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賢者の剣  作者: 陽山純樹
星神の使徒

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仕掛けの先

 目の前に存在するギミックは、わかりやすく言えば石像をどの向きにするかというものだ。ゲームではまあまあ見かける仕掛けであり、これにより先ほど見た扉の鍵を一つ解除できる。

 ただ、この場に解読するヒントもないしどうすればいいのか初見ではまったくの意味不明だろう。実際にソフィア達は石像を見てどういうことなのか首を傾げていた。


「ルオン様、これは?」

「ああ、ゼナス諸島にこの石像と同じような配置を行っている場所があって、その通りに顔を向ければ鍵の一つが開くという仕組みだ」

「他の島に赴いて情報を得なければいけない、と?」


 ソフィアがさらに首を傾げる。


「……改めて思うのですが、なぜそのような手の込んだ構造にしたのでしょうか……?」


 ……ゲームだと「まあダンジョンだし」で終わるだけの話だが、これが現実になってしまうと「どうしてこんな物が?」と考えてしまうのも仕方がない。


「疑問はよーくわかるけど、俺としても魔降という存在がどういう理屈でここに仕掛けを作ったのかはわからないな……実際にその魔降に会わない限りは」

「そう、ですよね……失礼しました。ではどのようにすれば?」

「俺が指定するように石像を動かしてくれ」


 指示により、仲間達は動き出す。四つしか石像はないので動くことがわかればすぐに対処できる。

 程なくして俺の指示通りに石像の向きを変えた。結果、足下でガコンと一つ音が鳴り、どこかでゴゴゴ、と何かが動くような反応があった。


「これで成功ですか?」

「ああ、そのようだ。この調子でもう一方にある仕掛けも解除しよう」


 ――左側に赴くと、そこにはまたも石像。ただし今度は床ごと動くようになっており、石像の配置によって鍵が開く仕組みになっている。

 現実にこういう仕掛けがあることについてはソフィアが疑問を抱いたように、何のためなのか首を傾げてしまうな……まあ迷宮の侵入者を追い払うためにここまで手の込んだ処置をしたってことなのかもしれないが、それにしたってもっと効率の良い方法があると思うし。


 ゲーム上では、これまで培ってきたゲーム知識の総集編的な位置づけだったので、こういうギミックがあるのもわかる。だが現実になって理由を求めてみると……謎ばかりだなあ。

 とはいえ答えが出ない問題だし解明する暇も無いのでとりあえず横に置いておくことにして、俺達は大扉へ。押してみると、あっさりと開いた。


 この先は通路になっており、下の階層へ進めるはずなのだが……ここで予想外の光景が現われる。真正面は通路ではなく、広い空間だった。


「……何?」


 俺の小さな呟きに仲間達も警戒を示す。予想外の出来事が起こったとすぐさま認識したらしい。


「明かりをさらに強くする。少し注意してくれ」


 光量を上げ、なおかつ光を投げる。そうして映った景色は……ゲームとは異なる大広間。なおかつ、どうやら下へ続く階段らしき場所と、その手前に魔物の群れがいた。


「……下を守る守護者ということか」


 オルディアが戦闘態勢に入る。他の仲間達も同様の構えを見せ……魔物を観察。

 今までと同様にシルバーロードが多いけれど、その数はこれまでの数体とは異なり、十は優に超えている。なおかつ悪魔の後方にどうやらグランドウォリアーが複数体。加え、メイガスもシルバーロード達の隙間から見える。


「……さすがに数が多い。空間も広いし、魔法により制圧した方がよさそうだな」


 俺の言葉に仲間達も同意するのか一斉に頷いた。


「よし、俺とソフィア、クウザの三人で仕掛ける。エイナ、オルディアとリーゼは俺達を守るようにして、前に出ることはしないでくれ。そしてカティは、広間に罠がないかを確認して欲しい」


 その指示により全員が動く。さて、ゲームで言えばボス戦だがこれまで登場してきた敵なので、対処を誤らなければいけるだろう。

 俺達が大広間に侵入した直後、シルバーロードが一斉に吠え、突撃を開始した。数としてはおよそ三分の一ほどだろうか。これにメイガスの魔法が加われば、面倒な話になってくる。


 よって俺は防御に回る。そこでソフィアの『ライトニング』とクウザの光魔法が輝き、大広間を駆け抜けた。

 二人の攻撃によって、突撃しようとしたシルバーロードの数体が動きを止める。そこへクウザの魔法が重なり撃破に成功。とはいえ全てを消し去ることはできなかったため、俺達に敵が迫る。


 だがそこでオルディア達が……交戦開始。これまでの戦いで悪魔の対処法を確立した彼らは、メイガスから来るかもしれない魔法を警戒しながらシルバーロードを倒していく。リーゼが渾身の一撃で悪魔を引き裂いた瞬間、他の個体が隙の生じた彼女へ襲い掛かる。だがそこでエイナが援護に入り悪魔の腕を両断。リーゼの追撃が重なって撃破に成功した。


 オルディアは悪魔と一対一で交戦するが、的確に刺突で肩や胸を刺し貫き吹き飛ばした。後方の悪魔を巻き込んで倒れ伏した悪魔はさすがに耐えきれなかったか消滅。他の個体も多少もたつき攻撃が遅れる結果となる。


 もし隙が生じて攻撃されれば他の仲間がフォローを入れる……そんな立ち回りでシルバーロードを倒し続ける。やがて前衛の悪魔が消え去ると、今度はメイガスからの魔法が飛来した。

 それは氷魔法で巨大な氷柱が一斉に降り注ぐ……中級魔法の『アイシクル』とか、その辺りだろうか? それに対し俺は防御魔法を行使。魔力障壁により完全に防ぎきる。


 メイガスは複数体いるので他の魔法が来てもいいようにしたのだが……ここでクウザとソフィアが魔法を発動。再び雷光と光が駆け抜ける。魔力障壁は裏側からなら透過するような仕様にしてあるので、彼女達の魔法は容赦なく魔物の群れへ飛来する。


 双方とも今度は先ほどより強力な魔法……まずクウザは光魔法『グングニル』。無詠唱魔法でこれを使用するとは驚きだが、さすがに威力は俺のものと比べずいぶんと落ち着いている。とはいえ悪魔達に対しては十分決定打になる威力を持っていた。

 そしてソフィアは上級魔法の『ディバインロード』を選択した。雷光が広間を貫き、光がまばゆく広間を照らす。


 そこへクウザが追撃を掛ける。今度は風の魔法で、雷光で動きを縫い止められた魔物達を切り裂いていく。

 二人の魔法により敵は相当隊列を乱した様子……ここでさらに複数体のシルバーロードが突撃を開始。ならばと俺は一度魔力障壁を解除。次の魔法に備え準備をしながら、オルディア達の援護をすべく呼吸を整えた。


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