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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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大陸を渡るために

 祭事は滞りなく進み、俺とソフィアは晴れて婚約者という形に。それが正式な形で公表されて以降、国は祝福ムードに包まれた。

 王女の相手が英雄であることも、それに拍車を掛けたらしい……クローディウス王が言うには俺に対し人々はかなり支持していると。だから何か悪巧みを考えている輩が入るにしても、下手に干渉してくることはないだろうと言った。


「ひとまず、立場としてはこれまでと同じように、というのが無難だろうな」


 クローディウス王はそう述べる……場所は客室。祭事が終わり数日経過して、次に行うこと――リーベイト王国に関することで話し合うため、俺と王は顔を合わせた。ちなみにソフィアなどはいないため、完全に二人である。

 その中で、俺に関することをまずは説明。こちらを安心させる意味合いがあるのだろう。


「ルオン殿としては、星神との戦いに集中したいという思いもあるだろう……よって、リーベイト王国へ来訪するまではこれまで通りという形で構わない」

「……確認ですけど、重臣の方々から何か要請があったりするんですか?」

「私からも事情を説明しているため、そのようなことはない」


 ふむ、それなら良かったかな。


「リーベイト王国との折衝についてもこちらがやるため問題はない。それまでにしっかりと準備をしていてくれ」

「わかりました……ちなみに同行者は?」

「ルオン殿とソフィア。それに加え、複数名護衛として帯同する予定だ。騎士達が無難だろうが、ルオン殿の組織の人員をつけるのもありだな」


 騎士と組織メンバーの混成でいいだろう。誰を連れて行くのかについても、きちんと決めておかなければならないか。

 ただ、絶対に同行するとか言い出しそうな人物が一人。


「……リーゼ王女はどうしますか?」

「ふむ、彼女か。ルオン殿としては、ついていくと言い出しそうだと感じているわけだ」

「はい。色々と首を突っ込みたがる性質なので」


 なんだか否定的な言い方になってしまっているけど……戦力としては組織のメンバーでもかなりのものだし、俺としては信頼しているのだが。


「うむ、これについては国同士の話し合いもあるからな……リーベイト王国側と話し合う必要性がありそうだな。王女が二人同行するとなれば、向こうも対応を変える必要だってあるはずだ」

「そうですよね……」

「なんだか困惑顔ではあるが、同行したからといって決して悪い結果にはならないと思うのだが」

「リーゼ王女が問題を起こすという懸念をしているわけではないんですが」


 彼女も見知らぬ国を訪れる以上は何かあっても冷静に対処するだろうし……するよな?


「ともあれ、リーゼ王女の件についてはこちらも協議しておく」

「わかりました」

「さて、ルオン殿。ある程度リズファナ大陸を訪れる目処も立ち、なおかつ星神との決戦も近い状況だが……リーベイト聖王国へ行き、何をする?」

「まず、魔界で得た情報について、調査をします」


 魔王クロワの妹であるアンジェの予言……彼女によれば、あの国を訪れることで星神に関する情報を得ることができるらしい。

 もっとも、どこに行けばという点が抜けているので、現地へ行って情報収集しないと行けないのだが……果たして簡単に見つかるのだろうか?


「ルオン殿としては、厳しいと感じているのか?」


 クローディウス王からの疑問。情報を得ることが難しいのか、と問うているわけだが、


「……リズファナ大陸に何かしらの情報があるのは間違いないですが、その場所まで特定できているわけではないので」

「なるほど、な。場合によっては長期滞在も視野に入れなければならないか」

「公的な来訪である以上、あまり時間もないってことですよね」

「うむ。向こうの歓待がどのようなものなのか……それを含め、現地へ赴いた際に臨機応変に対応する必要性が出てくるだろう」


 そうだよな……ここで俺は思考を開始。まず星神についての情報だが……これはあくまでゲームを基にしたメタ的な見解なのだが、簡単に情報を手に入れることはできないと考える。

 ゲームのシナリオ的に、リーベイト王国で始まると思しき騒動と星神が関係しているのだとは思う。では肝心の星神について核心的な部分に触れるのは……さすがにシナリオ序盤ではないだろう。なんというか、大陸を隅々旅をして、最終的に行き着く場所、みたいなイメージがある。


 そうした情報を得て、例えば星神の力を得た存在と決戦……という構図が一番わかりやすいだろうか。よって、俺が求める情報を手に入れることのできる場所は……大陸の端っことか、そういう可能性だってあり得る。


「時間的な制約を考えると、大変かもしれませんね……」

「いざとなれば国に協力を要請する方法もあるが」

「星神のことを語る必要性が出てくるわけですが、最大の問題は城側に星神のことを知っている人間がいた場合……俺達に対し敵意を向けてくる可能性だってあり得ることでしょうか」


 今回のシナリオ、もう一つ問題があって誰が騒動の首謀者なのかわからない点だ。俺は物語の冒頭しか知らないので、そこから黒幕を推測するのは不可能。誰かに当たりをつけるなんて無茶もできないし……リーベイト王国側の人間については、味方だと思わない方が良いかもしれない。

 とはいえ、リズファナ大陸がどのような場所なのか、俺達は把握できているわけではないため、国側の協力は必要不可欠だろう。詳細な地理的情報を得るだけでも役立つし、まずはそうした情報を得るところから。


「いざとなれば帰還する際に上手く抜け出して、大陸を探し回るしかないですね」

「なるほど……まあそれもやむなしか」


 王は苦笑。ソフィアにまた旅を……と考えているようだが、


「ルオン殿がいれば問題はないか……そういう状況に陥った時に備え、こちらでも説明できるようにはしておこう」

「ありがとうございます……後は、神霊などと協力して連絡手段を確立すること、でしょうか」

「うむ。大陸間で容易にやり取りできる手段……厳しいかもしれないが、どのような状況になるのかわからないのだ。やっておく必要はありそうだな」


 何をすべきか決まっていく。旅が始まるまでに、優先順位を決めて一つずつクリアしていくことにしよう――


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