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賢者の剣  作者: 陽山純樹
真実の探求

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村の情報

「ひとまず、村へ戻り情報を収集しましょう」


 エイナは俺達へ述べた後、一度山を仰ぎ見た。


「村で情報を得た魔物と先ほどの魔物が一致するのかどうか。加え、交戦したことで相手がどう動くのか。その辺りを含め一度様子を見るべきです」


 退却するのでもなく、進むのでもなく折衷案ってところだろうか。放置はできないので、ひとまず情報集めをしようというわけだ。

 俺がエイナの立場なら同じ選択肢をとるだろう……というわけで、俺達は元来た道を戻り始める。ただ問題は、


「確実に予定通りに帰ることはできなくなるけど」

「城にはこちらから報告します。ただ、ソフィア様を含め、お三方は村で待機でお願いします」


 俺とソフィアとリーゼだな。後はユノーとかもそうか。まあそれは仕方がないか。

 調査については騎士達に任せるとして……しかし、あの魔物は一体なんだろうか。倒してしまったので他の個体を見つけない限り情報を得ることはできないのだが……、


「ガルク、先ほど交戦したことで得られたデータとか、あるか?」

『現状は先ほど語った通りだ。どうやら魔物がどのような特性なのかを気取られないようにしているな』

「そんなことまでするというのは……本当に人間の仕業なのか?」

『わからないが、魔族である可能性も低いだろう?』

「例えば、そうだな……魔王軍が敗れ去り、他の魔族達と顔を合わせることなく仇討ちのために粛々と復讐の機会を窺っているとか」

『あり得ない話ではないが……』


 一度魔界側とも連絡してみるべきかなあ? とりあえず疑問は多々あったけれど、今はひとまずエイナ達の指示に従い、村へ赴くこととなった。






 そこから村に存在していた空き家を間借りして、エイナ達が外に出て情報収集を行う。その間に状況を城側に報告し、ひとまず待機ということで構わないという許可も得た。

 また同時に俺の魔法が弾かれた(といっても、全力じゃないけど)ことを重く見たためか、組織の人間をこちらへ派遣することになった。なんだか大事になっているけど、


「ルオン様の攻撃を防いだという一事が、よほど衝撃的だったようですね」

「本気の魔法を防がれたら一大事だけど、そこまで言うことかなあ?」

「警戒してしかるべきものだとは思うわよ」


 俺とソフィアが会話している時、リーゼが横から口を挟んだ。

 ちなみに現在は空き家の四人掛けテーブルを利用してお茶を飲んでいる。ベッドなども人数分あるので、ここで休むことはできそう。騎士達はどうするのかと疑問はあったのだが、


「村人が各々の家で泊めてくれるそうです」

「よく説得できたな」

「いえ、騎士達が警戒しているのを見て、呼び止めたと」


 ああそうか。村人達も不安だろうからな。護衛の意味合いもあるわけだ。

 ここで寒さをしのげるのは良いし、調査が終わるまで俺達は待機で良いだろう……今まで俺は自分の足で情報を得る機会も多かったわけだけど、今後はこういう形で椅子に座るようなケースも多くなるだろう。今のうちに慣れておかないといけないかな?


「今回の魔物だけれど」


 考えているとリーゼが俺達へ語り出す。


「武装している魔物……加え、天使の魔力を感じ取った。魔物がそもそも天使の武具を扱えるなんて、なんだか非現実的だけど」

「今回戦った際の武具は、天使の武具を参考にして首謀者が作成した物と捉えることができる……つまり、魔物に扱えるよう調整された代物」

「天使の武具そのものを扱うことは?」

「どうなんだろう……ただ、もしかするとこの大陸を襲撃した魔王は、何かしら思うところがあったのかもしれない」


 根拠は五大魔族の一角であったグディースについてだ。あの魔族は他とは違い、魔王から天使の技術について調査を進めていた。それにより宇宙へ赴こうかというほどの高度に本拠を構えていた。つまり、


「天使の武具を扱えるかどうかは不明だけど、使えるようにするべく動いていた……可能性はある」

「なるほど。その情報を考慮するだけでも、厄介そうね」


 リーゼが嘆息する。まああくまでグディースだけがそういうことをしていたので、他の魔族がやっていたかどうかはわからないのだが……あの魔族が保有していた技術を誰かが得て、悪さをしようとしている、なんて可能性はゼロじゃないな。

 問題はその目的が何であるかなのだけど……と、ここでノックの音。返事をするとエイナが家の中へ入ってきた。


「ひとまず情報をとりまとめたのでご報告を」

「結論から話して。村人が語っていた魔物と私達が相対した魔物は一致していた?」


 ソフィアの疑問にエイナはしっかりと頷いた。


「はい。それで間違いないようです」

「少なくとも村人を襲うことはなかったと」

「相手が魔族か人間か……わかりませんが、相手からすれば村の人間に通報されて討伐隊が来た、と考えてもおかしくない状況です」


 あー、言われてみればそうだな。相手からすれば祭事のために花を摘みに来ました……などと考えるなんてあり得ないし。


「よって、私達が交戦したことで何かが変わるかもしれませんので、一両日経過を観察すべきかと」

「――この村を襲撃してくる可能性はありそうか?」


 俺の質問にエイナ達は押し黙る。


「相手は何であれ、こちらを襲撃した。真意はまだわからないが、こちらは魔物を倒した以上敵対勢力だと認識はしただろう。場合によっては今まで襲わなかった村を攻撃する可能性もある。俺達だっているし」

「確かに……ならば騎士達に命じて昼夜警戒を行います」

「大丈夫なのか?」

「ご心配なく」


 自信ありげにエイナは応じる。このくらいは問題ない……そう目で語っている。


「なら、任せるよ。ただ、俺達の方はいつでも戦えるようにしておくから、緊急事態になったら頼ってくれ」


 エイナは頷くと騎士に指示を出すため家を出る。あの様子からして張り切っている様子だが、


「大丈夫かなあ」

「エイナの仕事です。大丈夫でしょう」


 そうソフィアは返した。しかし、


「問題は、エイナの想定を超えるような規模の襲撃が来た場合……」

「俺達は無論警戒するし、こちらはこちらで動けるよう準備をしておくのが無難だろうな」


 俺の意見にソフィアもリーゼも頷く。単に花を求めて来たわけだが、きな臭くなってきた……ただ、いくつも疑問がある案件だ。野放しにはできないため、ここで絶対に解決するとしよう――


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