表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

877/1082

調査方法

 俺達は話し合いを終えて外に出ると、足早に王の別荘を離れた。そして町へ辿り着いた時に、宿を手配しその部屋で作戦会議を行うことにした。


「裏組織について、存在する可能性が高まりつつあるけど……」

「誰かからの介入がなければ、リヴィナ王子に偽りを与える理由はありませんしね」


 ソフィアはそう告げると、小さく息をついた。


「状況はどうあれ、王族を騙していることを踏まえると、反逆罪などで調査をする根拠にはなるでしょう。ただリヴィナ王子にまで干渉している以上、どこに敵がいるかわからないことが懸念点ですね」

「……話し合いの場で語ってはいなかったけれど」


 と、リーゼがソフィアに続き話し始める。


「もし組織があるとすれば、レノ王子に対しても何らかの動きがあるでしょう? つまり、リヴィナ王子が失墜した以降も、構成員を王族へ派遣できるほどの影響力がある」

「面倒だな……」


 俺は感想を述べる……これまでは極めて単純に、敵と戦うというケースばかりだった。けれど今回、敵は政治的に一定の力を持っている。この場合、国の人間でない俺達からすれば非常に面倒くさい。

 あくまで外部の人間なので、政治的に干渉すれば国際問題に発展しかねない。いくら国王やエメナ王女と親交があるからといって、表立って行動するのは、厳しいだろう。


「国王は調査すると言っていたが……下手を打てば星神降臨が早まる危険性もあるし、どこまで調べられるのか……」

「一応、方法はなくもないけれど」


 リーゼが意見する。何か良い方法が――


「といっても、結局は力技よ」

「……何をするんだ?」

「使い魔を用いて、城に出入りする人間をとにかく調べまくる。国王と明確なコネクションができている以上、王城に使い魔を潜ませることは十分可能だろうし」

「なるほど……ただ、その場合二つの懸念があるな」

「一つは星神ですよね」


 と、ソフィアが意見。


「相手がどこまで星神の技術をものにしているのか……リヴィナ王子の周辺については、私達が気取られる心配はありませんでしたが、相手が組織だって行動しているとなれば、彼らは独自に星神の技術を保有している可能性があります」

「そうだな。星神の力に対策するべく使い魔を用いるにしても……どこかで露見すれば一発でアウトだ。さすがにリスクが高い」

「……ルオン様、もう一つは?」

「単純な話だ。王城に使い魔を派遣することは不可能じゃない。数も十分いけるし、星神のことさえクリアすれば、やっても構わないと思うが……さすがに数がおおければそちらに意識を向ける必要性がある」


 魔王との戦いで、俺は大陸各地に使い魔を派遣していた。けれど、使い魔の視点を見るのは何かあった時だけ。ずっと観察していたわけではないし、なおかつ対象が明確だった……つまり観察対象がフィリだったり、アルトだったりと、特定の人物を中心にしていたから、使い魔を用いての観察は容易だった。

 けれど今回の場合は、どこにいるかもわからない裏組織の構成員を見つけ出す……例えるなら、警備員が監視カメラなどで施設の警備をし続けるような行為に似ている。つまり時間を掛けて、怪しい人物がいないか観察しなければならないわけだ。


「もしやるのであれば、星神対策については後回しになるぞ」

「それでは本末転倒ですね」

「まあな。対策するために時間が欲しいのに、その貴重な時間を潰しているわけだから。とはいえ、放置……というか国王やエメナ王女に任せっきりというのも、さすがにどうかとは思う」

「……なら、そうね」


 と、リーゼはさらに献策をする。


「遺跡を調査した面々を手がかりにして、調べられる範囲で調査しかないかしら」

「つまり、遺跡調査員のリストか何かを基にして、怪しい人物がいないか探すと。やるとしたらそれが無難だろうけど、さすがにその辺りは国王だって調査しているはずだからなあ」


 名目的にはリヴィナ王子を裁くために、調査資料を集めているとかにすれば怪しまれずに調べられるだろう。というかこの点については国王だって着手しているはずだ。


「ただまあ、俺達がそのリストを調べて、動く……というのはありそうだな。後でリストをもらうように依頼しておくよ」

「そうね……と、ひとまず現段階で決められることは以上かしら」

「そうだな……さて、戻ったら再度星神対策だ」


 気持ちを改める……組織の行動により降臨が早まっても問題ないように……情報は得たのだ。以前と比べても十二分に対抗策を構築するペースは早まっている。

 とにかく、今は研究を……ということで、作戦会議は終了したのだった。






 それから屋敷へ戻り、俺は作業を進めることに。またエメナ王女から遺跡調査員のリストももらい、手の空いた時にリーゼなどが調べている。といってもさすがに調査員のことなど大陸外の人間である俺達は知らないわけだが、領主フォルナについては見知った顔もあるようで、


「私も古代について調べている人間だからな。幾度か顔を合わせた人物もいる」


 とのことだ。そこでリーゼは何かを思いついたようで、フォルナと話し合っているのだが……そちらに関わることなく、俺は作業を進める。

 屋敷にこもって十日ほどした時だろうか。形だけではあるが、星神に対抗するための……あるいは、倒すための戦術が組み上がった。


「ガルク、どうだ?」

『うむ、これまでと比べても勝算がありそうな手法だな』


 そうガルクは答えを返した。うん、これもブレッジが残した動画のおかげだ。


『これに加え、今まで考案していた手段を組み合わせる……効果は相乗的なものになるはずだ』

「効果を相殺するとかにはならないよな?」

『そこについては鍛錬次第だな。ルオン殿もこれをぶっつけ本番で実行するというわけではないだろう? ならば、来る日に向けて鍛錬するしかない』


 当然だな……とはいえ、形は定まったのだから、ここからの作業ペースも早くなりそうな気配。これはもしかすると、半年と掛からず結果を出せるかもしれない――

 その時、部屋をノックする音が。返事をすると扉が開き、リーゼが現れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