肆 合流の兆し
俺はとりあえず1番近くにあり、鍵もかかっていなかった寝室へと入った。
中はこれと言って変な場所はなく、ただベッドと少し椅子やテーブルが置いてあるだけだった。
が、もちろん探索を怠ってはならないので色々なところを探す。
椅子の裏、テーブルの裏、天井、ベッドの下、
「あ。」
何かあった。ベッドの下に紙らしきものを見つけたが、届かない。
これは仕方ない、ベッドをずらすしかない。
俺は持ってる力を限界まで働かせ、ベッドを横にずらした。
すると、紙に手が届いた。
「これは...研究データだな。」
俺はそれをこの間と同じように読むことにした。
情報収集だ。
--------------------
研究データ『どぉなつ』No.2
生物【どぉなつ】の複製体について。
見込み 十分可能と思われる。
最初の実験は失敗。サイズが少し足りないどぉなつが生まれた。
【ちびどぉなつ】と名付けておく。
このまま実験を続け、複製体を完璧に作れるよう研究を進める。
被験者 どぉなつ
担当者 ====
--------------------
「ふむ......なるほど?」
複製体...元からどぉなつという生物が存在したのか、それとも誰かがどぉなつを生み出したのか。
ちびどぉなつ...どぉなつと何が違うんだ、?そして担当者の枠も擦れて読めなくなっている。
というかこのデータのおかげで複製体が存在することはほぼ確定と言ってもいいだろう。
まあ、一応持っとくか。
「他には何かあるかなぁ...」
念のため他の場所も色々と見る。
するともう1つあったベッドの布団の中にハサミがあった。
「まさかの刃物かぶり...でもこれだいぶ錆びてんな。」
あまり使えそうにはないが持ってて損はないだろう。
もう何もなさそうだったので寝室を出ることにした。
次に入ったのはすぐ横の客室。
「鍵は......開いてるな、よし。」
俺はゆっくりと扉を開けた。
すると、誰かが椅子に座っている。
「誰...だ、?」
「ん?おっ!ツバキ!!」
「サキ!!よかった無事だったんだな!」
座っていたのはサキだった。
これで見つかってないのはあとアツシだけ。
まあこの流れで言ったら生きてそうだけど。
「アツシって見かけたか?」
「あぁアツシか?丁度さっきそこでの曲がり角で分かれたぞ。」
「ほんとか!!じゃあ生きてるのか...」
とりあえず全員の生存確認はできたと。
安心だな、このまま全員で脱出できればいいな。
「じゃあちょっとアツシも見て来るよ。」
「おう。あ、待って。あいや、うーん...」
サキは俺を呼び止めたが、少し悩んだような顔で固まる。
言いずらいことか何かあるのだろうか。
「どうした?」
「いや、私も一緒に行こうか迷って...」
なるほど。
まあ合流したからここから先一緒に行くのももちろんいい選択だが、その後でどぉなつに遭遇してまたはぐれるのも避けたい。
だからここは残っててもらうか、?
「俺的には、ここに居てもらうのもいいとは思うんだが...」
「ん-...。よし、私も行くよ。」
「それでいいのか?」
「うん、何よりツバキだけ変に活躍してるのも納得いかないしな!!!」
理由がサキらしいと言えばサキらしい。
そういうわけで俺とサキは同じ行動を取ることにした。
まずは曲がり角を進んで再びアツシと合流することが目標。
「えっと、ここの部屋は...『子供部屋』、『トイレ』、『メイドルーム』...。メイドルーム?あんま聞かない部屋だな。」
「もしかしてここって意外と大豪邸だったりする?」
かもしれないが、庭も何もなかったし、そもそもここは森の奥だ。
住宅街などに建てるよりかは安く済むだろう。
「ん、?なぁツバキ。」
「どした?」
「ここの子供部屋さ、ちょっと開いてないか?」
ほんとだ、言われてみれば少しドアが開いている。
鍵もかかってないだろうし、アツシがここに入ったってことか?
俺とサキは子供部屋に入ってみた。
「おーい、アツシー?」
「私たちだぞー!サキとツバキ!」
「お...2人か!」
部屋の隅にあったクマのぬいぐるみの後ろからアツシがひょこっと顔を出した。
少し疲れたのかここに隠れてアツシは休んでいたみたいだ。
「2人とも合流したんだな!」
「あぁ。なんとかな、サキがアツシと一緒に居たって言うから探したんだ。」
「そうそう、私のおかげだね!」
まだここに来て何時間も経っていないが、色々なことが起こりすぎてとても久しぶりにあったような感覚だ。
少し懐かしい気持ちさえある。
「で、他の2人は?」
「シュウヤは下の物置に居て、セナも1階にいると思うよ。」
「じゃあみんなでまた合流するか!」
「そうだね!」
俺は2人に念のため拾った研究レポートも見せた。
アツシは驚いたような目で見ていたが、サキはなんとなく察していたような顔で見ていた。
そして俺らはまずシュウヤと合流するために1階の物置へと向かうことにした。
「あ、そういえばこれ見つけたんだ。」
階段を降りている途中、アツシが俺を呼び止める。
「鍵か?」
また鍵だ。この館にはどれだけ鍵が転がってるんだ。
タグには...何もかかれていない。
「どこの鍵かもさっぱりだし、誰が持ってても変わんないと思うからお前に渡しておくよ。」
「わかった、ありがとな。」
一瞬止めていた足を再び動かし、俺らは物置へと進んだ。




