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賢者の剣  作者: 陽山純樹
世界を救う者

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強引な旅

 最終的に、ガーナイゼには二日滞在した。というか、結局色々な酒を飲まされた結果、見事二日酔いになってしまったのだ。


「どれだけ鍛えても、酒は強くなれないな」

『そういう問題の量ではなかったと思うが……』


 ガルクがツッコミを入れてくる。記憶を失うほど飲んではいないけど、確かに言われてみれば量が結構多かった気がする。


『ふむ、ああいう大騒ぎというのは見ていて面白いな』

「自分は完全に外野だから好き放題言えるな……」

『ははは、とはいえ今回の戦いが終われば、同じように騒ぐのではないか?』

「さすがに今回みたいな量の酒を飲むとは思えないけどな……」

『それでルオン殿、次はどこへ向かう?』

「ガーナイゼに立ち寄ってソフィアが修行している間に、一つイベントをこなした場所……タウレザ王国だな」


 そう言って俺は魔法を使用。一気に駆け抜けることとなった。






 タウレザ王国……そこで関わったイベントにより、神官戦士リリシャを俺は救ったわけだが、そこを統治していた伯爵を打倒することとなった。俺としてはイベントを回避することを優先したため、その後どうなったかとか、ほとんど知らないのだが……現地を訪れると、ずいぶんのどかな光景が広がっていた。


「とりあえず伯爵がいなくなって混乱していることはないか……まあ国が動いたんだろうな」


 ひとまず、リリシャと顔を合わせてみる。そこで彼女は来訪に驚き、なおかつ俺の話を聞いていることもあって幾度となく頭を下げた。


「今回ここに来訪したのは?」

「ああ、それは――」


 簡単に事情を説明する。大きな戦いがあるということで、リリシャとしては険しい表情となった。


「私も何か手伝えればよいのだけれど……」

「大丈夫、ありがとう。そちらは魔王との戦い以降はここに戻り活動していたのか?」

「ええ、ようやく町も落ち着きを取り戻した感じね。新しい領主様もようやく慣れてきたし」


 きっと、色々大変なことがあったのだろう。まあそれは当然か。


「何かおもてなしができれば、と思うけれど」

「いや、町の様子を見てすぐにここを発つつもりだったから。大変だろうけど、頑張って」


 リリシャが頷いた後、俺は町を去る。そして次の目的地は、


「えっと、この後五大魔族との戦いがあり、その次は対策のためにガルクの住処とか、一時帰郷とかあったけど……目指すのは、ウンディーネの住処だな」

『アマリアはそこにいるはずだ』

「なら、一応五大魔族の居城がどうなっているのかを確認しつつ、アマリアに会いに行こう」


 そう決めて、俺は再び移動を開始した。






 ――そうして、俺はウンディーネがいる森へと到達した。そこは以前訪れた時と何も変わっておらず、俺のことは精霊達も知っているためあっさりとアマリアのいる場所まで通された。


「元気だったか?」

「ええ、もちろん。そちらも……大丈夫そうね」

「レーフィンやアクナから聞いているけど、今回は精霊も戦いに参加する……アマリアも同じでいいんだよな?」

「もちろん。現在準備を進めていて、近日中にここから出立する予定になってる」

「もう現地へ向かうのか?」

「こちらとしては色々と準備があるから」


 準備か……それはもしかすると、精霊達の力を結集して、とかそういうものかもしれない。


「ルオンは私と会った後はどうするの?」

「アズアのいる場所へ向かおうかと考えているけど……アマリアは連絡とかとっているのか?」

「常にというわけではないし、今はそれぞれ準備をしているから、後は現地で合流して話し合う、ということにしているけど……」

「ガルク、何か聞いているか?」

『我も準備をしているくらいしか聞いていない。しかし、現地へ向かうなら連絡をしてくれと指示はしていた故、おそらくまだ住処にはいるだろう』


 なら、すれ違いになるというわけではなさそうだな。


『ちなみにだがルオン殿、以前会った時に訪れた海底洞窟へ行こうとしているのか?』

「ああ、そのつもりだけど……もしかして、住処が変わっているのか?」

『いや、もし当該の場所にいるのであれば、こちらから呼びかけて外に出てきてもらうという手段もあるが』

「あー、その方が面倒なくていいな。ガルク、海岸に着いたら呼びかけてもらえないか?」

『承った』


 ガルクの了承後、俺は再びアマリアと話をする。


「星神との戦い……危険なものではあるけど、その覚悟はあるんだよな?」

「もしものことがあっても大丈夫なよう、準備をしているから」

「そっか……その準備が活かされないことを、祈ろう」

「ええ」


 にこやかに……アマリアは俺に向けて答えた。


「さて、ここに来てアマリアと会うこともできたし……行くか」

「ずいぶんと性急な旅ね」

「思い入れのある場所に一日ずつ滞在とかしていると、それこそとんでもない時間が必要になるからな」

『ルオン殿としては、大陸外にも赴こうとしているだろうし、このくらいのペースでいいだろう』

「え、大陸の外にも?」


 アマリアが少し驚いていると、俺は頭をかきつつ、


「ああ、竜とか天使とか、旅を通して色々と出会ったからな。星神との戦いに手を貸してくれていて、一度帰って準備をしてくれているけど……俺から一度、挨拶にも出向きたいし」

「ずいぶんと強引な旅ね……」

『このくらい無茶な方が、ルオン殿には似合っているのかもしれん』


 と、ガルクがコメント。無茶……か。まあ確かに、俺じゃなかったらこんな強行スケジュール達成できそうにないな。

『我としては面白いから良い旅だぞ』

「面白いときたか……まあ、そっちが楽しんでいるのならそれはそれでいいけど」


 苦笑した後、俺は改めてアマリアへ挨拶をする。


「それじゃあ、アマリア。決戦の地で」

「ええ」


 そうして俺はウンディーネの住処を後にする。次に目指すのは、


「アズアの住処……へ行く前に、立ち寄った海岸沿いの町へ向かうとしよう」

『確か武器強化のために訪れたのだな?』

「そうそう。そこでクウザとも会ったが……ま、いるかどうかはわからないな」


 クウザは故郷とかに戻っているのだろうか? まあ一応行きそうな候補はあるし、いずれそこに向かうけれど……色々と考えながら俺は南へ進路を向けた。

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