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賢者の剣  作者: 陽山純樹
竜の楽園

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思わぬ出来事

 魔王を討ち、俺はソフィアとリチャル、そしてガルクと旅をする。神霊が集めた情報を頼りに遺跡に潜り、またある時は魔物を討伐するようなこともあったのだが――


「――しかし、ずいぶんと深い遺跡ですね」


 ソフィアが声を発する。それに同意するかのように、リチャルが発言。


「まったくだ。けどゴールはそう遠くないかもしれないぞ」


 場所はバールクス王国の首都北にある山脈の一角。地底ではなく山の中に埋め込まれるように存在している天使の遺跡の中だ。現在は魔王との戦いからおよそ二ヶ月ほど経過している。


 今回の遺跡は山の上ということもあってか、人が来ることもなく手づかずの状態で残っていた。魔王侵攻による瘴気の影響で遺跡自体は発見することができたし、だからこそ俺達は潜入しているわけだが――魔物がいるので、探索が面倒。

 もっとも、魔王を討ち果たしたソフィアと俺の能力なら、さしたる障害にはならないのだが。


 ただリチャルについては単独で戦わせるのが危険ということで、レスベイルを護衛につけている。これにより怪我もなく順調に進んでいる。


 俺が生み出した明かりによって周囲を照らしながら石造りの遺跡内を歩む――と、ここで俺はガルクに問い掛ける。


「なあガルク。この遺跡内に存在する不可思議な魔力については、どうだ?」


 質問に対し、ガルクは俺の右肩に出現しつつ答える。


『地底ではないにしろ、不可思議な魔力が存在している。上手くすれば相当調査できるかもしれないぞ』

「そうか……ま、焦っても仕方がないな……遺跡はまだまだあるんだ。少しずつ調べていくしかないな」


 そうコメントしつつ魔物を発見。けど俺達の手に掛かれば瞬殺である。


 ――こうして遺跡に潜るのは旅を初めて四ヶ所めになる。不可思議な魔力が存在する場所を当たっているわけだが、どうもその質に違いがあるらしく、解析についてはまだまだ途上にある。

 移動面についてはリチャルが生み出した竜もいるし、基本困らない。それに今日明日何かが起こるというわけでもないため、調査自体は比較的ゆっくりとしている。


 そして大陸の情勢は、とりあえず落ち着いている。火種となりそうなこともあるらしいのだが、神霊やカナン達の尽力により、対処できているとのことだ。


『大陸の中の情勢はいいが、今度は外について注意を払った方がいいかもしれんな』


 ふいにガルクが語る……外、ね。


『魔王も外からやってきた存在だ。とある場所では戦争を行っているなどという話もある。さすがにそれらの火の粉がここまで飛んでくるとは思わないが』

「まあ、そうだな……魔王については調べたいから、調査が一通り済んだら外に出る必要があるかもしれない」


 そう言いつつ先へどんどん進む。魔物との戦いはあるけど、魔王との戦いと比べて余裕があるのは間違いない……まあ罠なんかには警戒しないといけないから、油断はしないけど。


