転生先は一見王道でした、が……
異世界転生をして、そこがなんか自分の知ってる漫画とかゲームと同じ世界だった! っていう展開がまさか自分に降りかかろうとは……とジャックは内心冷や汗だらだらしつつも、なんとか表情には出さなかった。
これが超有名作品の世界であれば、自分ももうちょっと浮かれて聖地巡礼してみたいなぁ、とかミーハーな事を考えたかもしれない。
だがしかしこの世界、なんと友人が作った所謂フリーゲームである。昨今流行りのSteamとやらですらない。RPGツクールでコツコツ作成した、仲間内だけで遊ばれたマイナーってレベルじゃねーぞ! というものだった。ふ〇ーむ! さんに登録さえされていない。
さて、そんなジャック以外にこの世界の事知ってる奴いる? いたら出てこいよ!
と言いたくなる世界は、一見すれば王道RPGである。
一見すれば。
この一見すればが罠だった。
友人がゲーム作ったからちょっとプレイしてみてくれよー、とみてみてされた前世のジャックも、折角だしじゃあ……という気持ちでプレイしたが、ストーリー自体はとてもオーソドックスな勇者が魔王を倒しに行くとかいう、王道過ぎてむしろ最近だと古典に該当するのでは? と思うようなものだった。
道中のイベントも奇をてらったようなものはなく、勇者が人々を救っていく内容だ。
そして敵対している魔王軍との戦い。
合間に挟まるイベントにはコミカルなものもあって、全編シリアスぶっ通しというわけでもない。
真新しさはないけれど、友人が一生懸命作ったやつだし、目立ったバグもなさそうだし……まぁ、面白くはある、というのがジャックの感想だった。
エンディングを迎える前までは。
難易度的にも丁度良かったし、サクサククリアできたし、二周目とかあるんだろうか、でも途中でシナリオ分岐しそうな展開はなかったよなぁ……とか思いながら魔王を倒してエンディングを迎えて。
そこでジャックは見たのだ。
脳裏にとても悪い笑みを浮かべる友人の姿を。
ジャックの幻想と言ってしまえばそれまでだが、しかし友人は絶対にこれを狙っていたのだと気付いて。
おまえこれさぁ……とんだ罠すぎるだろ、とすぐさま連絡を入れたのもいい思い出である。
その後友人から真エンドを見るための条件を聞いて、難易度ハードじゃねぇか! と叫んだのも今となっては懐かしい。
ともあれ、そんなゲームとほぼ同じであろう世界にジャックは転生していたのである。
そして今、世界には魔王を名乗る奴が現れて世界を手中に収めんとしていた。
ゲームの中の勇者は、正当な血筋がどうだとか、聖なる剣に選ばれただとか、そういったものではない。
なんかある日王様に呼び出されて、勇者として魔王を倒してまいれと告げられるのだ。
初期装備はとてもしょぼい。
勇者っていうならもっといい装備渡してやれよ……というあるあるな突っ込みをしたものの、だがしかし勇者は一人ではないからこそ、この装備なのだ。
この世界には過去魔王が現れたという記述はない。
なので勇者と呼ばれるような後世に名を残す存在はいなかった。
一応過去の有名人がいないでもないが、勇者と呼ばれるような偉業は成していない。
ゲームではプレイヤーが操作する主人公や、その他大勢が王様に呼び出され魔王退治を命じられる。
……そう、ジャックも勇者として旅立てと言われる側にいるのである。
(いや、まだだ……まだ諦める時間じゃない……!)
もし本当にここがあの友人の作ったゲームとほぼ同じ世界であるのなら、勇者となり魔王討伐に赴くのはアウト。勇者として魔王を倒してマトモなエンディングを迎えるとなると、とてもじゃないがとんでも難易度なのでジャックとしては勇者にはならない方向性でいきたい所存。
それに……なんかいるのだ。
ジャックから離れた場所に、多分恐らく自分と同じ転生者らしき男が。
異世界転生で魔王退治とか捻りなさすぎだろ……
まっ、俺にかかればヨユーですけど?
