十五話
久しぶりの更新です
少し書き方変えました
いきなりでごめんなさい
その日の放課後アイリのご機嫌取りを兼ねて
「今日の放課後、アリーナでの模擬戦をしなか?」
と、誘ったら二つ返事で承諾された為にやや強めの風が吹くアリーナで模擬戦をする事にした。
今メイと10m程距離をとって
向かい合わせに立っているアイリは
ピアの勧めもあり
護身用の短剣から本格的に武器を変えている
今アイリが手にとっている武器は
刀身が70〜80cm程の
かなり鋭く強度も高い両刃の剣だ
スモールソードに近い形状をしている
銘は《シャルプ・サーヴィエ》
鋭い剣と言う意味でもある様だ
刺す事にも斬る事にも使える
便利な剣である
今自分が構えているのは
短剣の魔法剣でモンスターと戦う時にアイリから渡されてそのまま使っている
アイリは既にあげたつもりの様だがこの世界で魔法の効果が付与されている武器はそれなりの価値があるらしくすこし気後れしてしまう
価値がある理由の1つは
使い手にもよるが、使い手にさえ恵まれれば
その武器1つで戦況が覆りかねないからだ
2つ目に魔法武器の製作に関わる人間が少ないのと技術があまり伝わって居ない為だ
3つ目は武器の製作に長けているのはドワーフでそのドワーフの数が少ないのもある。
4つ目は単純に魔法器と呼ばれる
魔法武器や盾などの絶対数が少ない為である。
アイリはあの魔法剣は親の形見であると言っていた
そんな物を自分に渡して良かったのだろうか…
アイリに教えてもらったが、今メイが持っている魔法剣の銘は
《光乃小指》
というそうだ
魔法剣としての効果は
一般的な剣の強度をあげる《強化魔法》と微弱ながら光属性を纏った《刀身伸縮》らしい
光の小指
うん、誰の小指かまったくわからないけど
短剣だから小指って言うのはなんか頷けるような気もする
それに短剣だからあまり強い効果の魔法は込められないそうな
まぁ名前なんて効果を見たまんま名前にする事なんてザラにあるし気にしないでいこう
それに放課後アリーナに向かう途中で始めて魔法剣の銘を知った
…すまんな小指、
次からしっかりと銘で呼ぼう。
アイリはロッドをアリーナの端に置き
メインアームのサーヴィエを構えている
自分は右手に魔力を込めたレサードを構える
結局悩んだ末にレサードと呼称する事にした
「それじゃあ、始めましょうよ」
修行の成果を見せる時が来た。
メイは学院に居る以外は殆ど
深淵の森にこもって何かやって居たみたいだったから、わたしはピアさんに魔法の修行と並行して
剣術指南も受けていた
この世界に来てどんどん成長していくメイを見ていてわたしも頑張らなきゃって思ったし
剣の扱い方も覚えた
メイに勝てなくてもせめて一矢報いるくらいは出来るはずだと思う
「あぁ、そうだなタイミングは任せる」
本当の戦闘の場合はいつもお互いのペースに合わせて始まる物ではない
この方が実践に即している
風の音が止むと同時にアイリが詠唱を口ずさむ
「火よ、魔力を糧に!
《火弾》!」
一直線に飛んできた火の弾はメイではなくその手前
地面にぶつかり炸裂した
(なっ!?狙ったのか!視界が!)
爆風で舞い上がった土煙で視界が陰る
「やぁぁっ!」
土煙を割り浅く鋭い刺突を繰り出してくる
短期間で突きの技をこの完成度まで持って行くのだから魔法だけでないアイリの才能が伺える。
その突きを右半身を捻り避ける
「…ッ! 」
アイリの突き出したサーヴィエが少しかすり服を裂かれる
体を捻った勢いを殺さずに回転し
レサードで水平斬りを繰り出す
アイリは読んでいたのか浅く突き出したサーヴィエを既に引いていて
ガードされる
その後も30合程打ち合い
鍔迫り合いになる
ギギギギッと金属同士の耳鳴りな音が響く
周りで自主練していた生徒も数人こっちを見ているのが視界の端に写った
お互い相手の剣を突き放し
多少の距離を取る
「…くっ!!…メイもいつの間にか随分強くなったわね!」
「まぁ、ピアに型叩き込まれた後に深淵の森でひたすらに実戦だったからな、少しは切り合えるようになったよ
中部に居たトカゲ人間には感謝しないとな」
(とはいえアイリの成長もかなりはやい部類に入ると思うんだけどなぁ)
深淵の森で遭遇する人型の魔物の最上位種はリザドニュート
リザードマンの最上位種で深淵の森で三段階に分けられる浅部、中部、深部のうちの中部にある湖の周辺にある洞窟に棲息する魔物である。
竜人の近縁種だが魔物に分類される理由は知能がゴブリン程度しか無く殺戮衝動があるためだ。
個体数が少ないが1体の戦闘能力がかなり高いため冒険者でさえ迂闊に手を出せない。
力量だけならば下級魔人と同等の力を持つと言われている。
ちなみにメイは知らなかったが魔物としてのランクはAAランク、稀に発見される知能も高いリザドニュートはSランクである
リザドニュートはリザードマンよりも体躯が大きく2.2m程、
全身が洗練された筋肉と鱗に覆われていて
太く長い尾は振り回すだけで敵を押しつぶす威力を秘めている
頭部はトカゲを少し人間に近づけた様な顔をしている
メイが湖の近くで見つけたバスターソードを持ち周りにリザドニュートを従えていた1体はかなり強そうだったので
嬉々としてその集団に殴り込み、もとい斬り込みに行ったのである
ー閑話休題ー
(そういえばバスターソード持ってたトカゲ人間は喋ってたよな…
周りはギーギーしか言わなかったのに、 まぁいいか)
「っ!?…はっ!!!」
アイリは既に体力の限界が近かかった。剣は全てメイに逸らされ、体制をを立て直す為に余計な体力を使いすぎたのだ、
5度つけば5度逸らされ6度めに斬り返してくる
(想像以上に強いっ!!ピアさんに剣術指南を受けていたのは最初だけだで後は深淵の森に居たはずなのにっ!?)
