閑話 頭無き怪物の戦争
次遅れます
改定
3日後を2日前に直しました
頭無き怪物の戦争
【過去に囚われし異形達】
アヴェルン大陸最南端からさらに200km程海を越え南へ行くと
名すら忘れられた大陸がある
黒雲に覆われし大陸の内陸部、大陸を横切る山脈の麓にある風化した都市の名残り
400年前、名すら忘れられた大陸で魔王アルフレードが勇者に倒された、
そして魔王は4つの欠片に別れアヴェルン大陸の各地に封印された。
力を失い、残された魔人と魔物は生き残った人々とお互い殺し合い奪い合っていた
生き残った人々は
虐げられて来た人々は
魔王の時代に終止符を打つ為、
明るい未来を目指す為、
意志を取り戻し
明日に歩き出した
残された魔人と魔物は再び暗黒の世を取り戻す為
力を失った魔人は敬愛せし王の為に、
残された魔物は本能に刻まれし指名に従い、
折れた意志を振りかざした
過ぎ去りし時代に思いを馳せた
戦いの末、人々は平和を勝ち取り
魔人と魔物を山脈の向こうに追いやった
だが大陸の人々は年月を経ていく内に
甘え、縋り、腐敗していった
魔物の脅威を忘れ
国同士で争い
殺し合った
そうして国は衰え
追いやった筈の魔物の侵攻によって滅びた
そんな明と暗がせめぎ合っていた
時代の全てを象徴するかのような国の名残り
その街の中心にある巨大な廃城の地下
大広間に置かれた大きな円卓を囲む膨大なマナを有する5つの黒い異形が居た。
「……同志達よ、矮小なる人間達はどうだ…」
ひとりは深みのあるしわがれた老人の枯れた声
「ふふふっ、少し侵攻をしないうちに油断してるわ
なんて単純なのかしら
国同士で争ってる所まであるわぁ。
バカねぇ」
ひとりは声を聞くだけで魅了される様な妖艶な女性の声
「所詮その程度の愚かな存在。
我々はアルフレード様が再臨した時に
お気に召される世界を作ればいいだけ…」
ひとりは堅い話し方をする男の声
「もうここの大陸は魔物だらけだし、
はやくアヴェルン大陸も魔物で溢れさせてやりたいぜ。
んで?今はどのくらい進んだ?」
ひとりは豪快な話し方をする
男の声
「各地の賢竜の妨害で現在侵攻している魔物の軍勢は勢いを削がれています
ですが賢竜を殺す事が出来れば
その先の国を滅ぼすのは簡単かでしょうし、
我々も失った力を取り戻した事ですし
そろそろ戦線に加わるべきかとリーガンは愚考します
アルフレード様の欠片のうちの1つは
確か…ロベルでしたか
そこの地下に封印されている様ですね…
他の3つの欠片の所在は未だ不明です」
ひとりは紳士然とした話し方をするリーガンという
落ち着いた声
「…竜どもはいつの時代も我々の邪魔をするのが好きな様だな
ルーガン、お前が行け
魔物を率い、
ロベルへの道を邪魔する賢竜を殺し
アルフレード様の欠片を取り返せ
我々の王を封印する愚か者共に思い知らせよ
蹂躙し、滅ぼせ」
深みのあるしわがれた声の老人は豪快な話し方をする男の声の持ち主のルーガンに指示を出した
「俺に全部任しとけ、1つなんかじゃなくて大陸に残るの国を全部滅ぼして来てやるよ」
「程々にしておけルーガン、
優先すべきはアルフレード様の欠片の奪還だ、
アヴェルン大陸に封印されし残りの3つも探すのだ
お前はアヴェルンに散らばる魔物を配下にし、賢竜を殺し国を滅ぼせ
足りない数は侵攻しながら従えるがよい」
「じゃ、行ってくるぜ、ジャスラック」
ルーガンと呼ばれた者は身を翻し
円卓を後にした
「待っていてくだされアルフレード様よ…」
かつて戦いの果てに力を失い
無力な自分を嘆き 叫び
帰らぬ王の名を呼び続けた
喉はとうの昔に枯れ果て
時が経つ内に深みを増して行った声の老人は
力を取り戻しかつての同志を束ねた
400年の時間の重みを感じさせる
どこか悲しげな声で
かつての主の名を呼んだ
太陽の光届かぬ黒雲に覆われし
暗黒の大陸での一幕
水を侵す一滴の墨の如く
アヴェルンの大陸に向かう一つの黒点は北の空へと消えて行った
アイリーン・オル・バルティシェルの姉の1人
予知者、アリシア・オル・バルティシェルの
予知よりも早く
滅びの歯車は再び噛み合わさる事になる
この話はアヴェルン大陸リノン帝国での魔武大会の2日前の出来事である
だが5人の魔人達は知る事になる
再び自らを討つべくして召喚された
精霊に愛された黒髪の救世主の存在を
改定




