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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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シナリオの道筋

「おおよそ事情は理解できた……あくまで古代の技術を応用したもので、自前ではない。そこに引っかかっているのは理解できる。でも、昨夜の町で見た光景……あれだけを振り返れば、世の中にプラスなのは間違いない」

「はい、そうですね」

「単純に生活を楽にする技術だけではない……何か、危険なものが混ざっていたからこそ、あなたは反発したってことでいいのか?」


 エメナはコクリと頷いた。どうやらここからが核心らしい。


「現状、研究成果によって生み出された技術は、比較的再現が容易なものばかりです。研究資料の中には強力な魔法や武器の製造方法などもありましたが、技術的に難しく再現には至っていない」


 複雑な技術については厳しいと。まあ武器とかが再現可能だったら、軍事力が増強するためよからぬことを考える可能性もあったし、これはこれでいいのかもしれないけど。


「ただ、その中で兄上はとある研究に手を伸ばそうとしている。父上は危険ではないかということで、避けていた部分。それが、この世界の遙か地中に存在しているエネルギーを利用し、技術発展させようとする手法」


 ――なるほど、これでおおよそシナリオの道筋が理解できた。


「エメナ王女としては、そこに危険性を感じ、否定したと」

「はい。しかも兄上はその技術を、密かに研究している……私が知っているのは、協力するように話を持ちかけてきたからです。けれど、私は危険だと断じた。父上もそこについては許さないということで、兄上は秘匿している……つまり、私は兄上の秘密を一つ握っている形になる」


 ふむふむ、確かにそれなら狙う理由にもなり得そうだな……研究内容がどのようなものかわからないが、地中にあるエネルギー……星神に関連するもので確定だな。ロクなことにならないのは間違いない。

 エメナ王女や、現在の国王は反対の立場をとっている。しかし技術発展、国民の生活を良くする大義名分を手にリヴィナ王子は研究している。俺からすれば、いつ爆発するかわからない爆弾みたいなものだ。リスクしかないが……星神の正体がわからなければ、王子みたいな反応を示してもおかしくない。


 つまりエメナ王女が旅立っている間に、口封じの意味合いを込めてリヴィナ王子が攻撃を仕掛ける。そんな追っ手を振り払いながら証拠をつかみ、王子を糾弾する。そういうシナリオになりそうな気配だ。

 そしてこの事件が原因で、世界の崩壊が始まる……古代技術の研究の中に星神のものが混ざっていた。過去人類はおそらく星神によって様々な被害を受けた。この大陸に残っていた遺跡は、そうした被害の契機となった研究をしていた場所、ってことだろう。


 全容が理解できてくると、なんだか霧が晴れたような感じだな……ただ、崩壊までの道筋が明確になったことであまり余裕がないことも理解できてくる。

 エメナ王女とリヴィナ王子がどういった戦いを繰り広げるのかはわからないが……世界が崩壊したという結果を考慮すれば、王子は星神に関する研究をある程度形にして実行に移すのだろう。この場合エメナ王女が止めることができずにという形なのか、それともリヴィナ王子が窮地に追いやられたことをきっかけにして発動させるのか。もし後者であれば、現時点で研究成果を既に持っている可能性もある。


 できることなら王子について調べたいが……星神が相手でそれに関連する研究となったら、下手に干渉するのは面倒なことになるかもしれない。最悪既に星神とは接触しているなんて可能性も……仮にそうであれば、もう止めることはできない……星神が世界を破壊するより先に、俺達の手で星神そのものを破壊するしかない。

 現状で、可能な限り王子のことを調べたくなったな……ただ、そもそもこの城内で研究をしているとは思えないし、調査範囲を拡大する必要性がある。ただそれをしようとすると、怪しまれる危険性がある……か。


 エメナ王女自身にも危害が及ぶ可能性も否定できないし、無理はできないか……? ただ王子の凶行を止めることができれば、星神も――いや、止めることは難しいか。第一、星神は使徒という存在を生み出すくらいに活動を始めている。どういう経緯でそうなったかは不明であるにしても、いずれ何らかの形で地上に破壊をもたらすのは確定的だ。リヴィナ王子がトドメの一撃となるか、それとも……。


 そこまで考えて、俺は小さく笑みを浮かべる。エメナ王女に気付かれない程度のものだ。なぜそんな顔をしたのか……それは、星神が俺に対して行った行動の数々を思い出したからだ。

 実際のところ、既に星神は世界に干渉し始めている。王子を捕まえて、研究そのものを止めさせれば全て解決……とは、さすがにいかないだろう。


 きっと星神は、自分が目覚める何かをここで得ようとしている。今の段階でそれは完了していると考えるべきで、後はタイミングの問題だ。王子を止めてもきっと研究者の誰かが行動に移す……密かに実行されて星神の動きをつかめないよりも、あえて王子を遠方から観察して動向を窺った方が、俺達としては観測しやすい。

 ただ最悪、俺達が介入して実験そのものを止めるプランも考えないといけないけど……もし密かにやられたらそれすらできなくなる。ここは判断が難しいところではあるが、物語通りに事を進めた方が、俺達にとっても与しやすいか。


 やはり最重要なことは星神について情報を集めることだな。星神がどういった存在なのか……それを知る方が先だ。知識を得た上で身の振り方を考える……方針としてはこれがベターな感じだろうか。ただ、状況的にあまり猶予は残されていない。

 どれだけ短期間で調べられるか……不安だらけだが、やるしかないな。


「……話してくれて、ありがとう」


 俺はまず、エメナ王女へ礼を述べた。


「危険な研究をしていることは理解できた。とはいえ、こちらも立場的に王子をどうこうというのは危険だし、やりたくはない。話によるとまだ研究途中で、それが完成するまでは大きく動くことはないと思う。最善手としては、あなたの旅路で王子を糾弾する何かを見つけることか……相手が行動を起こしている以上、必ず尻尾は出すはずだ――」


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