二話
12月特有の
肌寒い風が吹く中
近所の公園に来て居た
そして公園の端にあるブランコの1つに腰を下ろして今年のクリスマスも1人だということを存分に満喫して居たはず、だった
なのに、なんだこれは…
いきなり目の前が真っ白になったかと思うと
「….j'og…wb…pkr"…x…」
聞き覚えのない声が断続的に聞こえる
意味など分からない
聞き慣れない音を聞き流していく
その後直ぐに体が宙に浮くような感覚がして
軽い吐き気がをもよおし
そして盛大に尻餅をついた俺は
情けない声で
「いだっ、、、っ、、、」
声を出してしまった
ここはどこだ?
薄暗い部屋、
目が慣れて来たせいでさっきよりははっきりと見えるが
そこまで広くない、
せいぜい八畳位の部屋、
自分はその部屋の真ん中に居る様だ。
白昼夢?おかしい、白昼夢にしては妙に感覚がはっきりとし過ぎている…
しばらくしてやっと周りの事が
少しづつ頭に入って来ていた時、
ふと手をついている床が濡れている事に気がついた。
なにかと思い
ポケットにケータイが入っているのをおもいだし取り出す
ケータイのライトをONにして床を照らすと、床一面に紅い血の様な
液体で描かれた文字があった。
まるで精神の狂った様に走り書きされた呪文の様な
文字、自分の知っている
何処の国にも当てはまらない様な歪な文字、何かを呼び、
待ちわびるかの様な…
ただ狂気に犯されて書いたわけではなく
知性的な、何か意味が有る様な雰囲気をかんじさせる
さっきからこの鼻をつつく様な
匂いはこの血だったのか。
俺は血を見て驚くことを忘れていた
本来人間がするべき反応を忘れさせるほど、
その文字の羅列は凄まじかった
ケータイのライトで部屋の中をくまなく照らしていると
どうやら魔方陣の様なもののの上に座っているらしい事がわかった
部屋の端に
人影が見えた
今思えば恐怖でしかない、
あれほどの血があるのだから
そこにいる人間なんて死んでいる筈なのに
もちろんそこに居た人間は死んでいた
だが、その部屋には4人の人影があった
部屋の四隅に1人ずつ
皆黒いローブを被った美しい女性だった
4人の内3人はまだ体が温かかったが…
既に息を引き取っていた。
どうせ残りの1人も死んで居るだろうと思い
4人目の人影に近づいていった
「………ぅっ………」
声がした。確かに声がしたのだ
4人目の人影から声がした気がした
俺は息をするのも忘れその声のする方にかけ出していた
「おい!大丈夫かっ!」
その黒いローブの人を抱き上げるとその子は
自分とほとんど歳が変わらない女の子だった
「ハァ…ッ、…ハァ………」
とても苦しそうに顔を歪めていて
息を辛そうに肺から吐き出している
さっき見つけていた階段を女の子を抱き上げたまま駆け上がり、
「大丈夫かっ!くそっ!」
その先にある扉を蹴り開けて
近くの部屋にあったベッドに寝かせた
他の三人の死体と違う所はこの子は肌に血が通っている
この子はどうやら自分の血を失っては居なかったみたいだ…
さっきの部屋は地下室だったようで一階と思われるこの部屋はまだ昼頃のように明るい
暗がりでは詳しく分からなかったが、この女の子はやっぱり16か17位のようだ
髪は金色で肩あたりまで伸びている
目は閉じていて分からないがまつ毛は長く、眉は綺麗に整っている
唇はやんわりと柔らかそうで
とても全体のバランスが良い
そこらのモデルよりも可愛い位だ
今は苦しんでいないみたいで、
ゆっくりと胸を上下させて
眠っている
くそっ、こんな状況じゃなきゃ
襲ってしまいそうだ…
だが一体あの地下室は何だったんだ
そして、俺があそこに居た理由
まだまだ分からない事が多いけど、取りあえず人を見つけられた
この子が起きたら色々聞きたい事もあるし
それまでの間に、おかしい事をまとめて見る事にした
1つ。いきなり床一面血の文字の描かれた部屋に居た。
2つ。4人の人が居た。内3人は既に死んでしまっていた。
3つ。これは地上に出て分かった事だが、季節がおかしい
確か季節は冬だった筈だ
今日は曇りで風も強かった
なのに今は晴れていて空気もやや温かい。風も心地よいくらいだ
当然冬ではない
明らかに春の終わり頃位の気候だ
あり得ない、
「…一体、ここは…どこなんだ…」
しばらく考えていると、
「…ううっ………」
女の子の声が聞こえた…




