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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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進めるべき事

 その後のことは、賢者の未来通りに事が進んだ。


 エメナ王女は城へ戻り、全てを現国王へ報告。すぐさま調査に動き出し……やがてリヴィナ王子がやったことについて証拠が出てきて、国王も対処せざるを得なかった。

 王子と王女の対立……その事実が公表された時、人々は大いに戸惑った。平和な国の裏側で、大騒動が存在していた。それを聞き色々な噂が飛び交った。


 さすがに星神の技術に関する対立……そこについては伏せられた。というより、公にできなかったと言うべきか。そもそも世間的には技術はリーベイト聖王国が新たに生み出したものであるという形なのだ。よって、星神のことについては完全に秘匿となった。

 しばらくの間はリヴィナ王子がいなくなったことで王宮内は荒れるだろう。エメナ王女とレノ王子についてどうなるか……不安ではあったが、ここは俺達が立ち入ることができる場所ではないため、任せるしかない。とはいえ、


「そう不安に思う必要性はないかと思います」


 王都近くの町に滞在し、飲食店で食事をとっている際、ソフィアがそんな風に言及した。


「何よりエメナ王女はこれから起きることを明確に知っている……彼女はとても賢明ですし、決して問題を起こすことはないかと」

「それならいいんだけどな……ただ、彼女が大丈夫でも周囲がそれを良しとしない危険性がある」

「それを解決するのが、私達ってところかしら」


 リーゼが言う。まあそういうことになるのかな。


 俺達についてだが……数日前にエメナ王女から連絡があった。彼女はどうも俺達の存在を国王に話したらしく、改めて話をしたいとのことだった。現国王かつ父親であるため俺達のこともしっかりと伝えた……おそらく星神のことを含め、全てを喋ったのだろう。

 そこについては俺達としても想定していたし、何よりこれからのことは王の力がなければどうにもならない部分がある。顔を合わせようということで誘いを受け俺達も承諾したのだが、いかんせん騒動が巻き起こっているので、話すタイミングがない。


「ルオン様、この間にこちらは色々と進めるべきですね」

「星神対策だな。しばらくの間は王宮内に嵐が吹き荒れる……それが少しでも落ち着いたら改めて国王と話をするというわけだが……」


 少なくとも俺達の介入によって物語が変化したというわけではない。星神降臨まで最低半年というのは現時点で保証されたと考えていいだろう。

 で、国王といつ話をするかだけど……早い方がいいにしても都合がある。俺達の一存では決められないが、半年という時間制限がある以上、数ヶ月先というわけでもないだろう。


「国王としても俺達の持つ情報は気になっているはずだ。そして俺達は今後のことをしっかりと見据えるために、やれることはやっておいた方がいい」

「そうですね……ではどうしますか?」

「一度領主フォルナの屋敷へと戻るか。精霊ウィスプの翻訳作業についても気になるし、国王との話し合いよりもそちらの方が先に進みそうだし。ただ、連絡役くらいは残した方がいいのか?」

「ならボクとフィリが残ろう」


 手を上げたのはシルヴィ。さらにフィリも同意見なのか頷いた。


「星神の専門的な分野についてはまるで役に立たないし、この町で連絡役をしている方がいいだろ」

「そうだな……とはいえ、二人も城を訪問した時に顔を知られているわけだし、注意は払ってくれ」

「変装もしているし大丈夫だろう」


 シルヴィは笑う。この時点で彼女にも変装系の魔法は習得させている。

「今いる宿に滞在していればいいのか?」

「ああ。もし話し合いの席を設けるのであれば、二人に……ということで、こちらから向こう側に言伝を行っておくよ」


 これからの段取りが決まっていく。さて、作戦は継続中だが、星神に対する策の方を進めるフェイズだ。


「なら早速動くとしようか……全員、いいな?」


 確認の問い掛けにソフィア達は同意し、俺達は店を出た。






 俺達は急ぎ足で領主フォルナの屋敷へと舞い戻る。彼女の方にもある程度情報が届いていたらしく、


「作戦は成功だな。少しばかり気を揉んでいたが、心配なさそうだ」

「ああ。ただし俺達の存在が露見することで情勢が大きく変わる……薄氷の上を歩くような状況は変わっていない。国王との話し合いの席は設けることができそうだけど、俺達はまだまだ潜伏し続ける必要性がある」

「もし表舞台に出るとしたら、それは間違いなく決戦の時か?」

「星神との決戦……その時だな。それで、翻訳作業については?」

「こちらとしては少し驚いている……あまりにベストタイミングだったからな」


 そう言ってフォルナは客室へ俺達を案内した。そこにいたのは、


「どうも」


 精霊ウィスプ……群れの長であるエルアだった。


「長自身が外に出て良いのか?」

「さすがにこの一件を配下にやらせるのは、と思っただけだ。それに、私としても色々と知りたいことができたからな。情報共有をしたい」


 なるほど……よって俺達は客室にこもり話をすることに。俺を含めた仲間に加え、通信魔法越しではあるがガルクも呼ぶ。さらに領主フォルナにエルア……現時点で全てを知る者がほとんど集っている状況だ。


「まず、最初に解析についてだが……おおよそ、翻訳作業はできた。色々と手間取りはしたが、ひとまず現在使われている世界の言葉により、端末は扱える」


 そう言って俺にタブレット型の端末を渡してきた。少し操作すると、確かに俺達の言葉に置き換わっている。


「その中に入っている過去の映像……それについてだが、さすがに言葉そのものを現在の言葉に置き換えるというのは無理であったため、文字を入れ込んでいる」

「字幕ってことか……なるほど、ありがとう」


 どういう形であれ、動画の内容がわかるのだから良い。さて、いよいよ古代の情報……その中でも特に期待の高いものに触れるわけだが、


「翻訳作業の際にエルアは見たんだよな?」

「ああ、一応な。とはいえ私としては星神の全てを知っているわけではないため、理解できない箇所も存在する。それを知りたい」


 そういうことか。俺は頷きつつ画面を操作。まずは本命の動画から……全員が固唾を見守る中で、俺は動画の再生ボタンを――押した。


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