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賢者の剣  作者: 陽山純樹
魔王との決戦

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さらなる転戦

 レスベイルが大剣により魔物を吹き飛ばす間に、俺はさらに魔法により氷の刃を形成。一切の手加減なしに放った魔法は、敵軍の中核を大いに消し飛ばす。


 竜対策の魔族を撃破され、さらに竜が上空から炎や風のブレスにより魔物の数を削っていく。隊を率いる他の魔族が攻撃を仕掛けてもおかしくなかったが、魔物を統制することで精一杯なのか、積極的に仕掛けてこようとはしない様子。


「まあこの調子だと、態勢を立て直す前に終わりそうだけど……」


 魔法で魔物を滅しながら俺は呟く。統率する魔族側もどうすべきかわからないようで、退却しようとする魔物や、こちらへ攻撃を行おうとする魔物。そして命令を待ち動きが鈍い魔物まで様々いて、混乱を収拾しそうな気配はない。


 街道の左右に存在する森に逃げ込まれると厄介だが……幸いそういうケースはほとんどない。混沌とした情勢の中、俺は竜と共に魔物を撃破し続ける。


「……やれやれ」


 ここでオルディアの声が聞こえた。視線を転じると、左右に持つ長剣で魔物を撃破する姿。


「なるほど、これほどの力があれば、目的の魔族の居所を把握すれば瞬殺できるな。軍の中に入り込みどう突破するかひたすら考えていた俺が馬鹿みたいだ」


 笑うオルディア。ここで俺へ目を向け、


「事情は話してもらえるんだったか?」

「……ああ。もう隠し立てする必要もないだろうし」


 頷いた直後、俺は近寄って来た悪魔を倒す。

 槍に持ち替えようかな、などと考えた時――竜が俺の近くへ飛来してくる。紅の鱗を持った竜種は、以前魔族と戦っていた竜と同じように見える。


『協力、感謝する』


 そんな声が竜からもたらされた。こちらが頷き返すと、竜は吠え炎のブレスを魔物達へ浴びせる。

 森へ引火しないのかとちょっと不安になったが、炎が森へ舞うようなことにはなっていない。木々に当たらないよう配慮しているのか、それとも吐くブレスに魔力でも付与して魔物だけを狙っているのか。


 まあ竜だって自然と生きる存在である以上、配慮はしているか……気を取り直し魔物の撃破を再開。とはいっても、最早一方的な展開となっており、魔族側がとれる選択は多くなかった。


 俺の耳に指示を飛ばす魔族の声が聞こえる。それと共に咆哮が聞こえ、無策の突撃を行う魔物の姿を捉えた。


「……数だけは多い。さすがに竜と同じように戦い続けることはできないか」


 オルディアが言う。彼だって体力的には相当なはずだが、だからといって延々戦い続けられるわけではないだろう。


「なら少し下がっていてくれ」


 俺は声を上げ、彼の隣へ。


「レスベイルを護衛にしてもいい」

「そっちは大丈夫なのか?」

「まあね。ちょっとばかり鍛えているから」

「……その能力でちょっとなどと、謙遜も甚だしいな」


 苦笑すら見せるオルディア。俺は肩をすくめた後、間合いに入った魔物を一刀。


「まあいい。なら少し休ませてもらうが……この調子だと、休憩の間に終わりそうだな」

「竜の撃破ペースは相当だからな……とにかく、ここは任せてくれ」


 詠唱を開始し、魔物を見据える。魔族達は瓦解寸前の軍を率い、決死の攻撃を試みる。

 それに対し、俺は呼吸を整え――終わりにすべく、交戦を再開した。






 その後、およそ数時間で戦いが終わる。西部の戦いとは異なり包囲していたわけではないため、総崩れとなった魔物達の一部が四方に拡散してしまった。

 けれど竜がそれに対処。どうにか戦いを終え、俺は竜達と共に少々羽を休めることとなった。


 そうした中、俺はオルディアに話をする――こうしてゲームの主人公に話すのは最初。一度目がオルディアになるとは、ちょっと想像できなかった。


「……色々と信じられない箇所もあるが、大体は理解した」


 一連の説明を終えた後、オルディアは零す。


「というより、納得せざるを得ないと言えばいいのか……しかし、死なないように強くなろうとして結果がこれとは」

「俺なりに大陸を救うためどうすればいいか考えた結果だよ……で、だ。五大魔族についてだが――」

「賢者の末裔である俺が撃破することで、力を得られるかもしれないという話だったな」

「ああ。ただ相性があって手に入らない可能性もある……ということで、ガルク」

『うむ』


 右肩に子ガルクが出現。


「残る五大魔族であるノストアと、オルディアの持つ賢者の力……ちゃんと取り込めるか検証できるか?」

『可能だ。ノストアという魔族と対峙するまでに、報告をしよう』

「ありがとう……さて、オルディア。説明した通り、魔王が動き出し大陸を崩壊させる魔法が放たれようとしている。神霊達はそれを止めるために動いていて、俺もそこに向かうつもりだ。そっちはどうする?」

「魔王の魔法か……俺ができることはほとんどなさそうだが……そちらがよければ、立ちあおう」

「わかった。ガルク、いいか?」

『構わない』

「なら決まりだ。直に出発することになるが……あ、移動魔法とかは所持しているのか?」

「持っている。単独で動き回っていたため、制御もきちんとできる」


 よし……と思った時、ガルクから声が。


『ルオン殿、ここからの段取りを決めるとしよう』

「段取り?」

『現在、ルオン殿の力は把握されたに違いない……が、まだ我らが策を仕込んでいることは気付かれていない様子』

「……レスベイルには神霊の力が宿っているよな? その辺りから把握されている可能性は?」

『我の目から見てそうした力は露出していなかった。問題ない』


 ……まあもし把握しているなら、魔王の動きはもっと変わっていてもおかしくはないか。


『我らの存在が勘付かれると、魔王が大幅に動きを変える可能性が高い。下手をすると現在我らが行う策に対抗しようとするだろう……それを防ぐため、ギリギリまで隠れることにするぞ』

「わかった……さて」


 俺は体を休める竜達へ視線を移す。


「ガルク、竜達はどうするか聞いているか?」

『ルオン殿と共に魔王が向かう場所へ赴くつもりのようだ』

「なら、表面上は俺とオルディアに竜……魔王としては警戒を抱くにしろ、大地に封じた魔法までどうにかすることはできないと考えるだろうな」

『竜や人間が対応できる規模の魔法ではないからな。ルオン殿がどれほど力を持っていようとも、無理だと断ずるはずだ』

「それなら魔王も方針は変えないだろ……行くとするか」


 直後、竜の咆哮が聞こえた。士気を上げる鬨の声なのか、他の竜も呼応し始める。


「……そういえば、一ついいか?」


 オルディアがふいに尋ねる。


「南部の戦いはどうなっている?」

「……戦いは、始まったみたいだな」


 竜と共に戦う間に報告があった。西部、北部と軍を潰されたことにより動き出した……挟撃がなくなったとはいえ、その数は西や北の軍と比べても大規模。俺がいない場合を考え備えをしておいたわけだが、それが功を奏し善戦している。


「魔王の魔法を打ち破った後、南へ向かうとしようか」


 俺の言葉に――ガルクは途端苦笑する。


『連戦に続く連戦だな』

「ここが正念場だから仕方がないさ」

『ルオン殿、大丈夫か?』

「ああ……オルディア、行こう」


 頷き返した彼を見て、俺は詠唱を開始し――移動魔法を使用。同時、竜達も動き出した。


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