みたいな事を呟いている。
周囲はそんな転生者らしき男からちょっと距離を置いていた。
うん、まぁ、頭おかしい人だと思っちゃうよね、わかる。
ともあれ、王様からのお言葉を受けて、この場にいる者たちは勇者を目指して魔王退治に出かけなければならないらしい。無茶が過ぎる。
兵士たちも各所で守りを固めたりしているので、魔王退治に向かわせる人手は正直足りていないというのもあるのだろうけれど……まぁこの場にいるのは基本的に腕自慢な者ばかりだ。
ジャックだって近所で出てくる魔物を倒したりもしているから、戦えない一般人を生贄よろしく送り出すというわけでもない。
魔王を倒した時には褒美を与えるというような事も言われていて、その言葉にそわっとしている者もいた。
そういうわけで皆に配布する装備を一式渡されたのだが。
「すいません王様。辞退します」
ジャックは意気揚々と他の者たちが装備を手に城を出て行くのを最後まで見届けて一人になった時にそう宣言した。
「どういうつもりじゃ」
「確かに魔王を倒すというのは最重要だと思うんですが……後方支援も大事でしょう。
僕は確かに多少腕はたちますが、どちらかというと畑を耕す方が性に合っているのでそっちの方が役に立てると思うんです」
己の実力に自信あり、みたいなのは今しがた旅立ったので、一人くらいいなくても別に構いやしないだろう。
装備だけ持ってとんずらしてどこかでそれを売り払うようなのも、恐らくはいるかもしれない。
けれどもジャックはそれをしなかった。
そうして自分は後方支援に回って人々の暮らしを守る方に回りたいと切々と訴えた。
自分が魔王を倒せるとは思っていないし、それなら一人でも多くの人を生かすため裏方に回る方がいいと自分の得意な事をプレゼンしたのである。
実際ジャックは前世の記憶を用いて畑を拡大し、ちょっと大きな農家の息子として暮らしていた。
両親からはお前には農家としての才能があるとまで言われてしまって、農家の息子というか既に農家の跡取りとなっている。自分がいなくなれば畑が荒れてしまうかもしれないのだ。
食料は確かに大事。
なので、ジャックの訴えを王は聞き届けた。
確かにそうだよな、と納得させることに成功したのである。
なのでジャックは、畑の害虫駆除もあるので失礼します、と丁寧に頭を下げて城を後にした。
採れた作物の一部は騎士団とかに差し入れして、周囲の胃袋掴んでおこう……とジャックは保身のためにそんな事を考えて。
特に旅に出るでもなく朝から晩まで畑と向き合ったのであった。
時々魔王軍の下っ端らしきものが襲ってはきたけれど、それらは村の皆でぶちのめした。畑の作物が駄目になったら自分たちのおまんまも食いっぱぐれる事になるのだ。
ジャックが畑を改良する以前は、あまり作物も収穫できず村の人たちはやや飢えていたのもあって、畑を守ろうと言う気概が半端なかった。
そこはかとなくファンタジーな世界だからか、作物は前世と違う物もたくさんあるし収穫までの速度が違うのでジャック的には飢えるような事ある? という気持ちだが、細かい事は気にしない事にする。
いっぱい作物を作って収穫物を時々周囲に差し入れしたり納品したり。
そうやっていくうちに、どうやら魔王が倒されたらしい。
勇者として魔王を倒したのは、恐らく転生者だなとジャックが思った男だった。
余裕だったぜ、とばかりな勇者だがしかし、ジャックは察している。
あ、これバッドエンドだなと。
世界を救ったという功績は確かにある。
だがしかし、犯した罪があまりにも多すぎて彼は処刑される事となってしまった。
恩赦? そこになければないですね。
魔王を倒せるだけの強さがある勇者がそう簡単に捕まって易々と処刑されるか? という疑問はあるけれど、まず勇者からすれば自分は世界を救った英雄だ。それをすぐさまこちらが敵対するような事はしないと思っていたのだろう。まぁ勇者を脅威とみなすにしても、魔王を倒して戻ってきた直後からそうなるとは思わない。少なくとも多少の時間はあると考える。
