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賢者の剣  作者: 陽山純樹
王女との旅路

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迷宮の居城

 ベルーナがいる居城までそれほど距離があるわけではないため、本来は一気に城へ向かいたいところなのだが……進んでいると、結界により進路を阻まれる。結界は時間が経つごとに構成が変わるため、その場で待機していれば先へ進むことはできる。


 しかし待機時間の間に魔物を発見し、交戦。余計にタイムロスとなるため苛立ちが募る。ソフィアのレベルを上げるのには適しているかもしれないが――


 俺はふと視線を横に向ける。進路を阻まれた俺達を狙いオークが近づいてくる。俺達以外にも周囲にはまだ傭兵や騎士がいて、彼らが動き交戦開始。傭兵達は四苦八苦しつつ迎撃するが、ソフィア達は存分に剣を振るい撃滅する。


「強いな、お前達……!」


 驚愕する傭兵。中級技を習得し始めたソフィアやシルヴィは、他の剣士からすると一歩抜きんでた実力なのは間違いないだろう。さらにネストルも盾を用い上手く防御、騎士などの援護なども行っている。

 レドラスと戦った時の編成と比べ、火力があるのは間違いない。この調子なら居城に入り込んでも十分戦えるだろう。このままの勢いで一気に本丸まで攻めたいところだが……考えていると進路を阻んでいた結界が消える。


「このまま突っ走るぞ!」


 そう指示を出した次の瞬間、突如フィリ達を観察していた使い魔からの報告が途絶えた。


 何事かと思ったが――おそらく絶えず変化する結界に巻き込まれ、消滅してしまった。再度使い魔を生み出そうかと思ったが、反対側にいるフィリの所へ使い魔を寄越すには物理的な障害である結界を突破しなければならない。


 試してみるか――? 俺は他者に露見しないよう使い魔を生み出す魔法を構築し、空へと放つ。上空から向かえば結界突破も可能では――そう思ったのだが、木々を超えた少し上に天井のように結界が構築されていた。上空を飛ぶのは無理そうだ。


 高度を維持して反対側へ向かわせようかと思ったが、断続的に生み出される結界はフィリ達のところへ行くことを阻む何重の障壁となっており、彼らのところに辿り着くのは無理だと理解した。


 なら、できることはとにかく急ぐこと――だが途中何度も結界によって動きが制限され、また傭兵や騎士とも散り散りとなる。何度かそれを繰り返す間に、気付けば周囲にいるのは仲間達だけに。


「本当にキリがないぜ」


 前方にスチールオークを見つけ、ネストルが苦々しく声を発する。さらに背後にもスチールオークの気配があり、何度目かわからない交戦を開始。


「後方の敵は俺が!」


 ラディに告げると向かってくるスチールオークと対峙。放たれた長剣を防ぎつつ『セイントアロー』を魔物へ叩き込む。十本近く生み出した矢は全て直撃。鎧を破壊したところへ剣を叩き込み、スチールオークを撃破する。

 すぐさま視線を戻すと、ソフィア達が魔物を滅している光景。城外の敵は問題ないと言えるだろう。


 そこから結界が消えたため、進撃する。周囲に騎士達の姿が見えなくなった以上、俺達は相当先行しているのは間違いなさそうだ。問題はフィリ達がどこまで進んでいるのか。使い魔を再度飛ばしてみるが、やはり結界に阻まれて北側に到達できない。


 そこへまたも魔物。即座に連携で対処しさらに進んだ時――開けた場所に出た。


「到着か」


 ラディが警戒を露わにして言う。森の中にある城――ただレドラスの居城のように特徴的な外観ではない、無骨な城。高さは木々を多少超える程度のもので、居城にしては小さいようにも見えるが……ベルーナのいる場所は地下に形成された迷宮の奥なので、地上部分はダミーと言っても差し支えない。


「いよいよみたいだな、気合入れろよ」


 ネストルが言う。体に魔力をみなぎらせ、歩んだ――その時、彼は気付く。


「扉が開いているな」


 言葉通り、城の入口が開放されていた。俺達はかなりのペースでここまで来たわけだが、それを上回る面々――間違いなくフィリ達だ。一歩遅かったわけだが、まだ十分追いつけるレベルだろうか。

