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賢者の剣  作者: 陽山純樹
星神の使徒

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魔法連打

 光が、真っ直ぐ星神の使徒へと向かって行く……『ラグナレク』のアレンジバージョンであるその魔法は、速度も出て成功と言ってよかった。

 現段階では細かいアレンジを施すくらいの形になっているが、デヴァルス達から教えてもらった技法についてはあまり使用はできていない。そこについては、残念ながらあまり間に合わなかった。


 けれど現段階で威力を最大にしたつもりだし、『共鳴』状態による攻撃ならば、通用する……というデヴァルス達の試算もあった。よって、今回これを使用した。

 なおかつ『ラグナレク』のように多少間を置くにしても連続で撃つことができる点も大きい……光が使徒へ吸い込まれていく。巨大な相手からすれば豆粒のような小さなものだろう。


 しかし――その光が使徒へ直撃した。刹那、凄まじい閃光が使徒を中心に発生。一瞬でその体を光の柱が包み込み――直後、拡散。俺達の視界を完全に遮った。


「っ……!」


 誰かの悲鳴にも似た声が聞こえる。その主がわからないまま、俺は前方の気配を探ろうとするが……まだ使徒と距離があるし、さすがに判別はつかなかった。

 閃光の後、一瞬遅れて轟音が耳に入ってきた。ゴオオオオ、とまるで星神の使徒が放つ雄叫びのように、島へと音が響いてくる。俺が全力で放つ魔法では、これほどの規模魔法を展開することはできない。しかし『共鳴』状態であったら……融合魔法でさえ見たことのないその出力に、俺は半ば呆然となる。


 とはいえすぐに我に返って二発目の準備を始める。閃光はまだ視界を塞いでいるが、この威力ならば使徒の歩みも止めていることだろう。そう問題にはならないはず。

 それから少しして、光が途切れた。魔法が終わったのだと理解すると同時、使徒の姿を肉眼で捉えたのだが、


「……凄まじいな」


 デヴァルスが、半笑いすら浮かべながら呟いた。

 まず、その体が大きく損傷していた。頭部については吹っ飛び、なおかつ胴体も十二分に抉っている。


 ここで俺は手を緩めない。動きが緩慢になっていることに加え、


「魔力がずいぶんと揺らいでいる。攻め時だ」


 そうデヴァルスが助言したため、二発目の魔法を放つ――それは立ち尽くしている使徒の体へ着弾し――再び、巨大な光の柱がその体へと襲い掛かる!


「すげえな……」

 クウザと思しき声が耳に入ってくる。閃光と轟音が周囲を包み、俺達はじっと使徒の状況を確かめるべく魔力を探る。とはいえさすがに二度目も捉えることは難しい……やがて閃光が消えると、体の半分以上がなくなっていた。


「さすがに上半身が消えたら、崩れそうだけど……」

「いや、まだだ」


 カティの言葉にデヴァルスは否定する。


「見た目は獣だが、あれは動物と同じような身体構造を持っているわけではない。例え脳などを消し飛ばしても崩れていない以上、まだ体の維持はできている」

「なら、さらに放てばいいだけの話だ」


 俺はそう告げると三発目を放った。これだけの威力を出しながら連射ができる……十日前と比べれば恐ろしい進歩だ。


 再び閃光が周囲に広がった瞬間、俺は声……のようなものを耳にする。使徒は頭部が吹き飛んでいるので、音を出すことはできないはずなのだが……とはいえ、それは断末魔のようにも聞こえた。

 使徒は高速再生を行っているはずだが、それを遙かに上回るだけの出力をこちらが出せている……これは、あと数回魔法を撃てば、勝負が決まるか?


「デヴァルスさん……あと三回くらいか?」

「わからないが……この調子なら、長くとも十回くらいで終わるはずだ。ルオンさん、いけるか?」

「ああ、問題はないよ」


 返事と共に俺は再び魔法を使用。閃光が途切れ、その直後に直撃するような形にした。さらなる光が覆い被さろうとする寸前に捉えた使徒の姿は……破壊により、もはや限界に近く、肉塊のようなものへ変じようとしている姿だった。

 再び白い光が生じる。ここまで来れば仲間達も閃光と爆音には慣れ始め、状況を確認しようと視線を向けるくらいの余裕は生まれていた。


「全員、まだ問題はないか?」


 俺は平気だが、中継者とかは……ソフィアを始め、組織の面々は大丈夫とばかりに小さく頷いた。なおかつ魔力を生成する者達も余裕の表情。十発どころではなく、結構な回数を問題なく撃てそうだ。

 こちらについては問題ない……後は使徒の様子だが……ここで俺は一度魔法を止めた。肉塊のようになって小さくなっているなら、狙うべき的が小さくなっていることを意味する。魔法を撃って外したのではさすがにまずいから、今度は狙って撃つべく少し間を置く。


 使徒の魔力に狙いを定めて直撃するように軌道などは気を遣っているのだが……と、光が消えその姿が見えた。もはや獣の構造はなしていない。限界間近といった様子で、使徒は動きを止めている。


「半分くらいは……抉ったか?」

「このくらいの魔法攻撃でこれだ。もはや勝負は決まった……と言うべきか」


 デヴァルスは小さく笑みを浮かべながら言った。


「とはいえあの使徒の体が完全になくなるまで、魔法を使い続けるだけだ」

「ああ、わかってる……さすがに変化はなさそうか?」

「再生することに注力しているはずだが……うん、体の部位を再生しようとしている。とはいえ、こちらの魔法がそれを消し飛ばすだけの力を持っている。いけるな」


 ならば――俺はさらに魔法を放った。一方的な蹂躙となっているが、これは俺達の成果……ここまで圧倒的にとは驚くくらいであったが、勝利することができた。星神との戦いで大きな進歩と言えるだろう――


 そんな風に思った矢先、使徒の動きに変化があった。それはほんのわずかな魔力の揺らぎ……いや、この距離で感じるのだから、それが小さいものでないのは明白。俺の魔法が直撃するより先に、何かをした……が、回避することはできず再び直撃した。

 俺は少し気に掛かり、今度は光が収まるのを待って確認しようと決めた。次の魔法を使い準備に入りながら、閃光を真っ直ぐ見据える。それほど時間が経たずして光は消えるのだが……そこで、星神の使徒に明確な変化が現われていた。


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