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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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敵からの情報

「都合の良さそうな魔物がいるな……これならまあ、上手くいくか? あとの問題は敵の潜伏先だな。王女を調査しているのは三人みたいだが、それ以外にも人がいるのかどうか。あと、特定の拠点があるのか、とか」

「王女自身が旅をしているので、拠点は考えにくいですが……」


 ソフィアの意見。うん、その通りなのだが……俺はシルヴィへ尋ねる。


「確か現在、エメナ王女は近くの町へ留まっている、だよな?」

「ああ。少々トラブルが発生して。とはいえそれはあくまで賢者が知る未来の枠内。だからこそ、放置していても問題はない」


 なら、どこか潜伏先があったとしてもおかしくはない。それが町中であった場合は、改めて考える必要性があるが、


「とにかく、王女が町に留まっている間に調査を行う。使い魔を利用しての人海戦術だな。その間、ソフィア達も気取られない範囲で調査を頼む――」






 そこから俺達は調査を開始したわけだが……相手の詳細な情報は、およそ一日ほどで取得した。

 まず人数は三人で確定。冒険者を装って探りを入れている男性と、旅行者として町を観光している女性。そしてエメナ王女の近くにいて観察を続けている男性が一人だ。シルヴィやラディの情報によると、エメナ王女に張り付いて三日ほどすると一度郊外に集まって情報交換をするらしい。


「それじゃあその情報交換の時に狙うってことね」


 食事の席で話し合い、リーゼはそう発言した。


「ただ、郊外といってもそれほど遠くではないでしょう? 攻撃するにしてもリスクがありそうだけど」

「どこかでリスクはとらないといけない状況だから、後は俺達がどう踏ん切りつけるかどうかだよ……情報は集まった。郊外、ということで仕掛けるのはそのタイミングだが……問題は三人をどうするか、だな」


 仮に抹殺にしても、魔物の仕業であるということがしっかりと貴族に伝わらないといけない。伝令役が異変に気付いて魔物にやられたと報告をするのが望ましいわけだが……、


「ルオン、確認だけど聞きたいこととかあるのかしら?」


 リーゼがさらに問い掛ける。聞きたいことか……。


「それは三人から情報を得ようって話だよな?」

「そういうことになるわね」

「うーん……ラディが語っていたように、もし星神に由来する武具などを持っているとしたら、その出所くらいは知りたいけど……いや、リヴィナ王子に関連するものであるなら当然か?」

「……情報、ですか」


 ソフィアが何事か呟く。次いで彼女は、


「翻訳者について、何か知らないでしょうか?」

「ああ、翻訳者……それはさすがに難しいんじゃないか?」


 まあもしその情報が手に入れられるとしたら、彼らを捕まえるのはアリではあるが……。


「可能性がゼロとは言えませんよ」

「……うーん、リスクをとってまでやるべきことかどうか不明だな。さて、どうする?」


 領主フォルナの言った通り、星神との戦いに備え、俺達の策を成功させる場合は、速やかに始末した方がいい。とはいえ、何かしら情報を得られる可能性もゼロではない。

 どうすべきか……そんな折、テーブルに座るユノーが一言。


「ルオンはどうしたいの?」

「どうしたい……? いや、俺が一番やりたい方法で、というのはさすがにナシだろ」

「それがきちんとした理由なら別に良いと思うけど」

「そうですね。ルオン様のご意見をお伺いしましょう」


 ソフィアが同調する。そこで俺は、


「そうだな……この場にいる面子なら、捕まえることはそう難しくないと思う。物腰などを確認したけど、装備が厄介だとしても、能力の差が歴然としているみたいだし」

「さすがに私達と比べるのは、酷というものよね」


 もっともなリーゼの意見。まあ貴族の私兵と、星神なんてバケモノと戦っている俺達とでは相手が可哀想である。

 ただ、そうだな……。


「俺としては、王女について調査している貴族について、調べたいという気持ちもある。これが本当に予定外のことなのか、それとも賢者が見た予知の範囲内なのか。もちろん、相応のリスクは伴うけど……」

「ルオンとしてはどちらが好ましいのかしら?」

「俺か? まあ予知の範囲内だとしたら、俺達は無用な妨害行為を行っていることになるから、あんまり褒められたものではないな。貴族の動きが止まるにしても、リヴィナ王子と関わりがある以上は、影響は避けられない」


 ただこれは、元々覚悟していたことだ。物語を多少歪ませても、エメナ王女と関わり情報を得ようとしたからな。それにより、俺達は賢者から直接情報を得ることができた。そうした結果を手にしているわけだし、文句は言えないな。


「もしこれが予定外の出来事であれば、俺達は未然に防ぐことができた……ただそれを私兵を捕まえて判断できるかどうかもわからない。ただ、やれるのであればやった方がいい」

「なら、捕まえてお話を聞かせてもらいましょうか」


 リーゼが俺の意見に賛同した。ソフィアも頷き、俺の案が採用される流れに。


「逃げられる可能性を減らすために、ラディやシルヴィも参加してもらうか」

「ボク達は構わないぞ」


 シルヴィも頷く。数の上では五対三……能力にも差があるし、普通ならば勝負は決まったようなもの。

 もちろん油断はしないし、相手の武器――星神に由来する武具を所持している可能性を踏まえれば、不測の事態に備えて動きたいところ。ただ、最大の問題としては捕まえてどこへ連れて行くのか。


「最悪、フォルナの屋敷か?」

「それもアリですね」

「フォルナさんはその辺り言及しなかったけれど」


 肩をすくめながらリーゼは告げると、


「でもまあ、私達が生け捕りをするのなら、そういう可能性も少しくらいは考えているかしら」

「もし首尾よく捕まえられたら、使い魔を使って即座に連絡を入れよう」


 俺の言葉に全員が頷き、いよいよ策が決定した。


「三人が集まるのは、定期報告をしている様子から考えて明日の夜だ。場所によって動き方が変わるから、全員どのようにも対応できるよう準備を頼む。それと、絶対に気取られないように。攻撃する前に見つかったら、一巻の終わりだからな――」


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