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賢者の剣  作者: 陽山純樹
世界を救う者

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見えない敵

 拠点へ戻ると、まず戦闘を行った者達は休息……ただ指揮官としての役割を持つ俺とソフィア、リーゼの三人はデヴァルスなどと顔をつきあわせて打ち合わせをすることに。拠点中央に配置した天幕の中で、用意されたテーブルに周辺地図を広げ話をする。


「ガルク」


 まず俺は神霊の名を呼ぶと、テーブルの上に子ガルクが出現。


「索敵は継続してくれ……南北にある拠点を潰したけど、これで終わりとは思えない」

『うむ、我も調査を継続しているが……気配はないな。これまで相当丹念に調べているのだが』

「もし敵がいるとなったら」


 と、次に話し始めたのはデヴァルス。


「神霊の索敵をすり抜けるだけの能力を持っていることになるな」

「星神の力を持っているなら、可能か?」

「かも、しれない。拠点を築いたのは正解だったな」


 デヴァルスはそこで地図に目を落としつつ、


「もし索敵をすり抜けて敵が近づいてきても、多重に構築された結界を侵入することは困難だ」

「星神の力を使っても?」

『実を言うと、ここにも星神対策が用いられている』


 と、ガルクがさらに語った。


『星神の攻撃を受けるための魔力障壁だ。かなり特殊な仕様であり、さすがに敵がいかに力を所持していても、すり抜けることは難しいはずだ』

「なるほど……ただ、ここでも技術を公にしているわけだ」

『そこは仕方がない……我としても不本意ではあるな』

「安全圏を確保するには仕方がない。拠点を築き上げ、なおかつ魔王城までの道のりすら確保しているんだ。ひとまずそれでよしとしよう」


 そこまで言った後、俺はソフィアへ顔を向けた。


「まだいるかもしれない敵についての対策だが……拠点に攻撃を仕掛けてきた場合、立ち回り方を考えないといけない」

「はい。今日南北に分かれたように、迎撃するのと拠点を防衛する側に分かれた方がよさそうですね」

「基本的に迎撃については直接戦闘が得意な面々になるな。拠点防衛については、魔法で援護もできるだろうから、クウザとかカティに任せた方がいいか」


 俺は言いながらリーゼへ視線をやる。


「リーゼ、そちらはどういう役回りを望む?」

「迎撃防衛、どちらでも構わないけれど」

「わかった。俺が拠点にいて防衛……というより、迎撃に回った方がいいな。ソフィアとリーゼのどちらかは拠点の防衛を担当してもらいたいけど」


 ソフィアとリーゼは互いに顔を見合わせる。能力を考えたらどちらでも問題はないけど、


「なら、私が迎撃を」


 手を上げたのはソフィア。必然的に防衛はリーゼが担当することに。


「ま、人選的にはベストかな……ガルク、周囲の監視はしているんだよな?」

『天使に加えて精霊も参加している。魔力を感知する術式も魔力障壁には備わっているため、近づけばわかるはずだ』

「拠点内に侵入されたら厄介であるため、それだけは絶対に避けたいところだし、守りは厚くした方がいいな」

『そうだな……とはいえ、敵が出てこない場合はどこかで見切りを付ける必要はあるぞ』

「わかってる。さすがに敵が出てくるまで待つつもりはない……ただその場合、拠点をどう守るかだけど」

「その辺りは任せてもらえないか」


 と、デヴァルスが話し出す。


「一応、作戦はある」

「大丈夫なのか?」

「星神の力を持つ相手に対し、不安があるのは事実だが……少なくとも、決戦の邪魔をさせないさ」


 ……俺はそれで小さく頷いた。他ならぬ天界の長が主張しているのだ。さらに言えば精霊などの助力もある。拠点も防衛能力を高くしたわけで……やれるだけのことはやった。


「ならデヴァルス、頼んだ」

「ああ、任せてくれ……ただまあ、さすがにルオンさん達が決戦へ挑むより前に、仕掛けてくるとは思うぞ」


 それについては……星神の命令に従っているのだとしたら、その目的は俺達の情報をとることのはず。俺達が決戦へ向かうと当然、情報はとれなくなるので、攻撃するとしたら魔王城へ踏み込む前に、だろう。


「こちらが拠点で籠城する気なら、相手も待つんじゃないか?」


 俺が疑問を口にすると、デヴァルスは小さく肩をすくめる。


「さすがに敵側は拠点の内側の動向についてはわかっていないはず。だとすれば、密かに決戦へ向かう……なんて可能性も考慮には入れるだろ」

「ああ、確かに……そうなってしまったら敵としては目論見を潰されるわけだ」

「よって、そう遠くない内に攻撃は仕掛けてくるはず……まだ敵が残っているのなら」


 デヴァルスがそこまで語った時、次に声を上げたのは……ソフィアだった。


「本来ならば、南北へ攻撃を仕掛けるタイミングで拠点を狙うなりするのがベストだと思うのですが……」

「そこについてはこちらの作戦勝ちだと思うぞ。ルオンさん達の行動が思ったよりも素早かった……結果、攻撃する前に南北の異形を倒されてしまった」


 そういう流れであった方が俺達としてはありがたいけど……こちらが沈黙していると、デヴァルスはさらに続けた。


「結果は一両日中に出るだろう。ルオンさん達はひとまず決戦準備を始めてくれ。もし敵の姿を観測、もしくは索敵魔法に引っかかったら……即座に迎撃態勢に入る、という形にしよう――」


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