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賢者の剣  作者: 陽山純樹
世界を救う者

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気になる話

 神霊アズアと顔を合わせた後、次の目的地はあっさりと決まった。それはアラスティン王国……カナン王がいる国だ。


「ソフィアから伝え聞いていたけど、星神との戦いにおいて物資面で協力してくれているみたいだ」

『カナン王自らが動いたわけではないが、その助力がなければ星神の研究が今ほど進むことはなかっただろうな』


 というわけで、そのお礼を言うのも兼ねて国を訪れた……魔王との戦いの最中に将軍達を救うために訪れたことに加え、戦いの後で旅をしていた時も訪ねたことがあったけど……その時と比べてもだいぶ町も復興しているな。


 で、問題が一つ……以前ならソフィアが一緒にいたのであっさりと謁見できたのだが……ここまでの旅路と違って王様に会おうとしているわけだし、さすがに厳しいかなあと思っていたのだが、


「あっさり通してくれたな……」


 門番の人に駄目元で事情を説明すると、話を通してくれて……簡単に城へ入ることができた。

 そして訪れた玉座の間には、カナン王がいた。その傍らにはボスロ将軍の姿もあり、ここで将軍を死なせないよう立ち回っていたことが思い出される。


「ようこそ、ルオン様」


 と、カナン王は俺へ告げる。


「もし事前に言っていただければ、歓待の準備をしたのですが」

「さすがにそこまでさせるのは申し訳ないですし、今回は挨拶程度ですから」


 こちらは答えた後、まずは頭を下げた。


「星神との戦いについて、一切の事情は知っているはず……ここまでご支援いただき、まずはお礼を」

「私達は当然のことをしたまでです。星神……世界を滅ぼす存在であるならば、当然私達も攻撃の対象に入っている。故に、手助けするのは当然のこと」


 カナン王はそう述べた後、やや硬い表情を示した。


「私達としては支援しかできませんが……」

「それで十分すぎるので」

「そう言っていただけると、嬉しいです。星神との戦いが終わるその時まで、私達はあなた方の支援をすることを約束します」

「ありがとうございます。おそらく次の戦いが最後となります。その時まで、よろしくお願いします」


 ――挨拶を終え、俺は城を離れた。もしソフィアがいるとしたら歓待を受けていたかもしれないが、今日はなしだ。


『ルオン殿、次はどこへ向かう?』

「フェウスの住処だな。あ、その前にサラマンダーの住処へ行くか」


 ということで進路をそちらに……色々と回っているが、魔王との戦いに関する旅路については後半に差し掛かっているか。

 フェウスと話をしたら次は……と、頭の中で今後の計画について算段を立てつつ、俺はひたすら目的地を目指したのだった。






 まずソフィアと契約をしていた精霊サラマンダー、レザディと再会する。彼もまた支援するべく準備を進めており、魔王城へ向かおうという段階だった。

「フェウスはまだ住処にいるのか?」

「ああ、近日中には離れると聞いている」


 ギリギリだったみたいだな。今後、俺は大陸外にも赴くことになるが、その場合入れ違いで目的の人物と会えないなんて可能性もありそうだ。

 ま、最終的に合流するわけだから別に問題はないだろうけど……俺はレザディに協力の礼を告げると、次はフェウスのいる場所へ赴いた。


 そこにいたのは、不死鳥としての姿ではなくて女性としての姿をとったフェウス。


「もしかして、ここに来るのに気付いて変化したのか?」

「ええ、そうよ」


 にこやかに――フェウスは俺の質問に答える。


「威厳を持たせるために元の姿になるケースもあるけど、相手があなたでは何の意味もないし」

「まあ、フェウスのことは知っているからな……で、レザディから魔王城へ行く寸前だと聞かされたんだが」

「ええ、近日中には向かって、そこでさらに準備を進めるつもりよ」

『我も同じタイミングで行くことになる。アズアもそうだろう』


 ガルクが続く。俺は小さく頷き、


「とはいえ、まだ決戦は先だと思うけど」

「それだけ余裕があるなら、私達が責任を持って準備をしておくわ。可能な限り、万全に」


 心強い神霊の言葉……と思っていると、フェウスは小さく息をついた。


「けれど、果たして万全なんて言えるのかしら」

「……どうした?」

「星神という存在は、私達神霊から見ても恐ろしい存在よ。それに対抗するため、あなたは戦い続けていたわけだけれど……正直、私達が行う全力の準備でも、おそらく足らないはず」


 ――まあ、星の力そのものを相手にする以上、フェウスの見解が至極まっとうだ。


「現状、できる限りのことはするけれど、それが不十分だった場合――」

「相手が巨大すぎて全容が把握できないような相手なんだ。いくら神霊であっても、そこは仕方がないさ」


 俺は肩をすくめつつ、フェウスへ言った。


「神霊達は、できることをすればいい……後は俺がなんとかしてみせるさ」

「……あなたに負担を強いるのは心苦しいけれど、お願いね」

「ああ……よし、挨拶は済んだし俺はもう行くけれど……」

「ええ、次は魔王城で会いましょう」


 ――俺はフェウスの住処を出て、次の目的地へ向かうことにする。


『次はナテリーア王国か?』

「そうだな。たぶんだけど、そこにクウザがいるような気がする」


 あの国については、魔王との決戦後、旅をしていても訪れることはなかった……町の様子などを見て回っても良いかもしれない。

 ということで、俺は移動魔法を使い……その道中、ガルクは気になる話をした。


『ルオン殿、我の本体も魔王城へ移動をする……それと、魔王城周辺を我が分体が調べているのだが』

「何か見つけたのか?」

『そう大層なものではない。岩に擬態した建物みたいな物があったのだが……』

「建物?」

『中を調べてみたが、何もなかった。ただ魔力の残滓はあった。おそらく、武器か何かを貯蔵していたようなのだが……』

「武器……?」

『しかも武器と言っても、魔王由来のものではない。天使の遺跡に存在しているようなアーティファクトに近しい魔力だ』


 なんだか気になる話が出てきたな……。


「ガルク、片手間でいいから調べてくれないか?」

『無論だ。何か進捗があれば報告しよう』


 武器……天使に由来する物であれば、魔王が用意していた物だろうか?

 新たな疑問が生まれつつも、俺は進路を変えることなくナテリーア王国へ移動し続けた。


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