斬り返して来た斬撃をバックステップでかわし距離を取った
メイは息切れ一つしている様子が無い…
地力がちがいすぎる!?
このまま斬り合いを続けていては
いずれわたしの体力と魔力が尽きて負けてしまう
アイリは次の一手に全力を込めて
せめて一矢報いる事に決めた。
アイリの纏う雰囲気が変わった
腰を落とし身体を半身にし、サーヴィエを中段に構え視線はメイの首を射抜いている
メイもその雰囲気に反応しレサードを握る手の力を抜き剣を下ろし
正眼でアイリを一挙一動を見つめる
深淵の森で身につけたメイのスタイルだ
常に神経を張り詰めて居なければならない森の中では剣を構えている体力ですら無駄なのだ
(アイリは確実に次で決めてくるな…)
その思考の瞬間アイリは剣を構えたまま大声で叫んだ
「火よ!…轟け火炎の輪!!《火円乃轟》」
今までのアイリの詠唱とは比較にならない程の速度で言葉が紡がれ
アイリの口元から20cm程先に火の輪が出来上がり輪が広がりながら次々と凄まじい速度で迫ってくる
まるで音波のようだ
(なっ!?早いっ!?!!この威力は…六級かっ!?)
とっさに輪の中を潜ろうと身を前に傾け飛び込む
(…かかった!!!)
アイリは罠の発動を確認し満足げに頷いた
潜り抜ける瞬間に視界が閃光に包まれる
「なっ!?護れ!《闇の盾》!!」
瞬間、爆風に吹き飛ばされる
(くそっ!罠かっ!?)
防御魔法が後1秒遅れていれば爆風に煽られ身体が炭化していただろう
ギリギリ体制を立て直し地面に降り立つ
ー首筋に悪寒がした
反射的に首を守る様に最小限の魔力で魔法を発動する
「……れ…《闇の盾》」
首筋にかなり小さい範囲に漆黒の盾が形成される
背後に居たアイリには無詠唱で魔法が発動されたように見えただろう
アイリは本気で刺突を繰り出した
手を抜いては勝てないどころか逆にやられる
そして、火の輪が爆発した時に爆煙に紛れてメイの死角に潜り込み背後から繰り出した渾身の刺突はもはや避けられないと踏んでいた
(ここまでやればっ…)
声に出したい気持ちを抑え、この一撃に全てをかける
既に体力は空になっているが懸命に煙を切り先に前に進む、
メイの首をサーヴィエが捉えた瞬間
ー金属が弾かれ甲高い音が響いたー
瞬時に防御魔法を発動しアイリの渾身の刺突攻撃を受け止める
後一瞬遅れれば貫かれていた
思わず冷や汗が一筋、背を伝う
即座に反転したメイは僅かに笑っていた
手首を巧みに操りレサードでサーヴィエを巻き込み上空へ弾き飛ばす
アイリが愕然とした表情を顔に貼り付けている
身体の勢いが止まらずに突っ込んで来ている為に
避けるのも後で何かと言われそうだしこのままの勢いのアイリを受け止めたらお互い只では済まないので両手を広げながらこっそりと
強化魔法を唱えておく
ー身体覚醒術ー
アイリを抱きとめつつ柔らかい感触などを出来るだけ頭の隅においやり
冷静なふりをした
「…さっきのは少し危なかったよ」
(あっぶねー死ぬかと思った…
アイリかなり強くなってるな!
自分は警戒心足らないなやっぱり。輪があったら飛び込むとか
サーカスかよっ)
もちろん後半の心の声は漏らしていないが
「だって本気で行かないと…って、ちょっともう離しても大丈夫よっ!」
そう言い軽く突き飛ばされた
何故かアイリは運動後の火照りとはまた違う様なこっちまで心配してしまうくらい
に顔を真っ赤にしていたが
まぁ少しすれば治るだろう
模擬戦を終え周りの生徒がレベルの違う戦闘をみて唖然としている中を通り過ぎピアの家まで帰った
魔武大会まで後わずかです!
まだ慣れないですががんばって書きます!
応援よろしくお願いします
追記
フィテリアの人々は詠唱時
発動する魔法の属性を言わねばなりません
信仰の有無ですかね
「火よ…萌えろぉぉぉ…(発動句)」みたいな
メイは信仰もなにも無いので慣れたら無詠唱できます
多分
それと次の更新は時間あきます




