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賢者の剣  作者: 陽山純樹
異世界への転生
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拠点作成

 さて、実戦でレベルアップしていくと決めたはいいが……俺はまだ十を過ぎたばかりの子供。例えば経験値を求めて遠方に行くなど両親に相談すれば当然反対されるし、かといって密かに外へ出ていくにしても家に帰らないとまずい……なのでとりあえず、ある程度成長するまでは家の周辺で経験値を稼ぐことにする――ワープするような魔法があれば万事解決だったのだが、残念ながらそんな魔法は存在していなかったので、これは仕方がなかった。


 それと並行してさらに魔法に関する知識を習得。下級魔法なら独学でも習得できるが、中級以上を覚えるには条件がいる。それに備えひとまず知識だけは入れておこうと決める。


 魔導書にはゲーム上で使える以外の魔法もたくさんあったが、さすがに経験値稼ぎと並行して習得するには時間もあんまりない。よって俺はシナリオが始まった時に備えて必要そうな魔法を記憶していくことにして……特に、移動魔法か。風系の魔法で高速移動する魔法がある。これを利用すればそれなりに行動範囲が広がる……あとはゲーム上でMPと表記されていた魔力を高めれば……魔法を使えば使う程その量も増えていったので、経験値稼ぎと合わせてそちらも鍛えることにする。


 ちなみに魔物を倒すと大半は塵になるのだが、中にはアイテムを残すケースがある。それはゲーム上にはなかった素材系のもので、これを換金して金を手に入れるという構図。まあ武器を買い替えるくらいしか資金は必要ないのだが……一応、溜められるだけ溜めることにした。


 で、そんな生活はたぶん半年くらい続いた。魔物は魔族の影響が濃くなったのか少しずつ多くなり、俺はこれ幸いとばかりに敵を狩りまくった。どうも多くの人……傭兵や兵士に至っても魔物はできれば回避するというのが定石となっているらしく、俺のように半年延々と戦い続けるなんて輩は町にいなかった。この間に中級以上の魔法を習得する条件を整え……俺はガンガンレベルを上げていった。


 朝昼晩とひたすら剣を振っていたためなのか、この時点で同年代は言うに及ばず、町の人間で俺を超える人はいなくなってしまった。弱い敵であっても塵も積もれば山となるというわけだ。

 で、高速移動の魔法で一日の行動範囲が広がった時、これからのことを考える。


「たぶん、まだ足りないよな……」


 死なないためには、さらに強くなる必要がある……このゲームはフリーシナリオ形式でありなおかつ主人公達の成長もかなり自由にできた。それはつまりどんなキャラでも色々な技や魔法を使えるということを意味しており……それが現実世界となった今でも適用されていれば、一人でも強力な魔物に立ち向かえるはず。ひとまず少しでも強い魔物を求め、翌日から行動範囲を広げることにしよう。


 朝早く起きて、とりあえず遺跡に潜ったりしてみる。最早ここにいる敵はどれだけ集まっても雑魚であり、攻撃を受けてもダメージゼロ。そうした中で俺はさらなる強敵を求め人がいないような場所へ足を踏み入れた。

 生活圏を離れると途端に魔物のレベルが上がった。俺はここぞとばかりに敵を倒し始める。どういう敵なのかも十五周やり込んだために全て記憶している。全ての魔物は俺の知識にあったし、状態異常に掛からないように対応すれば問題なく戦えた。そして当然魔物が強くなれば取得できる経験値も上がり……さらに半年経過した時は、中級レベルの魔法なども習得していた。


 また、アイテム合成とか武具強化もやりたいと思いつつ……そうした知識は町の人から教えてもらっていて可能なのだが、そうした物を作り出せる環境がまったくない。ゲーム上ではとある町へ行くと工房を借りることができたのだが、俺が行ってそんなイベントが発生するはずもない。考える必要がある。


「さて、どうするか」


 金はそれなりにあるので必要な物資は調達できるから、スペースさえ確保すればどうとでもなるか。けど、町の中でそれをするというのもまずいよなぁ……。

 考えつつも魔物を倒し続けていたのだが……ある時、俺は街の西手にある山脈をうろついていた。


 山肌には魔物も少なく、それほど魔物も強くない……風の魔法を使い山頂に登ってみたりすると、山を越えた先には延々と森。最初来た時は見とれたものだが何度も来るうちに慣れてしまい、今となってはひどく見慣れた景色……そんなことを思っていた時だった。


「ん?」


 ふと、険しい山肌の中に空洞を見つけた。断崖絶壁にあるので当然人の足では進むことができない場所……俺は何気なくそちらへ足を向け、風の魔法により浮遊しつつ中へと侵入してみた。

 そこそこ大きな口を開けた洞窟だった。魔法で明かりをつけて内部を探る。魔物や生物の気配もなく、俺の足音だけが周囲に響く。


 広さはそれなりで、いくつか道が枝分かれしている。道の全ては例外なく行き止まり……広さは普通の家と比べればはるかに広く、色々とできそうな気もする。

 俺はそこで元来た道を戻り外を見た。ほぼ真正面に森が広がり、俺の住む町も見える。景色は中々のもので――決断した。


「ここを、拠点とするか」


 倉庫代わりにすべく色々と洞窟内に手を入れることにした。町からそう離れているわけでもないのがいいし、人目を気にすることもない。景色も気に入った。


 というわけで、そこからは経験値稼ぎと資材をそろえるために金を貯めることにした……といってもやることは基本変わらない。毎日ひたすら魔物を狩り続け、金が溜まったら色々と資材を購入する。その内にさらにレベルが上がり別所に移動してさらに強い魔物と戦う……それを繰り返すうちに武具を作り出す設備なども揃った。気付けばその時点で丸一年くらい経過していた。


 この段に至り、俺は上級クラスの魔法や技も使えるようになっており、他の冒険者達を追随させないレベルにまで到達していた。

 これは果たして、ルオンというこのキャラ自身に力があったためか……とはいえ他にも理由はありそうだった。冒険者と言えど基本魔物は避けるという傾向が強い。それはおそらく魔物というのは未知の存在で、迂闊に戦えば死ぬかもしれない、というのが頭にあるからかもしれない。


 そう考えると、俺は魔物の知識が頭に入り大丈夫だと考えているため、ガンガン戦うことができる……最大のアドバンテージは、この辺りにあるのかもしれなかった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] キャラクターの成長が速すぎるので、ストーリーラインを理解せざるを得ません
[一言] >あとはゲーム上でMPと表記されていた魔力を高めれば……魔法を使えば使う程その量も増えていったので この当たりはゲームのときと変わってる感じですかね。レベルアップのときもあがるのでしょうか…
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