返してほしいの?」
「僕は男だからだ」
「ふうん、ほんとにそうかしら?」
ほっかむりの女の子がくすくす笑う。
「もういちど胸に手をあてて考えてみなさいよ」
僕は言われたとおりに胸に手をあてた。やっぱりいつもより柔らかい。
「ほらね」
僕は何のことかわからない。
「返してくれ。返してくれないと困るんだ」
「いいわよ。返してあげる。明日学校に行ったら、あなたの下駄箱の中をのぞいてみなさい。」
「どうやってつけなおしたらいいんだ」
「そんなのわかるでしょ?男なら。クスクス」
彼女は弁当箱ほどの小さな包みを出した。
「こんな箱に入ってるわ。明日せいぜい勝手に付け直しなさい。じゃ、ばいばい」
そういうとまた光が僕たちを包んだ。
8
気がつくと歩道の真ん中で倒れていた。
「先生、起きてください」
「ん?何?ここどこ?」
「道の真ん中ですよ。帰りましょう」
「で、みつかったの?」
「はい、だいたい」
「そう、よかったわね。あら?でもあなた・・・」
先生がはっとして僕を見る。
「どうしたんですか」
「いいえ、なんでもないわ。さようなら」
家に帰って風呂に入った。明日はきっと元通りになるだろう。
9
次の日、学校に行った。下駄箱をのぞくと上履きの隣に小さい箱があった。昨日見たやつと同じだ。
「あった!」
僕は大事に箱を抱えて、とりあえず人のいないところにいった。
「ここなら大丈夫だろう」
体育準備室。
僕はおそるおそる箱を開けた。
「あれ?」
何も入っていなかった。どういうことだろう。
僕は何がなんだかわからなくなった。
10
「ユリ、たいへんなんだ」
僕は目に涙をためて、ユリを見つめた。
「なにが」
「僕、女の子になっちゃったんだ」
ユリは無言で僕を教室から連れ出し、保健室に連れて行った。
「もう一度言って。何だって?」
「ぼくおんなのこになっちゃったんだどうしようおち○ちんなくなっちゃったんだ」
ユリは僕のあわてぶりにも関わらず、にこっと笑って言った。
「そう。おめでとう。やっとあなたも女の子になれたのね。遅いくらいよ。今までずっと男みたいだったものね。これからはそんな学ランなんて着るのやめて、セーラー服着てきなさいよ。おばさん言ってたわよ。セーラー服買ったのに、お兄さんの学ランをずっと着てるんだ、困ったって」
「何をいってるんだ。僕は・・・」
「あなたの名前は?」
「田中晴男・・・」
「違うわ。それはあなたの死んだお兄さんの名前よ。お兄さんが死んで、男の子がいなくって、おばさんとおじさんずいぶん悲しんでたわ。あなたの兄弟って、1男6女だったから。だからあなたはそれを見て、ずっと自分が男にならなきゃ、って思ってたのよ。でももうそれも終わりよ。本当の名前を取り戻しなさい」
「ぼくの、本当の名前?」
「あなたの、本当の名前は、田中理沙。れっきとした女の子じゃない」
「ぼく、女の子?」
「そうよ。いらっしゃい、そしておめでとう」
ユリがそう言うと、保健室のドアが開いて、クラスメイトの女子が拍手して出てきた。
「おめでとう!理沙ちゃん!」
「おめでとう!」
ぱちぱちぱち・・・
「これからたのしいこといっぱいよ」
ぼくはぼうぜんとした。
「しらなかった。ぼくが女の子だったなんて」
「いいのよ。だってもう思い出したんだから」
「そっか・・・そうだったんだ・・・。じゃ、なんでユリはチョコレートをくれたんだろう」
「何も考えなくていいのよ」
ユリはぼくに近づき、顔にキスをした。