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賢者の剣  作者: 陽山純樹
星の神を求める者

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現状考察

 星神の研究と、星神降臨をもくろむ裏組織……それらの調査を行い、さらにリズファナ大陸を……リーベイト聖王国を救うという難事を、俺達は異国で成し遂げようと奮闘しているわけだが……その間にもタイムリミットは迫ってくる。

 一分一秒も無駄にはできない、という状況になりつつある中で、俺達はこのリズファナ大陸で王族の支援の下に拠点を持つに至った。決戦まで、俺達はここに留まり戦い続けることになるだろう。


 拠点近くの海に組織のメンバーを乗せた船が到着する。俺やソフィアが出迎え、屋敷へ案内し荷物の搬入を開始する。現段階でデヴァルスを始め、まだいないメンバーもいるのだが、直にやってくるとのこと。


「今はひとまず、屋敷内で研究が進められるように注力してくれ」


 指示に仲間達は一斉に頷き、行動を始める……カティやラディはこの場にいない状況ではあるのだが、とりあえず研究については進んでいる。ただラディは魔法使いだし、別のメンバーと交代させるのもありか。

 ま、その辺りはおいおい考えていけばいい……ということで屋敷の中を改装している間に、俺は屋敷内の一室で作業をする。それは現時点でエメナ王女などから手に入れた敵対組織に関しての情報整理だ。


 部屋は角部屋でそれほど広くない。空いたスペースにとりあえず部屋を作りましたみたいな感じの小部屋で、この狭さがなんだか落ち着くのでこうして利用しているのだ。


「よし、こんなところだな」


 俺は一通り整理した後、呟く。ちなみに部屋にいるのは俺とソフィア。他のメンバーは全員屋敷内を駆け回っている。廊下からは足音が聞こえ、何やらガサガサと音もしているのだが気にしないことにする。

「現時点でわかっていることは……」


 ソフィアはメモした紙に目を落としながら告げる。


「名前は『星宿る戦士』で、冒険者が所属する大規模なギルドパーティーとのこと。ギルド登録などもされており、結成したのは今からおよそ三十年前。初期から所属しているメンバーもいますが、冒険者としては実質引退しているとのこと」

「まあそりゃそうだよな」


 三十年前に結成だから、初期メンバーは若くとも五十手前とかになっている。さすがにそれで冒険者家業は大変だ。


「メンバー数は全部で五十人ほど。所属する特典としては、何かしら武器などを提供しているとのこと。これが星神に関連するものなのかは現在のところ不明です。ただ、彼らの身辺……そこに星神の技術に類するものはありません、と報告書にはありますね」

「さすがに組織メンバー全員にそうした武具を提供する可能性は低いだろ。五十人という大所帯だしな……で、歴史の古さとかから資金提供者とかいそうだな」


 貴族との絡みもあれば、それだけで王室などとつながりを得られる可能性が……実際、それは成功し彼らは王族に近しい人物に協力者か、あるいはパーティーギルド所属者がいると考えていい。


「問題の活動内容ですが、基本的に普段は組織だって行動はしていません。星神関する遺跡……そうしたものを見つけた場合、メンバーは協力して行動するとのこと」

「つまり普段は、メンバーは好き勝手にやっていると」

「そのようですね。そして現段階でメンバーの名簿などは見つかっていませんので、どういう人物が所属しているのかは不明です」


 その辺り、手に入れると楽なのだが……。


「唯一わかっているのはパーティーギルドのリーダーです。その人物は冒険者ギルドへ登録する以上、名前が必須ということで……その人物の名はノヴァ=エーベント。三十代ほどの年齢で、十代の頃からこのパーティーに入って活動しているようです」

「なぜパーティーに、とか疑問はあるけど……ふむ、十代の頃からって考えると、組織の歴史の中で半分以上は彼が所属しているってことになるかな」

「はい。だからこそ、リーダーに選ばれたということでしょうね」

「だとしたら、星神についてかなり知っている……あるいは、一連の事件首謀者である可能性も」

「だと思います……リーダーで名前などがわかっていても、迂闊に干渉すべき相手ではないでしょう」


 密かに調べようということなら、そういう方針になるよな。


「まあいいさ。資料には現在どこにいるかなども記載はあるが、今はまだ手を出さないようにする……ただ、動向だけは注視だな」

「はい。彼は冒険者ギルドでもある程度名が通っているようですし、居所を見つけるのはそれほど難しくないと思います」

「ならよし……で、所属メンバーの中には……」

「これはさすがに冒険者ギルドの情報で把握することは難しかったですが、どうやら精霊ウィスプを連れて動いている姿を目撃されているようです」

「特段隠している様子はない……まあ隠す必要性もないか」

「ガルク様は精霊から調べるという提案をしましたが……現状で知ることのできた情報を考慮すると、どうでしょうか?」

「十分ありだとは思う」


 こちらも精霊を味方につけているわけだが、精霊ウィスプの力により、どういう群れのウィスプが人間に手を貸しているのか……その辺りについては既に捕捉できていた。

 問題は群れ全体が同じ考えなのか、それとも単独行動なのか……この辺りで状況は変わってくるのだが、調べる価値はありそうだ。


「組織と共に行動する精霊について調べるのもいいが……俺達が望む情報を得られるかは不明瞭だな」

「そうですね……こればかりはすぐに結論を出すのは難しいでしょう」

「そうだな……ま、そう悲観的にならなくていいさ。調査は確実に進んでいる。俺達のことは現在もバレてはいない……俺達にとってまずい展開は、星神の降臨が早まること。相手の組織について調べ、俺達が動いても星神降臨に問題がないと断定できたら、動ける」

「はい」


 ソフィアとしては力強い返事……彼女からこれ以上エメナ王女を始め聖王国の王族を助けたいという雰囲気が伝わってくる。


「敵組織の詳細についてはこれでおおよそまとめることができましたね」

「ああ。ならば次の問題……敵の戦力についてだな」


 その言葉にソフィアは頷き……俺達は改めて考察を開始した。


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