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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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王族達

 他に顔を合わせた王族としては、レノ王子がいる。兄と同じく金髪の男性で、エメナ王女の弟にあたる。顔立ちは、まだ少年であるせいか格好いいとかよりも愛嬌がある。

 で、英雄である俺を見て瞳をキラキラさせている……最初に話し掛けなかったのは、緊張していたかららしい。


「そうですね、話せるエピソードはありますが……」

「な、なら……神霊を圧倒したというお話は、本当なのでしょうか?」


 何かの席で誰かが話したのかな? そういえば以前、話のネタに使ってもいいかガルクとかフェウスとかに尋ねてみたら双方とも「構わない」とあっさり許可が出たな。

 神霊側としてはプライドとか傷つけられないのかなあ、とかその時はぼんやり考えていたのだが、他ならぬ当事者が「厳然たる事実だし、隠す必要性はどこにもない」という返答だったのだ。結果、俺もクローディウス王とかに「ネタで使ってください」と言っていたので、今こうして話題に上がっている。


 この国に精霊の類いはいないけれど、精霊という存在が人間と比べて強い存在であることは認識している……というより、むしろ身近にいないからこそ、神格化している面だってあるかもしれない。

 たぶんレノ王子についても、そのような考えなのだろう……うん、まあ話してもいいか。


「では、不死鳥フェウスと戦った時のことを。魔王を討つために神霊に協力を仰ぐ必要性があったのですが、フェウスは実力を示せと告げ――」


 で、話をしている間に俺を見ている目がさらに輝く。なんというか、大好きなオモチャを目の前に出された子どものようで、俺としてはそんな期待に応えられるだろうかと、ちょっと不安になったりしたくらいであった。

 ただ今回の話は結果として、彼を満足させることには成功したようだ。魔王との戦いに関するエピソードなどは後日、ということになり、ようやく懇親会はお開きとなった。


 今回顔を合わせた王族は三人……現在の王様の子ども全員だ。さすがに兄弟とかで争う可能性は低いとは思うのだが……そもそも動機がないように感じられる。王位継承については長男のリヴィナ王子で決定しているので、継承問題ではない。かといってレノ王子が謀略を巡らせるという姿はあまり想像できない。試しに兄と姉のことを聞いてみたらとにかく自慢げに語っていた。彼にとっては尊敬できる人のようだ。


 演技、という風にも見えなかったけどな……ひとまず騒動の首謀者である可能性はゼロではないから容疑者リストには入れておいて……部屋へ戻ってくる。その直後、ソフィアとリーゼが部屋へ来た。


「エメナ王女と話をするとのことですが」

「従者が来るらしいから、それまで待とう……さて、ソフィア、リーゼ。懇親会でこの国の人と接してどう思った?」

「これから騒動が起きるとは思えない感じね」


 と、腕組みをしながらリーゼは話す。


「当然なのかもしれないけれど……繁栄していて、これからもずっとこんな世の中が続くような……」

「そうだな。ま、王女の誘拐なんてものが世間に広まる可能性は低いし、表向きは平和な世の中が続くだろ」


 肩をすくめながらリーゼへ話す。


「俺は『ディスオーダー・クラウン』について序盤しか知らないけど、たぶん町の人とかに話し掛けても王女が誘拐云々とか、王家に何かしら黒い噂があるとか……そういう話が出てくることはないと思う」

「公になることはない、と」

「ああ、そういう認識で構わないと思う」


 町の人が右往左往しているのであれば、王女が町中を移動して混乱だって起きるはずだし……まあ、その辺りの事情についてはあくまでゲームだから、と解釈することだってできるけど……今まで遭遇したシナリオのことを考えても、俺の解釈で間違ってはいないはずだ。


「で、これからエメナ王女と話をするわけだけど、何か狙いがあるのかしら?」


 話を変えるリーゼ。そこで俺は、


「二人に頼みがある。これは明確なチャンスである以上、是非ものにしたい。そして、これがおそらく最後のチャンスだ。彼女は旅の準備を始めるようだし」

「なるほど……しかし、話をするにしても長くて数時間ほどでしょうか」


 ソフィアはどう話を向けるか考え始める。はっきり言って余裕など皆無に近い。わずか数時間の雑談で、どこまでエメナ王女に踏み込むことができるのか。

 何か良い案があればいいけど……と、そこでリーゼが、


「一応、私に考えがあるけど」

「本当か?」

「期待しているようだけど、通用しない可能性もあるから……ルオン、あなたはパーティーで顔を合わせたエメナ王女のことをどう思った?」

「俺か? うーん、そうだな……なんとなくだけど、陰があるように感じた。それは何か懸念するようなことがあるのか、それともああした場所を苦手としているのか」

「懸念、というのは自分の身に何かが起きると予見しているのかしら?」

「わからないけど、その可能性はゼロじゃないな」


 旅に出れば身の危険があるとわかってはいるけれど、それでも止めることはできない……とはいえ、その辺りをいきなりつついてみるのも危険だ。場合によってはヤブヘビになりかねないし。

 難しいが、ここはリーゼに任せようか。俺やソフィアは対案を出せないし。


「リーゼ、成功失敗については問わないし、そちらの考えている方向で話をしてくれないか?」

「ええ、いいわよ……失敗したらごめんなさい」

「元々、皆無だったチャンスが巡ってきた程度だ。ここで失敗しても、リカバリーの余地はある……とにかく、頑張ろうじゃないか」


 そこで、ノックの音。扉を開けるとエメナ王女の従者を名乗る男性騎士が。

 黒髪で、柔和な笑みを浮かべる好青年だった。名前は名乗らなかったけど、俺はその出で立ちに記憶がある。ゲームの登場人物……というか、主人公勢の一人だ。


 名前は確かジャック=フォーレンだったかな。王女と年齢が変わらないくらいでありながら王家の人を守る近衛騎士をしているということで、エリート騎士というポジションだったはずだ。


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