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賢者の剣  作者: 陽山純樹
世界を救う者
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襲撃の終わり

 俺が決着を付けようと考えた時、異形と化したファーダは長剣に魔力を込めた。魔力を限界まで注いだそれは、明らかに今までの攻撃とは違っていた。

 こちらの様子を見て、対抗するべく魔力を高めた……どうやら俺が終わらせようとしているのを察したらしい。先読みされたのなら、こちらは受けに回る手もあるが……俺は構わず剣に魔力を注いだ。


 そして、双方の剣が激突する――その結果、異形の持っていた剣が易々と両断され、俺の刃が異形の体に叩き込まれた。

 悲鳴のような雄叫びが拠点周辺に響く。それに対し俺はさらなる猛攻を仕掛ける。隙を晒したファーダへ向け、連撃を見舞う。


 それで、とうとう相手は限界を迎えた……崩れ落ちるファーダ。そして地面に倒れ込んだ矢先、とうとう体が消滅し……大勢は決した。






 その後、俺達は残る異形の討伐を完了。戦いはようやく終わり、拠点の防衛もあって怪我人などもなく迎撃に成功した。


「ガルク、索敵はしているか?」

『無論だ。さすがに増援などはなさそうだな』

「これでようやく終わり……で、いいのか?」

『さすがに我もないとは思うのだが……』


 やや歯切れの悪い言葉。まあここに来て敵側はガルクを始めとした神霊の索敵を出し抜いているからな。


『ともあれ、最終確認は行う。ルオン殿は休んでくれ』

「なら、お言葉に甘えて」


 その後、俺達はソフィア達と合流。そして今後の予定を話し合う。


「明日、決戦に入るか?」

「魔力や体調を万全にしたいですし、なおかつ索敵もより精査しなければなりません。一日ほど開けるのはどうでしょうか?」


 これはソフィアの意見。リーゼなども同意なのか頷いていたので、


「わかった、なら明日は様子を見るということで」


 これで何事もなければいいけど……そんなことを思いつつ、俺は周囲を見回す。

 天使達が動いて迎撃態勢から通常モードへシフトしようとしていた。デヴァルスが逐一指示を出し、精霊達も動いている。


「夜通し監視するのかな?」

「おそらくそうでしょうね」

「まあデヴァルスなら天使だし数日くらいは無理しても問題ないとか言うのかもしれないけど……」

「星神を討つのは私達の役目ですし、ここはしっかり休みましょう」

「……そうだな」


 ソフィアに同意し、俺は解散を指示。そこで仲間達は自分の天幕へと戻っていった。

 その中で俺は動かず、もう一度周囲を見回す。盤石な態勢……というより、防壁もあるし少々やり過ぎ感はあるけど、結果的にこれらが今回役に立った。もしなかった場合、三方向から攻められて多少なりとも倒すのに苦労したはずだ。


 結果的に、俺達は星神を支持する勢力を倒したわけだが……その能力を考えるとやはり俺達を倒すということは想定していなかっただろう。こちらの情報を可能な限りとるため……そう考える方が自然だ。

 そういう推測でも星神のやり方に首を傾げる部分はあるけど……相手は人間や天使といった存在ではなく、思念の塊だ。正直、深く考えても仕方がない。


「ルオンさん」


 そこでデヴァルスが声を掛けてきた。既に周囲に俺以外の仲間はいない。


「こちらは監視を続ける。決戦は明後日でいいんだな?」

「ああ、明日は様子見ということにして……そっちは問題ないか?」

「襲撃を受けてシフトも組み直したからな。問題はない。明日はゆっくり休んでくれ」

「……これで終わればいいけどな」

「さすがに打ち止めだと思うぞ。ま、そう不安にならなくてもいいさ」


 そこでデヴァルスは魔王城のある方角へ目を向ける。夜であり、明かりもほとんど届かないため闇染まった今では城の姿を見ることはほとんどできない。


「可能性として考えられるのは、魔王城から敵が出てくるケースだが」

「その場合は俺達が倒しつつ、その勢いで星神の所まで行けばいいさ」

「そうか……ルオンさん、もし何かあればすぐに連絡をくれ。不安要素があれば、取り払うべく動くとしよう」


 デヴァルスはそう言い残して立ち去った。一人俺は拠点の中央で佇んでいたが……やがて歩き出す。


「ずいぶん足止めを食らったが、これで本当に最後であって欲しいな」


 自分の天幕へと向かう。その間に周囲からは声が聞こえる。拠点内をどう見張るのか、打ち合わせをしているようだ。

 そうした声を聞きながら俺は天幕の中へ。そして毛布にくるまり、目をつむった。


 ……驚くほど、簡単に意識が深く沈んでいく。疲労しているわけではないはずだが……いや、もしかすると終わりの見えないかった戦いに少しばかり辟易していたのかもしれない。

 ただ眠る直前、俺はある予感を抱いた……いや、それは確信と言っていい。もし、星神との決戦前……その前哨戦が終わったのであれば、おそらく星神が夢の中にでも現れて話をしに来るだろうと。


 もしそうであれば……そんな風に考えたところで俺の意識は途絶えた。眠る直前、星神が出てくるのであればすぐに答えはわかる――そう思いながら俺は眠った。


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