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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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それぞれの活動目的

 船を乗り換え、数日後には再びリズファナ大陸へと舞い戻ることに成功した……王都から離れており、なおかつ見た目は単なる商船だし、俺達のことが露見する可能性は低いと思うのだが……町を出歩くときは注意して動くことにしよう。

 ここでシルヴィとラディの二人は別行動を開始する。ラディは俺の使い魔を懐に忍ばせ、王女の後を追う形で霊峰へと向かう。幸い王女の旅路はゆっくりとしており、移動に全力を費やせば事件発生前に辿り着けるはずだ。


「二人とも、大変だろうけど」

「心配するな」


 と、シルヴィは笑みを浮かべる。


「困難な旅になりそうだが、必ず全うしてみせるさ……気になる点としてはやはり費用面だが」


 ――二人には、王女の旅に同行するということで相応の旅費を持たせてはいる。ただエメナ王女達の旅がどれほど長期間なのか不明であるため、場合によっては路銀が尽きる可能性もある。

「そこについては、そうなったら考える……まあ最悪、俺が二人のところへ駆けつけて路銀を渡すってやり方もあるし」

「強引だが、一番妥当なやり方か」

「結構無茶だけどな……二人とも、よろしく頼む」


 その言葉と共にシルヴィ達は俺達と分かれた……まあ会話はできるので、何か問題があれば連絡が来るだろう。

 そして残る面子で自由都市トルバスへと向かう……この場にいるのは俺にソフィアとリーゼ。そしてフィリとカティ……エイナを始めとした騎士については、船に残ってもらうことになった。


 俺達を乗せた商船は、リズファナ大陸を周遊し、交易を行うことになっている。その中、港などでエイナ達が情報を集める算段だ。商船に何かあるという可能性もゼロではないので、護衛という意味もある。

 ただ騎士姿だとさすがに目立つので、あくまでエイナ達は乗組員という形で格好は変えている……俺達が船を離れる時、やって来たエイナの格好は船乗りのそれになっており、いつもの彼女とは打って変わった活発な服装になっていた。


「様になっているわね」


 リーゼが感想を述べる。それにエイナは首をすくめ、


「良いのか悪いのか……変装できているとして、喜んでおきます」

「そうね。さて、私達は内陸部で、あなた達は港で情報を集めることになるわけだけど」

「城で私のことを見ている者もいましたから、注意は払いますよ」

「それはもちろん。で、ルオン……確認だけど、エイナ達に情報を集めさせるというのは――」

「さすがに星神に関連する情報……は難しいだろうけど、一応収集をしてくれ。商船という体で活動するから、遺跡に興味があって、商材になるのかどうか……みたいな感じで。もしかすると遺跡に詳しい人と巡り会えるかもしれないし」

「わかった……ただ、情報集めの本筋はそちらではない?」

「ああ。エイナには変化するかもしれない王国の情勢について、常に情報を集めて欲しい」


 俺達はトルバスへ向かうわけだが、遺跡などに潜っていれば当然、世情がどうなっているかを確認する時間がなくなってしまう。エメナ王女の動向に加え、リーベイト聖王国の状況がどんな状態か……それをリアルタイムで常に知っておきたい。


「都付近には使い魔を配置してはあるけど、聞き込みできるわけではないし、情報を得るのは難しいと思う……今回は俺達の大陸における魔王との戦いみたいに、明確に敵がいてそれを打倒するようなものではなく、秘密裏に行われる戦いだ。よって、都だけを観察してもわからないだろう……重要なのは物流だな。例えば戦争に近しい状態になりつつあったら、相応の動きがあるはずだ」

「商人達が敏感だろうから情勢を確認する上で、私達の聞き込みが重要になってくると」

「そうだ。大陸の情勢をつかんで、どういう風に立ち回るのか考える……重要な役目だと思うから、頼むよ」

「ああ」


 エイナは深々と頷く……商人達は普通に交易するし、その中で有益な情報を得られる確率は高いように思える。星神についてヒントを得られるとは思えないが、やれることはやっておいた方がいい。

 さて、これで三手に分かれるわけだが……俺は同行するソフィア達へ向き直った。


「俺達は一直線に自由都市トルバスへ向かう。距離的にはそう遠くないけど……到着してからが勝負だからな」

「私の頑張りどころかしら」


 カティが呟く。現状、星神に関しての情報で一番詳しいのは、彼女……俺も研究班から情報をもらってはいるけど、専門的な部分でわからないこともある。彼女の知識が、一番大切になってくるのは間違いないだろう。


「ルオン、確認だけど期間は設けていないわよね?」

「可能な限り早く、だな……エメナ王女の動向次第で期間は変わってしまう。俺が知る物語が始まってしまったら、いつまでに、という指標は消え失せるからな」

「わかったわ……とにかく、まずは遺跡に関する資料からね」

「頑張りましょう」


 ソフィアの言葉に俺達は一様に頷き――出発した。移動はひとまず馬車によるもので、場合によっては徒歩で進むことになるだろう。


「ルオン様、ひとまず街道を進むことになるとは思いますが……場合によっては山を突っ切るなど、強引な移動もあるでしょうか?」

「まあそうだな……最短距離を突っ走るのなら、人目がつかないように進んでいくのも一つの手ではあるんだけど……」

「道中の町などでも情報を集めましょう」


 と、これはリーゼの言だ。


「エイナ達と同じように大陸内の情勢と、星神について……トルバスへ向かう間も無駄にはできないでしょう?」

「ああ、そうだな……時間的に次か、次の次くらいの町で夕刻になる……そこで情報を集めがてら宿を取るか、それとも夜中でも移動するか……微妙なところではあるけど」

「まずは国の情勢を確認するのはどうでしょうか」


 ソフィアが提言する。


「私達は王城で政治の中心にいましたが……見えない部分や、世俗の意見などは違うでしょうし」

「確かに……ならこの聖王国が世間的にどうなっているのか。それを一度確かめておこう」


 結論は出た。今日は次の町くらいで宿を取り、情報収集を行うことにしよう――そう仲間達に伝え、全員それを了承することとなった。


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