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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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出てきた物

 さて、中身は……金庫の扉を無理矢理開けて、中を確認する。予想通り、何もない……と思いきや、金庫の底に何かが置かれていた。


「板ですか?」


 ソフィアが呟きながら手に取る。それは、鉄製の板……にも見える。ただ幅は五ミリくらいある。


「鉄製ではありませんね。思ったよりも軽いですし」

「貸してくれ」


 俺の言葉にソフィアは物を差し出す。受け取って確認すると……どういうものなのかなんとなくわかったので言及してみる。


「……タブレット型の、端末かな?」

「はい?」


 ソフィアが目を瞬かせて聞き返してくる。珍しい反応だな。


「あ、えっと……そうだな、俺の前世に近い物があったんだよ。情報とかを調べる本みたいな物かな」

「……であれば、何かしら有益な情報が眠っていてもおかしくはないですが」

「とはいえ、こういうのって精密機械だしきちんと動くかどうか……壊れていたら修理でもできないし」


 そもそもどうやって起動するんだ? 俺はタブレットと思しき物を調べて見る。ガラスっぽい、画面のような面があるから俺の推測はたぶん正解なんだろうけど、起動方法がわからないな。スイッチの類いもないし。


「……魔力を流してみるか?」

「それしかなさそうね」


 リーゼの言葉に俺は少し魔力を送ってみる――すると変化があった。ピン、と音が鳴ったかと思うと、画面が真っ白になった。


「動いたな……」


 これは驚きだ。古代の情報端末が現存しているとは……で、画面が白から青を基調とした画面に変わった。とりあえずアイコンらしき物があるんだけど……文字が読めないのでまったくわからない。

 ただ、右上に赤色に何やら警告が成されている……これはなんとなく予想できる。バッテリーが足らないのかな?


「もう少し魔力を流して……と」


 実行すると、警告らしきものが消えた。ふむ、魔力を流せばいくらでも使えるのか。充電とかの必要性がないことを考えると、ものすごく便利だな。これなら携帯の充電器とかいらないし、端末があればいつでもどこでも使える。前世のタブレットよりも利便性が高い。

 で、どうやって操作するかだが……タッチパネル式かな? 画面に指を置いてみると反応があった。うん、これで動くな。


「手慣れているわね」


 すんなり操作していることに対しリーゼが言及。俺は肩をすくめ、


「似たような物を知っているからだよ……とはいえ、言語が何も読めないから、ここからどうすればいいかわからない」

「収穫はこれだけですし、持って帰りましょうか?」


 ソフィアの提案。うん、そうだな。ここで俺達があーだこーだと話し合っていても埒が明かない。


「そうだな。フォルナに見せて反応を窺うことにするか……」


 魔力で稼働するのであれば、持って帰ってもきちんと動作はするからな。


「ただ、念のため他の場所も見回ってみよう」

「そうですね」

「わかったわ」


 ソフィアとリーゼは了承。動き始める……とりあえず、何かしら成果は得た。とはいえ、この情報端末と思しき物に俺達が欲するような情報が入っているかはわからない。そもそもデータが残っているのかどうか。疑問は多々あったが、せめて翻訳とかしない限りは動かさない方がいいだろう。下手をやってデータとか消してしまったら目も当てられないし。

 そういうわけで、俺は情報端末を抱えつつ調査を続行する……他の収穫があるのかどうかわからないが、ここまで来たなら隅々まで調べてやろうと思った。






 結局、情報端末以外に収穫はなく、俺達は施設を後にする。動力を稼働させ続けるのもまずいかと考えたので、俺はスイッチを切って電源をオフにしておく。

 場合によっては、何かの形で戻ってくる可能性もあるだろうか……ここの調査についてはいずれ国がやるだろう。特に危険な物もないし、騒動が終結した後、連絡しておけばいいはずだ。


 外へ出て、俺達はフォルナの屋敷へ戻るべく移動を始める。馬を駆り、俺はその道中でザックに入れた情報端末について考察する。


「そもそもなんで金庫に入っていたのか……」

「貴重な物だったから、ではないのですか?」


 これはソフィアの言。俺はそれに肩をすくめ、


「たぶんだけど、古代にはこういう物がそれなりにあったと思うんだよな……俺の思い違いで実はすごく高価な物だったという可能性も捨てきれないけど」


「ルオンはどう考えているの?」


 リーゼが問い掛けてくる。そこで俺は、


「うーん……さすがに経緯については不明だけど、金庫にまで入れる以上は何かしら情報を残しておきたかったから……か?」

「そこまで重要な情報が眠っていると」

「可能性の話だけど……俺の願望混じりだからあんまり真に受けないでくれよ。それに、重要な情報といっても俺達にとって不必要なものかもしれないし」


 何でもかんでも星神につなげるのは良くないよな……。


「そもそもあの施設自体、謎が多いからな……その辺り、現存する資料で調べられないのかな?」

「どうでしょうね。私達は資料を漁ってあの場所に遺跡があると推測したわけだけど、どういう施設なのかまではわからなかった。現存する資料では歴史的背景まで探ることはできないから、古代人の真意まではくみ取れないと思うわ」


 まあそうだよな……情報端末に何かしら眠っていてくれると、ありがたいんだけど。


「ルオン様、解読できるでしょうか?」


 今度はソフィア。俺は「たぶん大丈夫」と応じ、


「時間は掛かるけど、フォルナの屋敷にある資料を使えば……文字の解読作業はカティとかに任せられるか?」

「微妙ですね……ただ、必要とあればやるしかないでしょう」

「場合によっては俺達も手伝わないといけないだろうな……」


 ただ、この情報端末だけをずっと調べるのも……他にも遺跡はあるだろうし、判断が難しいところだ。


「とりあえず、方針としてはフォルナにこれを見せて、一両日中にわかるかどうかを確認してもらう。解読できたらそれで良し。時間が掛かるのであれば……エメナ王女の動きなども考慮し、どう立ち回るか改めて相談でいいか?」

「そうですね」

「私も異存はないわ」


 ソフィア達は了承。とりあえず領主フォルナに見せてどんな反応をするのか……さすがに膨大な資料がある屋敷でもこんな端末はなかったからな。

 目を輝かせて調べる感じだったら、任せてもいいか? 色々と考えつつ、俺達は屋敷へ向け馬を走らせ続けた。


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