勇者の力は脅威ではあるけれど、でも上手く懐柔して利用しようだとか、そういう風に考えてるとか思う事はあるかもしれない。あの勇者はジャックと同じ転生者で、異世界転生とかRPGとかそういうものに精通しているようではあったから。
だがしかし王様たちは勇者を世界を救った英雄というよりも犯罪者として見ていたからこそ、勇者が戻ってきた時点で彼を捕らえるための手段を用意していたし、実際に勇者も疑う事なく力を封印する腕輪を装着されても気付きもしなかった。
封印の腕輪はデザインだけならとてもお洒落で、そういうアイテムだと思わせないのも罠だったと思う。
「なんでだよ、俺は魔王を倒して世界を救ったんだぞ!? それなのに……っ、こんな扱いあんまりじゃないか!」
処刑台の上で勇者が叫ぶ。まぁそうだろう。彼にしてみればこんなのは酷い裏切りだ。
だが――
「ふざけんな泥棒! 魔王を倒したからって今まで犯してきた罪が綺麗さっぱり清算されると思うなーっ!!」
「そうだそうだ! この犯罪者め!!」
民衆から罵声が上がる。
確かに魔王を倒してくれたのは助かるけれど、それとこれとは話が別だと誰もが叫んでいた。
「そうよこの変態! あたしの家から盗んだ下着一体何に使ったっていうのよーっ!?」
そんな悲鳴混じりの叫びも聞こえてきて、勇者へ向けられる視線は一層冷ややかになっていく。
「確かにおぬしが魔王を倒し世界を救ったという功績は大きなものである。
だがしかし、おぬしはあまりにも罪を犯しすぎた。一つ二つなら魔王退治の功績で打ち消せたかもしれぬが……その、各国からもおぬしの所業に対しての苦情が来ておってな。
たとえこの国でおぬしを解放したとしても、他国でのおぬしはお尋ね者。
いずれ処刑人を送り込んでこないとも限らぬ。そうなれば折角平和になったというのに、おぬしの周辺だけが常に危険。おぬしはそれを切り抜ける事ができようとも、それに巻き込まれる側からすればたまったものではない」
処刑台にいる勇者にむけて王がそう告げる。
「一国の中だけでならまだおぬしの事を守れたかもしれぬ。今までの罪に対しても魔王を倒したのだから……と目こぼしもできたかもしれぬ。
だが、話は国内だけに限らぬのだ。おぬしを庇いこの国に留めたところで、そうなると次はこの国が他国から糾弾され新たな戦の火種を生みかねない」
「そんな、俺が……っ、俺が魔王を倒したから新たな脅威だとか、そういうのをそっちの都合のいいように言ってるだけじゃないのかよ!? 俺は何もしてないぞ!」
そんな勇者の反論に、民衆から嘘をつくなと叫ばれる。
「おまえがうちから盗んだ金はなぁ! ばあちゃんの薬代にするつもりだったんだ!
それをお前が盗んだせいで薬は買えずばあちゃんは……ばあちゃんは……っ!
返せよ人殺し! おまえのせいでばあちゃんは死んだんだぞ!」
「うちは妻だ! お前のせいで妻が死んだ!」
「人殺し! 母ちゃんを返せ!」
我も我もとばかりに民衆が叫ぶ。
誰一人として勇者を助けようと言う者はいなかった。
確かに魔王を倒してくれた。
でも結果として自分たちの大切な人を死に追いやったり、あまつさえ生活が困窮するような事態に陥らせた勇者の事を許せるはずもなく。
少しくらいなら王家が損害を上手い事補填してくれたかもしれないが、あまりにも数が多すぎる。
勇者のやらかし全てを王家が尻拭いしたら、王家の財政は破綻する勢いなのだ。
故に勇者は死罪となった。
絞首刑である。
「……なんとか助かった」
そしてその光景を見て、ジャックはホッと胸を撫で下ろしたのであった。
友人が作ったゲームの内容は、どこまでも王道なものだ。
だからまぁ、ちょっとゲームに慣れ親しんだ者なら特に途中で行き詰る事もなくクリアできる。
魔王を倒すだけならそう難しくもない。
ただこのゲームには、隠しステータスのようなものがあった。
それが犯罪値である。カルマと言ってもいい。
他人の家に勝手に入るだけでもこの数値は上昇する。
勇者としての情報収集としてなら、酒場やそれ相応の施設に行けばいい。
見ず知らずの人の家に勝手に入る時点で犯罪なのは、現実であればそうなのだがしかしゲームの中では割とよくある行為だ。
