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賢者の剣  作者: 陽山純樹
世界を救う者

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1008/1082

王城への帰還――

 ――翌日、俺は全速力でバールクス王国の王城へと向かった。星神と遭遇して、すぐさま戻る選択肢もあったのだが、使い魔で確認して急いで戻っても意味がないとわかったためだ。

 使い魔を通して既に何が起こったのかは聞いている。またガルクの方は魔王城へ本体がいっており、そちらで準備に注力していたため、状況を把握していなかったとのこと。とはいえ、状況から考えるにガルクがいても対処は難しかっただろう。


 王城へ戻ると、ソフィアが出迎えてくれた。そして、ある部屋を訪れる。


「こちらです……」


 彼女の様子は傍から見て元気がない。ただそれは当然だった。なぜなら彼女もまた今回の騒動に大きく関係しているからだ。

 その部屋は、客室なのだが……ベッドに寝かされている人物がいた。それは、


「リーゼ……」


 目を閉じて、眠っているリーゼの姿。今すぐにでも目覚めそうな雰囲気だが、


「ソフィア、今一度確認させてくれ。どういった状況だ?」

「はい。数日前から続々と組織の方々がここへ戻ってきました。その中でリーゼ姉さんもまた、はせ参じて準備をしていました」


 ……今回の旅路において、リーゼの国へは訪問していなかった。そもそも魔王との戦いで彼女と会うようなこともなかったからな。


「そうした中で、客室を借りて眠りたいと言ってきて、私は即座に用意しました。そして」

「今の今までずっと、眠っていると」


 ソフィアが頷く。経緯から考えても、何かおかしいことがあるわけじゃないのだが、


「準備の最中に問題があったのか?」

「リーゼ姉さんはいくつか道具を持ち込んでいたので、その影響であるのは間違いありません」

「その道具について調査は?」

「現在してもらっていますが、詳細についてはわからないとのことで……」


 俺は部屋を出て、道具の検証している場所へ向かった。そこにはデヴァルスやアナスタシアがいたのだが、


「何かわかったのか?」

「特殊な道具であることは確かじゃな」


 と、アナスタシアが発言する。


「何でも、国の宝物庫にあった特殊な道具……リーゼ王女はその道具の性質を知っていて、役立つと踏んで持ち込んできたようじゃが」

「それが悪さをした、とか?」

「魔力の質なんかは理解できるのだが、検証はできていない」


 と、デヴァルスが続いて発言した。


「魔力を流せば効果は検証できるかもしれないが、それをやった結果リーゼ王女は眠ってしまったんだ。さすがにある程度詳細がわからないと危険だ」


 確かに。こちらが頷いているとさらにデヴァルスは渋い顔をして、


「眠り続けているのは、もう一つの道具も関係していると思うのだが……」

「もう一つ? 道具は二つあるのか?」

「ああ、併用したらしい。決戦の際に二つを同時に利用するという前提で持ち込んだみたいなんだが、それによって眠ってしまったようだ」

「相乗効果みたいな形になって、リーゼに影響が?」

「おそらくそうだ。この場合、相性が良かったのか悪かったのかは不明だが」

「どちらにしろ、その道具について精査しないと解決はしないのか……」


 どうすればいいのか……ソフィアが不安げな表情をする中、俺はデヴァルスへ向け口を開く。


「道具の検証についてはどうする?」

「魔力の質などを精査して、どういった効果なのかを判別する……ただ時間は掛かるな」

「そもそも二つの道具は、どういう由来なんだ? 星神関係か?」

「雰囲気としては関係しているように見えるのだが……」

「……実は」


 そこで俺は星神が出現したことについて言及。するとデヴァルスは、


「ヤツは何もしていないと語っていたのか?」

「ああ、そうみたいだけど」

「ふむ、星神に関連しているからこそ登場した……まあ面白半分で顔を出したといったところか。ともあれ、ヤツが外に出ているということは、星神に関わるものであるのは間違いなさそうだ。ただ、それが古代に技術に関するものなのか、それとも他に星神へ挑もうとしていた存在由来の物なのかは、これから検証しないといけない」


 先ほどデヴァルスは時間が掛かると言ったわけだが、決戦前にこれであるなら……魔王城へ行く時期は少し遠くなるか?


「俺はどうすればいい?」

「……正直、ルオンさんにできることはないな」


 まあ、研究分野についてはノータッチだからな……。


「なら俺は、決戦の際に支障がないよう仲間をとりまとめておくか――」


 そう言ったところで、ノックの音がした。返事をすると部屋の扉が開き、アンヴェレートとユノーが姿を現した。


「何やら騒動のようね」

「……アンヴェレート達も、最近戻ってきたのか?」


 彼女達は組織解散を言い渡した時、行きたいところがあると言って城を出たのだが。


「ええ、今回の旅でゆっくりできたし満足よ……それで、リーゼ王女が眠っているとのことだけど」

「ああ、道具の検証だが――」

「それについてだけど、片方の詳細はわかったわ」


 あっさりと告げるアンヴェレート。俺達が驚いていると、彼女は解説を加える。


「どうやら私が研究していた時代に生まれた道具……付与された術式についても私の知っている型式だったから、少し調べて詳細がわかったわ」

「それで、どういう道具なんだ?」


 俺が問い掛けるとアンヴェレートは話し始める。


「端的に言うと、星神に属する力を大きく削る能力がある」

「削る?」

「道具に内在している魔力が星神由来の魔力を打ち消す、と言えばいいかしら。よく今までこんな道具が眠っていたわね、と思うほど今回の決戦にはピッタリの物ね」

「それが本当なら、役立てそうではあるしリーゼもそれがわかっていたから持ち込んだんだろうけど……そもそも、なぜリーゼはその道具が星神の力を消すとわかったんだろう?」

「それについては、説明を受けました」


 と、俺の疑問についてはソフィアが応じた。


「リーゼ姉さんの国で、星神について調べていた人間がいた……もっともその方は考古学的なアプローチなので、あくまで歴史の検証ですが……その中で遺跡に踏み込み、天使が残したアーティファクトを手に入れ、国へ寄贈したらしいのです」

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