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賢者の剣  作者: 陽山純樹
星神の使徒

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難題

 ガルク達に多種族の招集をお願いするとして、俺は一日どうすべきかを考えてみる。

 俺の知識が必要になるとガルクは語っていたが……星神という巨大な相手に対し、どういうことが通用するのか?


 まず、現状を洗い出すか……俺は新たな技として、敵の能力を解析して大きなダメージを与える手法を開発した。ただこれが完成するのはまだまだ先――十日間全力を出して鍛えても使徒を倒せるとは思えない。

 よって、これについてはひとまず置いておくしかない。これ以外の要素……星神の使徒に対抗できるものは何なのかを考えなければならない。


 元々、俺は魔王を倒すために強くなった経緯がある。なおかつ魔法についてもゲーム知識で保有していたものを習得した。結果的に俺は魔王が持つ特殊な魔力障壁さえなければ魔王すら倒せる実力を手にしたわけだが、これだけで今回の相手をどうにかするというのはキツイ。


 能力的に実現不可能というわけではなく、敵の特性によって倒すのが辛いというのが今回。無限ではないが現時点で手に負えない再生能力と、その圧倒的な質量……ただ、今後星神そのものと戦っていく上で、避けては通れないであろう展開。星神との対抗手段を構築するためにも、真正面から打ち砕かなければ――


「うーん……」


 部屋の中をグルグル周りながら考える。俺の知識俺の知識……。

 なんだか時間を無為にしているような気もするけど……けど、必要などと言われたら――


「いかん、堂々巡りになっている」


 深く考えすぎなのか? あれほど巨大な相手と遭遇するのはもちろん初めてだし、それにより気圧されていたのかもしれない。


 一度原点に立ち返って考えてみよう。まずゲームにおける再生能力について。例えばトロールとかについては時間事に継続的にHPが回復するという仕様だった。たぶん、今回の相手も同じだろう。俺達が魔法を放った後に敵は再生を始めていた。なおかつこれは推測の部分もあるが、再生により例えば皮膚が強固になるとか、そういう変化はなかったはず。つまり時を遡ったかのように、元に戻る効果がある。


 大質量故に戦った際は考えが及ばなかったけど、特性そのものはこれまで存在していたゲームの範疇。ただしその回復速度――つまりHPの回復量が桁違いということ。正直、あの理不尽な再生速度をゲームで忠実に再現したら「イベント戦」だろうと思ってしまうだろうな。


 実際、HPが無限に回復するとか、防御力設定を上限まで引き上げて攻撃を効かなくしたりとか、そういう能力付与によりイベント戦が行われた場面もシリーズの中で幾度となくあった。それを例えばゲームで無理矢理倒した――という動画などがネットにアップされていたりもした。


 ただ、それはゲームの仕様を突いたり、あるいはバグ技などを利用したものが大半であり、さすがにそれを現実になった今再現するのは不可能だ。

 これまで俺はそうしたバグ的なものを活用して戦ってきたわけじゃなく、正攻法でやって来た。そもそもバグ技を行使することができたのなら、魔王もそれを利用してどうにかなっていたかもしれないし。


 だったら、そういう手法を――と最初思ったのだが、それはさすがに今回の策とは馴染まないかなあ。それに、今までやって来た手法とはあまりにも違いすぎるし、博打にしても相当勝ちの目が薄い。さすがに止めておいた方が無難か。


 俺は今回提案された策について頭に思い浮かべる。問題点は山積みだが、特に課題となるのは二点。一つ目は様々な種族の力をどうやって結集するのか? ここがまず大問題になっていて、他の面々も頭を悩ませている。

 魔力の質的に果たしていけるのか? この辺りが疑問であり、また同時にガルクや幻獣が頭を悩ませているところである。


 で、問題点二つ目。これについてはあまり言及されていないが、重要。それは「結集した魔力をどういった器に込めるのか」だ。

 デヴァルスとかの考えだと大地とかに収束させ、俺が魔法でぶっ放すとか考えているのかもしれないが……確かにその方法でもアリだとは思うけど、大地に収束させるというもう一段階の技術が必要となるので、これも現実的に可能なのかが疑問に及ぶ。


 俺とソフィアの融合魔法のように、他者の魔力と組み合わせて魔法を行使することは可能だ。けれどそれを一度大地に収束……それを操作できるのか。


「ここは俺の問題だからな……」


 理想的なのは、例えば武器にでも収束させて攻撃する。その武器の特性さえきちんとわかれば、大地に魔力を注ぐよりも扱いやすく、だいぶ検証が楽になる……俺は自分が使っている『天封の剣』を頭に思い浮かべる。それこそどれだけ魔力を集めても平然と収束できるので、もしかしたらこの問題を解決できるかもしれない。

 だが、この剣自体は詳細が不明な部分もあり、正直賭けとしてはかなり分が悪いと思う。そもそもどれだけ魔力を吸えるのかわからないので、もし今回の策で用いてオーバーフローでも起こしたら目も当てられないので、使えない。


 かといって、他に魔力を収束できるものがあるのかどうか――


「……ん? 待てよ?」


 ふと、思い出す……そうした武具があるのかどうか。


 俺は頭の中で『エルダーズ・ソード』シリーズの作品を思い返す。ソフィア達のいるシェルジア大陸を舞台にした『スピリットワールド』は無茶苦茶やりこんだわけだが、他の作品だって一通りプレイしている。さすがにシステムの細かい部分まで把握していない作品もあるが、ストーリーについては頭の中にあるし、登場する敵などもおおよそ記憶にはある。無論アイテムについても。


「候補になりそうなものはあるか……それと」


 もしかすると、第一の問題点である魔力収束についても活路が見えるか……?


「ただ、これについては色々調べないといけないことがあるな……その情報が得られたなら、動いてもいいか?」


 もっとも、実行し成果を上げるには時間が結構必要になる。全力で動けば十日以内には収まるだろうけど、そのアイテムを手に入れた後に検証なども必要になるし――


「いや、まずは候補が浮かんだんだ。それについて調べてみるか」


 まずは情報を探す。それにより仲間にどうするか相談するとしよう……そう心の中で呟き、俺は部屋を出た。


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