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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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魔王の力

 資料にひたすら向き合って、やがて作業を終えて一晩休み……翌日。俺は仲間達に加え領主フォルナと朝食をとることに。


「資料は一通り読んだ……話の流れについては、おおよそ理解できたよ」


 その言葉により、リーゼからさっさと話せという意見が眼差しに乗せてやってくる。それに対し俺は手で制し、


「まずは食事から……慌てる必要はないからな」


 とりあえず雑談混じりに食事を進める……領主フォルナも好意的であり、完全に俺達と共にやろうという雰囲気だった。


「ただ、私としては宿を提供するくらいしかやれることはないが……」

「いや、大丈夫だよ」


 俺の言葉に彼女は「そうか?」と呟く……賢者の資料には、彼女についての言及もあった。

 ある程度推察はついていたが、やはり彼女も物語の登場人物だった。エメナ王女は、今回の旅路……つまり今レインと共に歩んでいるこの旅の中で屋敷へとやってくる。そこでどうやら、星神に関する知識を得ることになる。


 俺や賢者による介入があったし、どこまで話をするのかについては一考の余地はあるのだが……とりあえず、それは仲間とも相談することにする。


「ルオン様、今後のご予定は?」


 食事の終わり、ソフィアは先んじて尋ねてくる。俺達が欲していた情報は得られたと考えていい。昨晩の内にカティもガルク達へ伝えるべき事柄についてはまとめているので、通信して情報を共有すれば、すぐにでも星神打倒のために動き出すことができる。


「まだ、決めていない。ここは相談しようかと思っていたところだ……領主フォルナ」

「ああ」

「今から特別な通信を行いたい。魔法を用いるので念のため確認だけど」

「問題はない」

「わかった。ちなみに相手は――」


 神霊という存在であることを話すと、彼女は興味深そうに、


「まさしく星神を打倒するための組織というわけか……私の出る幕はあるのか?」

「それについてもこれから説明するよ……それじゃあ、ユノー」

「オッケー」


 天使を用いて神霊と通信を行う……少しすると相手は出た。


『ルオン殿か。進捗は?』

「ああ、とりあえず簡潔に――」


 俺達が求めている情報を得られたという説明を行うと、


『うむ、大変喜ばしいな……それで、我らはどうすればいい?』

「詳細情報については後日資料を届ける。だから、今からカティが要点を伝える」

『ふむ……それなら良い手段があるぞ』

「良い手段?」

『この通信魔法による機能の一つだが、そちらの視点……誰でもいいのだが、少しばかり借りることができる。それで我が資料に目を通せば良いのでは?』

「……そんな機能、あったの?」


 寝耳に水と言わんばかりにカティが告げた。うん、俺も初耳なんだけど。


『いやなに、通信魔法を構築当初はこうした機能を持たせることはできなかった。しかし後から気付いたのだよ。目的の情報を得られたとしても、それが書物のような形であったなら、こちらへ届くまでに時間を要すると』

「確かにそうだけど……ということは、俺達がリズファナ大陸へ滞在する間に新しく魔法を?」

『伝えていなかったのは申し訳ない……まあそういう魔法を完成させたのはほんの数日前だ。許して欲しい』


 情報伝達が早くなるのは喜ばしいので、俺達としても良いのだが……これではカティの苦労が。


『ああ、資料は中々に膨大だろう? カティ君が要約してくれたものだってあるのは良いぞ』

「フォローありがとう」


 神霊に礼を述べるカティ。ちなみに苦笑しながらである。


「とりあえず、資料を提示するところから、だな。時間掛かるよな?」

「視点は誰のものにする?」

「私で良ければ」


 カティが手を上げる。まあ彼女が適任か。

 というわけで、そうした作業を開始する……のだが、結構時間が掛かりそうな雰囲気。うん、作戦会議どころではなくなったぞ。


「午前中くらいはこの作業に費やしそうね」


 カティがそう述べる。ならば、ということでカティの作業が終わるまでは自由時間ということになった。領主フォルナも「時間が来たら呼んでくれ」と言い、食堂を去った。仲間達もいったん食堂を離れたが、俺とカティだけは残ることに。

 カティが作業に没頭している間、俺は資料を読んだ内容を改めて吟味する。相談内容などは決まっているのだが、上手く説明するためには……。


「……そういえば、カティ」


 俺は考え事をしながらふと、彼女へ声を上げた。


「カティが現時点で考えていることでいいから教えて欲しいんだが……賢者の手紙によると、魔王の力なども利用して星神を、と最後に書いてあったよな?」

「そうね」


 カティは資料から目を離さず俺へと応じる。


「賢者様としては、魔王のやり方についても感心があったということね」

「そこだよ。魔王の策略……それが通用したのかは不明にしろ、魔王自身が星神を討つために用いた策だ。確かに情報を得るに値するだけの価値はあると思うんだが……」

「私達の大陸を襲撃し、力を得ようとした……その結果得られる力、でしょう? 賢者様が言う以上、単純に魔王自身を強化するものとは言いがたいようね」


 ゲームでは、力を手に入れてしまうパターンもあったわけだが、単純にステータスが強化されるだけで他に変更点はなかった……いや、使用する技や魔法とかが変わっていたかな? ただ、さすがに魔王が星神に挑む際に使用する技とかがゲーム上で存在しているとは思えない。というよりゲームの情報が賢者由来だとわかった今、こうやってゲーム知識で星神について考察することにあまり意味はないのか?


「問題は、どこでそれを調べられるのか、だけど」

「やっぱり魔界ではないかしら。現在私達は魔界にもコネクションがあるし、調べてみるのも良いんじゃないかしら?」

「そうだな……クロワに話をして、まずは調査してもらうか」


 俺達が現地へ赴くよりも、それが適しているだろう。ただ魔王が資料とかを残すかと言われたら微妙なんだけど。

 とはいえ、決して無駄になることはなさそうだし、やれることはやっておいた方が良い。というわけで、俺はガルクへ話をする。そこで相手は『連絡しておこう』と返答が。うん、これで魔王に関する情報については、ひとまず良いだろうと思った。


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