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賢者の剣  作者: 陽山純樹
世界を救う者

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特殊な力

 最終的に選ばれたメンバーは、俺とオルディアにフィリとアルト。俺以外の三人は既に敵として発見していて倒している。そこに、キャルンとカティが加わることに。

 ちなみに女性二人が今回同行するのは根拠がある。


「私はルオンと同じで能力は高くないからねえ」

「まあ確かに、俺やキャルンは本来脇役って感じの立ち位置だよな」

「うんうん。そういうわけでさすがに敵も私と同じ存在は戦力にならないとして呼ばないんじゃないかと」

「星神の支配する世界がどんなものかわからないから、断定したことは言えないけど、まあ可能性は低いと思う……で、カティは?」

「私はおそらく、前提として存在し得ないのではないかと」

「存在……し得ない?」

「フィリやアルトは、賢者の血筋であったことに加えて冒険者として活動していたわけだけど、どうやら相手方も同じだった」

「つまり、向こうのフィリ達も冒険者だったと」

「ええ。二人は例えば魔王を倒すために剣を手に取ったというわけではない。魔王の侵攻を受けて戦おうと決意したタイプだから、魔王侵攻というファクターがなくても成立しうる立場よね」

「確かに、そうだな。でもカティは違うと?」

「私は元々、魔王のことがきっかけで冒険者稼業をやっていた。自分の郷里のことを含め、守る力を得るために、実戦経験を積むために冒険者として活動していた」

「そうだったのか……あ、なるほど」


 俺は納得して声を上げると。カティはさらに続きを話す。


「つまり、魔王の侵攻という出来事がなければ冒険者カティは成立しない。けど、そうしたことがなく、星神が支配している世界ともなれば、私は冒険者ではなく研究者になっていると思うのよ」

「……キャルンと同様に断言はできないが、相手方にカティがいる可能性は低いだろうな」

「そういうこと」


 カティの説明に納得がいった俺は、このメンバーであれば同一人物と遭遇することはないだろうと考えつつ、


「それじゃあ、行くか」


 俺の号令と共に、活動を始めた。






 俺達はガルクなどが調査した索敵と気配探知を頼りに戦いを始めた。こちらは少数ではあるのだが、向こう側も固まって行動すると見つかる上に一網打尽にされる……そう判断したか行動人数は精々三人から四人程度。能力的にも俺達の方が上であり、交戦しても問題はなかった。


「はっ!」


 竜の戦士を俺は剣で倒す。敵は確かに強い……のだが、それを上回る能力を俺達は持っている。


「元々のスペックが高いからか、敵は主に竜や魔族、天使だな」

「賢者の血筋くらいじゃないと、人間を採用するってわけじゃないんだろうな」


 と、アルトは周囲を見回しながら述べる。


「俺やフィリがいたことから、ラディなんかは確実にいるだろうが」

「他にも、シルヴィやクウザなんかはいそうだけどな……」

「確かに、何かしら技能を持っている人はあり得そうね」


 そうカティは考察するが……ただ、シルヴィはどうなのだろう。彼女が剣を手に取った最初の目的は復讐だ。星神が支配する世界で、同様の状況になって剣を手に取るのだろうか?

 同一人物であっても、生まれや環境が違う可能性がある……そういう人間を星神は呼んでいないのかもしれない。この世界の人間と似通った生い立ちの人間だからこそ、動揺を誘う意味合いで……フィリやアルトを呼んだという可能性もありそう。


 俺達はさらに魔王城周辺を散策し、敵と交戦する。再び交戦したのは天使と魔族。両者が組んでいるのは奇妙極まりないし、手強いが……それでも俺達は倒しきる。


「……星神と戦うまでは、天使と戦って勝てるとは到底思えなかった」


 ふいにアルトが声を発する。


「強くなったんだな、としみじみ思うな」

「鍛錬の成果だな」

「違いないわね」

 と、カティが魔法を放ちながら応じた。彼女の魔法は雷撃であり、シンプルながら魔力は練り上げられており、見事魔族を……滅ぼすことに成功した。


「魔法もきちんと通用する……天使などがいることからも、デヴァルスさんだっていそうだけど」

「もしいるなら、天界の長である可能性は高そうだな……となると、前線に出てくるよりも指揮している側のようにも思えるが」

「確かに、敵の配置から考えて何かしら指示によって動いている雰囲気はありますね」


 と、今度はフィリが考察した。


「交戦した面々がいた場所は、こちらの拠点の動きを観測しやすい場所でした」

「敵の動向を窺う斥候で、主力は別の場所にいるってわけだな……ガルク、索敵はできるか?」

『既にやっている』


 と、応じつつ子ガルクが右肩に出現。


『魔王城から少し離れた位置に、結構な人数がいるようだ。多種族の混成部隊……とはいえ、極めて特殊な気配も存在する」

「特殊……?」

「今まで戦ってきた存在が精々雑兵クラスだとすれば、明らかに高い魔力を有している存在がいる」

「そいつがリーダー格か? 下手すると指揮している存在かもしれない」

『うむ、とはいえ詳細はわからん。魔法を使っても上手く見通せない』

「敵の妨害魔法か何かか?」

『そうだな。捕捉した位置に主力部隊が固まっているようだ』

「このメンバーでそこへ攻め込むのはさすがに危険すぎるか」

『踏み込んで問題ないのかどうかは、敵の能力をきちんと把握してからの方がいい』


 ガルクの助言に俺は頷く。


「そうだな……他には何かあるか?」

『人間の気配が複数。その中で特に魔力が多い存在が一つあるのだが、普通の人間とは違う』

「……どう、違うんだ?」

『人ではあるが、その身の内に人間以外の力を有している……特殊な力を宿しているように感じられる』

「そこまでわかるなら、詳細もわかりそうなものだけど……」

『不自然なくらい人物像などはつかめない。そういう魔法なのかもしれんな。これ以上の情報はもう少し近づいてみなければ断定したことは言えないぞ』

「……賢者の血筋、かしら?」


 カティが問う。俺はそれに対し一考した後、


「その線は十二分にありそうだ……ガルク、敵はこちらの気配に気付いているか?」

『不明だが、我らに兵を差し向けるようなことはしていない』

「敵は情報を漏らさないように何かしているみたいだが、確認しないことには始まらない。なら、まずは敵を……この世界に差し向けられた敵を、確かめることから始めよう」

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