 この時点で当初の目論見は潰えたが、こういう可能性も考慮はしていた。まだ焦る必要はない。


「先行する面々がいるようだな」


 ネストルが腕を回しながら気合を入れ直した様子。ソフィアやシルヴィも表情を引き締め直し、臨戦態勢に入る。


 そしてネストルを先頭にして俺達はベルーナの居城へと踏み込んだ――中に入ると、まずいくつもの扉が目に入った。左右の壁に二枚ずつと、正面に一枚。ただ右の壁に存在する扉の内、入口に近い扉が開け放たれている。


 フィリ達が通った道……しかもそれは正解の道だ。


「先に入った人物は右の扉に……どうする?」

「ひとまず合流した方がいいかもしれないな」


 俺が提言。するとラディは賛同した。


「ああ、確かに。それじゃあ行くとするか」


 その言葉にソフィア達も同調した。結果、俺達は正解の道へと歩む。


 ただ一つ、気になることが。城内には当然魔物もいる。フィリ達だってエンカウントして戦っているはずだが、入口から戦闘をしている音が聞こえない。想像以上奥へと進んでいるのだろうか。

 あと、問題が一つ。ベルーナの城は地下が迷路となっている。今まで入り込んだダンジョンは全てゲームよりも複雑となっていることから、ゲームで登場しない場所で迷うなどという可能性も否定できない。


 もし迷ってしまった場合、フィリ達と合流するのが遅れる……彼らも迷っている可能性があるのだが、なんとなく正解の道を突き進むような気がしてしまう。

 ともかく、ソフィアとベルーナを対峙させる必要がある以上、フィリと合流するべく急がないといけないだろう。


 俺達は右の道へと入り込む。フィリ達が倒したためか廊下には魔物の姿がないのだが――直後、背後から気配が。

 全員気付いたようで振り返る。狼のような頭部を持った、全身を赤で固めた魔物。名は『ブラッドファイター』といい、かぎ爪を武器とする戦士系の敵だ。


 筋肉質な体から繰り出される攻撃はクリティカル率も高く、ゲーム上では厄介な部類の敵だった。なおかつこいつは外にいる『スチールオーク』と比べても能力が少しばかり高い。今のソフィア達ならば対応できる敵ではあるのだが……一発が怖い。注意する必要がある。


「気を付けろ、強いぞ」


 ラディが言う。それと共に全員が武器を構え――戦闘が始まる。


 『ブラッドファイター』は連続攻撃がもっとも怖いのだが……向かってきた相手にいの一番に反応したのはネストル。盾を構え魔物のかぎ爪を見事防ぎ切る。そこへシルヴィとソフィアが仕掛け――俺は魔物の攻撃に対処すべく防御系魔法を発動できる状態を整え、二人の動向を見据える。


 シルヴィが大上段からの振りおろしを仕掛ける――これは『天衝烈波』の動き。それにより魔物が怯んだ矢先、眼にもとまらぬ速さで追撃を仕掛け横薙ぎを放つ。結果、技と共に放った魔力が衝撃波を生み、僅かながら吹き飛ばした。


 ダメージはそこそこあった様子。そこへ立て続けにソフィアが追撃を仕掛ける。まず剣を振りシルフの力を利用した風の刃を放ち――さらに、声を発した。


「大いなる雷よ!」


 声と同時、一筋の雷撃が『ブラッドファイター』を貫いた――槍のような閃光は魔力が凝縮され相当な威力があったはず。

 今のは――間違いない。雷属性中級魔法『ライトニング』だ。技だけでなくとうとう魔法も中級クラスを使用するようになってきたということか。


 これで『ブラッドファイター』も消滅……単体で出現したため、難なく対処できた。城内に出現する魔物もソフィア達で十分対処できるレベル。これならベルーナの能力も俺の予想内におさまっているはずだ。


 少なくとも戦う資格はある……改めて思いつつ、フィリに追いつくべく俺達は先に進んだ。


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