入っても何もせず話だけして去るならまだいい。
だがしかし、家の中のツボやタンス、棚の中といったところを調べ、あまつさえそこで見つけたアイテムをゲットしたらそれは窃盗として犯罪値が上がるのである。
ゲームの中ではよく見かける宝箱もそうだ。
人のいないダンジョンにある宝箱は問題ないが、町や村の中の宝箱は個人の財産か、その町や村の中の共同財産扱いだ。それをよそ者が勝手に持っていくというのは犯罪になるのは言うまでもなく。
友人が作ったゲームの中では、結構色々な物がアイテムとして入手できた。
人様の家の台所を調べる事で手に入る料理。回復アイテムである。
庭の柵に立てかけられてる農具や工具。武器になる。
更には積み上げられた薪も手に入れる事が可能だ。なおそれらはアイテム作成の素材になる。
更にちょっとお金持ちそうな家におかれた鎧とかも持ち出せる。
ゲームをやり込んでいる人なら調べられるところは調べるし、手に入れられるアイテムは当然ゲットする。
アイテムコンプが目的であったりだとか、はたまた序盤の金策として。
けれども盗んだ品を売りさばくとか完全に現実では犯罪なわけで。
しかも持ち去るアイテム次第では、生活に困る人が出るのも当然なわけで。
盗みを見て現行犯で捕まえる、というのができればいいが、相手は魔王退治に選ばれた勇者の一人。
普通に暮らしている民草が実力行使で捕まえるには無理があった。
そうでなくとも、家主がいない隙に盗まれるなんて事もあるので必ずしも現行犯というわけでもない。
ただ、勇者は堂々と家に入り込んでいるので、目撃者は多数だった。
倫理観ゼロな相手に犯罪をやってはいけないよと説いたところで素直に聞き入れるかはわからないし、何よりそんな風に説いた事で逆切れされて凶行に及ばれても困る。
だからこそ勇者の行いは然るべき機関へ通報されて、罪カウンターをぎゅんぎゅん回していたのである。
一応各地でゲームプレイヤーにそれとなく注意コメントをするNPCもいるけれど。
果たしてどれくらいの人がその言葉をゲーム内で聞き入れるだろうか。
現実では流石にやらないとしても、ゲームの中でなら勝手に他人の家に入るのも、そこから物を持ち去るのも、躊躇わない人はきっと大勢いるはずなのだ。
まさかそのコメントがゲームのエンディングに影響するものだなんて前世のジャックだって気付けず一度目はバッドエンドだった。
実際そこらにあるアイテムを拾い集めるだけでも装備はそこそこ整うし、回復アイテムだって困る事はない。
犯罪をそうと自覚しないままやればやるだけ、ゲームの難易度は下がる。
だが、その結果はバッドエンドなのだ。
事実処刑される前の勇者に今までの罪状が読み上げられたりもしたけれど、詳細を述べればそれだけで日が暮れてしまいかねない。だからこそ訴えられた件数など大まかに纏められたりはしていたが、それでも相当な犯罪件数だった。
実際前世でそれだけの事やったら一体何年刑務所暮らしなんだと思える程である。
仮に刑務所にぶち込まれたとして、多分寿命が尽きるまで刑務所暮らしになりそうな勢いだった。
窃盗や不法侵入、盗品売買。そこら辺はまだうっかりでゲームの中ならやらかすのもありがちだが、勇者はそこから更に麻薬所持――これは恐らくドーピングアイテムである――どころか違法栽培までしていた。
勇者はそれを魔法薬の材料にだとかなんとか言っていた気がするが、実のところ栽培も所持も国では禁止されているのだ。
野生でうっかり生えてるのをそうと知らずに引っこ抜いて持ってた、くらいなら言い逃れも可能だったかもしれないが、使用した挙句更に栽培していることが判明しているので言い逃れるのは不可能だった。
それ以外にも、ゲームの中ではとある場所に入るために裏からこっそり侵入する、とか正面突破とか、まぁ力技極まりない選択肢が出る事があるのだが、それもやってはいけない罠である。
裏から侵入は言わずもがなだし、正面突破の場合番犬と戦う事になる。
その番犬は魔物でもなければ魔王軍に属しているわけでもない。普通のわんちゃんだ。