 埃っぽい廊下を俺達はどんどん進んでいく……やがて、


「お、最奥かな?」


 ふいにリチャルが発言。見れば、真正面に大きな鉄扉が一枚。


「強力な魔物が出るかもしれないから気を付けてくれ」


 と、言ってみたものの俺とソフィアなら対応可能なんだけど……罠がないかを確認した後、扉を開ける。

 普通、一番奥にはボス的な魔物がいるのだが……この遺跡においては、存在していなかった。


「あれ?」

『ふむ、奥に宝箱のような物もないな』


 ガルクが言う。ソフィアとリチャルも中を見据え、立ち止まる。

 俺もまた観察。室内は何もない空間なのだが、一つだけ異なる点が。


 それは床面。遺跡内は石造りで床も同じなのだが……この部屋の中央付近だけは違う。白色かつ円形の床が存在している。石などを切り出して作ったようには見えない。


「床が気になりますね」


 ソフィアが言う。俺は心の中で同意しつつ、中へ入る。


「罠の類は……なさそうだな」

『ふむ、おぼろげながら見えてきたぞ』


 ガルクが言う。


『おそらくだが、この特殊な床が転移装置の役割を果たしているんだろう』

「転移装置?」


 驚きつつ声を上げると、ガルクは床を見据えながら語った。


『不可思議な魔力はここから出ているな……どうやらそれを利用した転移装置らしい』

「そんなこともできるのか……この床を踏んだら、発動するなんて話じゃないよな?」

『さすがに踏んだだけで何かが起こるようなことはないだろう。魔力を込めなければ問題ない』


 それもそうか。試しに乗ってみたが、何も起こらない。


「変わった素材ですね」


 ソフィアもまた白い床に立ち、手で触る。同じようにすると、滑らかなさわり心地だった。


「こういう素材はどこで手に入れたんだろうな」


 リチャルが言う。それに対し、俺は口を開いた。


「もしかしたら俺達が見たことのある物かもしれない。加工してそうは見えなくなっただけで」

「ああなるほど。そういう考えもあるのか」


 納得したリチャルは床の中を歩く。レスベイルがそれに追随し、床に足を踏み入れた時――変化が。


 突如、床が発光した。


「へ?」

『何!?』


 これはガルクも予想外だったらしい……何事かと思った次の瞬間、光が一気に俺達を包む。

 咄嗟に俺はレスベイルへ指示を出し――瞬間的に俺達を守るように障壁が形成された直後、視界が一瞬揺らいだ。


「っ……!?」


 短く呻いた後、光が消える。視界に移った室内は変化がない――と、思う。

 障壁が解除される。辺りを見回してみるが――


「なんだか、先ほど以上に埃っぽくないですか?」


 ソフィアが言う……言われてみれば。


「なあガルク。これはもしかして、転移魔法が発動したのか?」

『レスベイルの魔力に反応したんだろうな』


 マジかよ……次からは注意するべきか。


「とりあえず、戻るか」


 そうは言ったものの……一度床から出てもう一度足を踏み入れても効果がない。レスベイルが魔力を発しても同じ。


 おいおい。どうするんだこれ。


『不可思議な魔力が先ほどの場所と比べてずいぶんと小さい。もしかすると、こちら側では発動しないのかもしれん』


 やたら不吉なことを言うガルク。となると、やるべきことは――


「外に出るしかなさそうだな」

「ですね」

「ルオンさん、魔物だっているんじゃないか?」


 ああ、もう一回掃除をしないといけないのか……頭を抱えつつ俺は扉を開ける。だが、


「……いないな」

『というより、魔力がほとんどないな』


 これはガルクの発言。


『まるで、何者かが持ち去ったかのようだ』

「どういうことだよ……まあいいや。検証は全部後だ。とにかく外に出ないと」


 歩き出す。靴音が嫌に響き、魔物がいれば近づいて来てもおかしくないのだが……まったく姿を見せない。魔力がほとんどないことと関係しているのだろうか。


「リチャル、そういえば使役している魔物はどうなったんだ? 転移したとなると、命令が届かないんじゃ?」

「あ、それなら心配いらない。一定期間もし俺の指示が来なかった場合、俺の住処に戻るよう指示を出してある」

「それならいいか……とはいえ、こうなると移動手段がまずいな。俺やソフィアは移動魔法があるけど……リチャル、レスベイルの背中にでも乗るか?」


 提案に、リチャルは苦笑。


「いやいや、さすがにそれは……場合によっては置き去りにしてもいい」

「同じように魔物を生み出すことはできるのか?」

「できるが、時間が必要だな。それに多少の魔石なんかも」

「ああ、それなら俺が出すよ」


 ふいに立ちどまって、俺は収納箱を拠点から引き寄せようとする。しかし、


「……あれ?」


 出てこない。魔法はきちんと発動しているんだけど。


『……なぜ出現しないのか要因はいくつも考えられるが、まずは外に出て色々と確認しなければ』

「そうだな」


 俺はガルクの言葉に同意し、早足となる。どうも嫌な予感がする。

 ソフィア達と共に遺跡を進み続け……やがて入口らしき場所に出た。だが、


「塞がっているな」


 リチャルが言う。岩が崩れ、通れない。


「ま、破壊すればいいだけの話なんだけど」

「ルオンさん、大丈夫か?」

「レスベイル、リチャルとソフィアに魔力障壁を張ってくれ」


 指示されるままに動くレスベイル。


「さて、入口を開けるまでしばし待っていてくれ」


 俺はそう二人へ告げ、作業を開始した。


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