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賢者の剣  作者: 陽山純樹
魔王との決戦

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前哨戦

 迫る魔物達に対し、俺は魔法を発動させる――使用したのは土属性上級魔法『エルデフォース』。大地に干渉し地面を硬化し、錐のような鋭く尖った状態で隆起させ、対象を串刺しにする魔法だ。


 次の瞬間、最前線にいる魔物達の正面に錐が生じ、串刺しにする。さすがに一度の魔法で前線を崩すのは無理だが……唐突な攻撃により魔物達は多少なりとも混乱。進軍を鈍らせることには成功した。

 俺は立て続けに同じ魔法を使用し、前線の魔物達を撃破する。まだ全力を出しているわけではないが、現時点でも俺の魔法により魔物がガンガン滅ぶ。威力的には十分だ。


 加え、隆起した大地により物理的に障害を生み出した。これにより隊列が乱れ、さらに魔物達の進軍速度が遅くなる。

 足止めとして多少なりとも効果があるわけだが――迂回しようとする魔物と、障害物を抜けようとする魔物が現れる。指揮官としては軍を分け俺達の所に進軍しようとしているのかな。


 すると、今度は飛翔する悪魔の姿を捉える。体躯は濃い青で、二刀流――シナリオ後半に出現する『スカイデーモン』だ。

 空から突撃するという面倒な戦法をとる悪魔であり、さすがに奴相手に『エルデフォース』は通用しない。


 数は三体。さらに魔狼も応じるべく動き出し――そこへ、空中から悪魔が突撃してきた。


「ゲームでは、魔法を使えば撃ち落とせたんだっけ」


 そんなことを思いつつ、接近する悪魔に対し左手を出す。同時に使用したのは風属性下級魔法の『ウインドスラッシュ』。威力は低くまだ全力で魔力を注いでいるわけでもないため、この魔法で倒せるわけではないが――


 突撃を仕掛ける三体は、まともに風の刃を受ける。多少アレンジしてあり直撃した瞬間、風が大きく舞い衝撃波を生む。結果、悪魔達は大きくバランスを崩し目標であった俺から大きくそれて着地した。


 そこへ、魔狼が飛びかかる。攻撃方法は爪や体当たりのようだが、突撃する際魔力を高めている。どうやら威力は十分の様子で、突進を受けた悪魔は大きく身じろぎした。

 悪魔は反撃しようとした様子だったが、何体もの猛攻を受け、結局攻撃できぬまま滅ぶ……魔狼の攻撃力も上々みたいだ。


 俺はその間も『エルデフォース』を使用し、さらに敵を撃破する。敵の前線は大きく崩壊し、一時動きが止まった。


「よし、これなら――」


 俺はさらに詠唱を行い――発動させたのは氷属性中級魔法『アイスレイン』。その名の通り氷の雨を降らせる魔法。中級なので相手に与えるダメージは本来そこそこなわけだが……少々魔力を注ぎ、威力を高める。