それを、正面突破の際はぼこぼこにぶちのめすのである。現実で考えたらいくら勇者でもドン引きの所業。
動物虐待。飼い主からすればうちのわんこをよくも、というところだろうか。
不審者が近づいてきて警戒し飼い主を守るために威嚇したわんこがまさかの悲しい結果を迎えるのだ。
番犬としての仕事を全うしたとはいえ、死んでしまったわんこの事を悲しまない飼い主はいない。
むしろ直後に飼い主がよくも! と仇を討とうと勇者に襲い掛からなかっただけマシだった。
下手をすれば勇者に返り討ちにされてまるでこちらが勇者の邪魔をした悪の存在扱いになるところだったのだから。
罪状は多岐に渡った。
集団で犯罪組織として活動しているならまだしも、これらの罪をこの勇者がたった一人で、となればそりゃもうどんな凶悪犯だよと言いたくなるくらい大量に罪状がありすぎた。
だからこそ処刑されてしまったのだが。
死ぬ間際、勇者はなんでだよこんなのゲームなら当たり前だろ、と叫んだが、ゲームじゃないからこうなっているのだと気付かなかったらしい。
確かにこの世界で勇者として魔王を倒してほしいと言われたら、そりゃあ前世の記憶持ちからすればゲームみたいな展開だなと思うのも無理はなかったが……
他の勇者たちが旅立ったからこそジャックは後方支援と言う形で一抜けする事ができた。
もしあの時あの場にジャックしかいなければ、そんな風に言って勇者を辞退するなんてとてもじゃないが無理だっただろう。
ちなみにグッドエンドは犯罪値をほぼ上げずに進行する事なので、そうなると難易度がとんでもなく跳ね上がる事になる。
勝手に民家に入らない。アイテムもそこらで拾わない。
そうなると適当なアイテムを拾って売り払って回復アイテムを買うだとか、そういうのも気軽にはできなくなる。
そこらの町中の宝箱から装備を見つけて回収するわけにもいかず、基本的にお金を稼ぐとなれば外で魔物を倒して素材を売るのが主流だ。回復アイテムの薬草も外で採取するしかない。
なので序盤はマジで金がないしアイテムもカツカツだし、装備品もいいのを買うまでとなるとかなりの時間がかかる。ダンジョンに行ってそこで装備をゲットするならギリ犯罪値は上がらないとはいえ、そこに行くまでが中々に大変になってしまう。
レベルをある程度上げてから進むにしても、大分慎重にならないといけない。
犯罪値を上げないように攻略するとなると、本当に大変だったのだ。
イベント中の選択肢もそうだ。
助けてください、なんて助けを求めてくる相手の返事に何があったのかを問うようなものを選ぶならまだしも、いやだめんどくさいとか、そういう否定的なものを選ぶのも犯罪値に影響する。
ゲームの中だからこそ辛辣な選択肢をあえて選んでみる、といったプレイヤーの気持ちすらバッドエンドへ繋がる道となってしまうのだ。
一度断ったら二度目はない、なんてイベントも多々あるので、ゲームならセーブとロードを駆使してやりなおせるが、この世界にそんなものはないので勇者は果たしてそこら辺どうだったのだろうか……
勇者が直接人を殺したりはしていなくても、彼の行動によって間接的に人が死ぬ事は多々あった。
それが民衆のセリフとして存在していたので、それに関しては今更だろう。
魔王を倒すまでの制限時間はないけれど、グッドエンドを迎えるためには本当に長い時間がかかるようになっていたのだ。
だが、苦労の甲斐あって見たグッドエンドは確かにちゃんと勇者が勇者として称えられていた。
世界救うのって本当だったら大変なんだな……とは前世でゲームをクリアした直後のジャックの言葉だ。
ゲームで相当苦労したので、流石に転生した現実でアレをまたやれと言われてもジャックには無理だった。
後方支援万歳、そんな気持ちである。
勿論後方支援だって決して楽なものではなかったけれど。
だがまぁ、犯罪者として裁かれる事がなかったのでその程度の苦労なんて些細なものだ。
平和になった世界で、ジャックの生活はこれからも続いていく。
次回短編予告
はーいそれじゃあみんなー、先生からのおしらせがあるよー。
次回 魔法学園入学者の皆さまへ
魔法があるので魔女も出ます。