 敵軍上空に、氷の雨が飛来する。それは一つ一つが鋭い刃のようであり――刹那、魔物達の悲鳴にも似た声が轟いた。


『上々の立ち上がりだな』


 ガルクが言う。彼の言う通り、魔法により思う存分敵を撃破している。この調子でいければと思ったが……やっぱりそう甘くはないらしい。

 崩れた前線から、一体の魔族が出現する。


「魔法の威力は中々のものだな」


 銀の鎧を着込んだ騎士風の魔族だった。金髪碧眼という顔立ちは人間に似せるような雰囲気ものぞかせており、何かしらモデルでもいたのかと思ったりする。

 そして手に握るは大剣。顔は険しく、この前線部隊を任されている魔族なのだろうと推測できる。


「だがこれまでだ。排除させてもらおう」


 淡々とした物言いと共に、魔族は走る。俺は剣を構え、なおも詠唱を行いつつ魔族が来るのを待ち構える。


『ルオン殿、レスベイルを利用すれば魔族の能力をある程度探れるだろう』


 ふいにガルクからの声が……俺は横に控えるレスベイルに魔力を放って指示を出すと……すぐに結果が返ってきた。

 能力はそれなりで、シェルダットなどと比べれば弱いのは間違いない。ただここで撃破すれば当然、襲い掛かって来た前線部隊は暴走する可能性も。


「……どういった挙動をするのか、一度確認しておくのもいいか」


 俺はそういう結論に達し――撃破することを決意。


 魔族が近づく。猛然と駆けるその姿は並の戦士では太刀打ちできないくらいの気配を漂わせているが……俺は足を前に踏み出した。

 相手は退く気配がないのを見て取ったか、どこか嘲笑するような顔を見せ――間合いを詰め剣を放った。


 それに対し俺は応じ――まずは剣を受け、弾く。身体強化を施した俺の剣戟を受けた魔族は、表情を驚愕に変える。


 剣を引き戻す動きも遅い。俺は即座に反撃に転じ、汎用中級技の『ベリアルスラッシュ』を放った。魔族は防御する暇さえなく……剣は魔族を両断することに成功した。


「ガ……」


 呻き声のような、あるいは獣の発する苦痛の声か。ともかく一刀両断した魔族は、僅かに声を発した後、消滅する。指揮をしていた魔族が消えた。果たしてどうなる――


 魔物達はなおも俺達へ攻撃を仕掛けようと進軍してくる。暴走する気配はない。


「……アラスティン王国の時とは違うみたいだな」

『予め、対策を行っていたのかもしれん』


 ガルクが言う。俺は再度魔法詠唱を開始しながら、ガルクの言葉を聞く。


『隊をまとめる魔族が滅んだ場合、別の魔族がフォローに入るよう調整が成されているのだろう。さすがに魔族撃破ごとに暴走していたのでは、魔族達も面倒だと考えたわけだ』

「その可能性が高い……なら、総指揮官であるシェルダットを倒せば、完全に暴走しそうだな」

『うむ』


 同意するガルクの声を聞きつつ、俺はさらに『エルデフォース』を放ち魔物を倒す。だいぶ障害物ができた。


 その時、崩壊しかけていた敵軍前線が突如慌ただしくなる。コボルトやゴブリンが咆哮を上げ、突撃を開始する。

 その動きは先ほどよりも性急でありながら、また早い。


「引き継いだ指揮官の技量が上なのかな?」


 そんなことを呟いた時、魔物達の視線が俺へ集まっているのを理解する。それは先ほど以上に殺気に満ちたものであり、どうやら俺に集中攻撃するつもりらしい。


 他の魔物達も迂回する気などさらさらないらしく、がむしゃらに突撃を開始する。隆起した地面に動きが制限されるわけだが、それを強引に突破しようとする動きを見て、俺は苦笑した。


「最短距離を突っ走って俺を殺せ、とでも指示を受けたのかな」

『かもしれん』


 ガルクが言う。ここで俺は剣を鞘に収める。


 攻撃魔法で応じてもいいが……俺は少し考えた後、魔法で槍を生み出した。

 以前、地底における戦いで作った物と同じ。その間にコボルトやゴブリンの群れが接近してくる。


 俺は槍を構え――魔狼が魔物に応じるより早く、駆け出した。


「ふっ!」


 声と共に槍を一閃。切っ先には風の力も加えており――攻撃と同時に風の刃が四散する。

 襲い掛かろうとしていたコボルト達を等しく滅していく。一振りごとに消し飛んでいく様は、傍から見れば痛快かもしれない。


『ルオン殿、あまり動きすぎるなよ』

「大丈夫だ」


 返答の後視線を左右へ。横から俺へ迫ろうとしていた魔物達を、魔狼が易々と撃破する光景。それを確認後、今度は使い魔から報告が。


 上空には平原を観察する使い魔を配置していたのだが……どうやらまた別の部隊が動き出したようだ。しかもその数は結構多い。


「本腰を入れてきたか……?」


 そう呟いた時、上空から俺へ飛来する悪魔の姿。すぐさま槍を構えようとしたが――レスベイルが突如前に出た。


『どうやらこやつも暴れたいようだな』


 その言葉を受け……ならばと、俺は自身の精霊に指示を出す。


「お前の力なら、全力を出さずとも撃破できるはず。近づく悪魔を一蹴しろ――!」


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