統合生徒会ルート 第二話
おまたせしました!
統合生徒会ルート 第二話でーす
個人的に、第三生徒会ルートの頃から書きたかった拠点です。
どうにか書けました。
統合生徒会ルート
第二話
~北郷一刀
実に子供っぽい感情だなっておもう。
散々弄ばれたのか弄んだのかわからない夜が明けて、自分のベットに折り重なる二人の女性をみて、胸の内の黒い感情が渦巻くのをかんじる。
経験豊かで自分の経験値をガンガンあげてくれる大人の女性、桔梗せんせいと紫苑先生。
良くないことだと思うけど、よるとさわると夜討ち朝駆けで「して」もらってしまっている。
そう、「して」「もらっている」だけなんだ。
それなのに、そう、本当に情けない話なんだけど、子供っぽい感情が頭をもたげてしまう。
ああ、本当に情けない話だ。
「ふーん。なにがそんなに情けないのかしら?」
「・・・子供っぽいんですよ、僕」
「そうか? 実に荒々しい益荒男っぷりじゃったぞ?」
「そういうんじゃなくてですね・・・。」
「じゃなくて?」
「なんで二人の初めてが僕じゃないのかなぁって。」
「「・・・・ぶっ」」
気づけば二人に白状させられていました。
・・・くぅ、泣ける。
ケタケタと笑う二人は、大きな胸で僕を押し挟む。
「あのね、一刀くん。焼き餅をみっともないなんてかくしてほしくないのよ?」
「逆に盛大に焼いてほしいぐらいじゃな」
「「ふふふふふ(ははははは)」」
ああ、なんて格好悪いんだろう。
でも、二人の笑いが、印象的に残った、そんな記憶だった。
そんな暖かな朝を思い出したのは、いまが暗い朝の空を見上げているからだろう。
真っ暗な空だった。
深々と降り積もる雪に埋もれながら見上げる空は、どこまでも遠くどこまでも深かった。
どこからあの雪は降りてくるんだろう、と熱を帯びてぼーっとなった頭で考えた。
いや、何で頭が熱いんだ?
つうか、熱を帯びるって・・・・
「ぐ、う、ぁ・・・。」
思考が灼熱して思い出せないけど、なぜ僕は彼処にいないんだろうと言う疑問が閉めている。
学習の天地、三つの生徒会がせめぎあう夢の大地。
見上げるかすんだ空は、うつりこむ周囲の風景は同見ても「そこ」ではなかった。
ああ、彼処に帰りたい。
ああ、彼処に帰るんだ。
雪蓮、いまなら君の灼熱の想いが解る。
自分のいるべき世界を取り戻したいと、僕は手を伸ばした。
~???
アパートの前の除雪を終えてみると、なぜかそこに男の子が埋もれていた。
何となく透明感のある男の子で、真っ白な学制服を着ていた。
ちょっとみてみると真っ赤な顔で荒い息をしていて、みるからに「風邪」を引いていそうで。
まずいかしら?
そうおもって近づこうとすると、彼はぐっと手を伸ばして、何かをつかもうとしている。
その姿が切なくて、私は彼を抱きしめて部屋まであげてしまった。
ルームメイトはイヤそうな顔をしていたけど、そう言うことで反対はしない優しい娘なので、苦笑いで答えあう。
「ん? おもしろいものを持っているぞ、この男」
ルームメイトが差し出したのは彼の懐には入っていた手帳。
みれば、聖フランチェスカ学園の校章。
裏には彼の写真と登録番号・・・・。
「え?」
「おもしろいじゃろ?」
面白いどころではなかった。
まるで、まるで、お祭り騒ぎがやってきたかのような、そんなトキメキを感じた瞬間だった。
「ね、この子、しばらく面倒みちゃだめ?」
「ふっ、反対する分けなかろう?」
二人は面白い玩具を見つけた猫のような顔で、彼の顔を見つめていた。
~北郷一刀
目を開けると、そこがアパートの一室だと言うことが解った。
そして、何となくだけれども、一人以上で暮らしているのが解った。
カップルかな、とは思ったけれど、それにしては男の持ち物がないのでルームシェアとか、そういう感じかもしれないと思った。
「あ、気づいた?」
部屋の扉が開いて、女性、というか少女?がこちらを見つめていた。
年の頃は、そう、高校二年とか三年とかそう言う感じ。 ・・・にしては、その、かなりスタイルがよすぎる。
そっちに目がいかないように集中するのが大変すぎだ。
「ねぇ、三日も寝込んでたけど、おなかすいてない?」
正直に言えばペコペコだ。
空腹で起きたといっても過言じゃない。
だからゆっくり頷くと、彼女はうれしそうにほほえんだ。
「そ? じゃ、何か作ってくるわね」
パタパタとスリッパの音を立てて彼女が消えた。
かわるようにもう一人の女性が現れる。
いや、風格はあるけど彼女と同じぐらいの年だろう。
あの島にいると、そう言う目が鍛えられる。
「ん? おお、気づいたか。」
にこやかな笑みでその人はベットの横に座った。
こちらも凶悪なスタイルで、目のやり所に困る。
「で、具合はいいのか?」
「・・・・あい。」
のどがガサガサで声にならなかった。
「あ、無理してしゃべらんでもいいぞ、北郷一刀」
「え`?」
驚いて彼女の瞳をみると、目の前に引っ張り出されたのは僕の生徒手帳。
なるほど、身元ぐらいは調べる、か。
理解した旨、頷くと、今度は彼女は面白そうに壁を指さした。
そこにはカレンダーがあった。
12月って、え?
いや、注目すべきところはそこじゃない!
「平成X年」
・・・・え?
思わず彼女をみると、うれしそうな顔で生徒手帳の入学年度を指さしていた。
「面白そうな話を聞けると思ってるぞ、北郷一刀くん?」
ええええええええええええええええ?
思わず上った血のせいで、めまいが始まった。
「ん。しまった、もうちょっと回復してからにすればよかったかな?」
「ちょ、ちょっと、桔梗!!なにしてるの!?」
「ん?ああ、紫苑。ちと、この面白げなネタを楽しもうと・・・。」
「もっと回復してからって言ってるでしょ!?」
「いやいや、こんな楽しいクリスマスプレゼント、すぐに楽しみたいだろ?」
・・・え?
しおん? ききょう?
真っ暗になった思考を無理矢理ねじ伏せて体を起こす。
そこには、心配そうにこちらをみている女性と、面白そうにみている女性。
何度も目をこすって、再び彼女たちをみる。
気づいてみれば、気がついてしまえば本人達だった。
「忠 紫苑さんと巌 桔梗さん?」
驚いた顔の二人。
驚いたのはこっちも一緒。
「なんじゃ、未だ来ぬ時の先では知り合いか?」
「ふふふ、本当に面白そうな話が聞けそうね?」
うっわー、どうしよう。
タイムがパラドックスで未来が書き変わったりしないのかぁ!?
思わず別の意味でのめまいを感じる僕だったけど、二人の追求はお構いなしであった。
~巌 桔梗
実に面白い話だ。
彼の話では、この先「南洋校舎」が復活するというのだ。そして我が母校の教員として私と紫苑が舞い戻り、南洋校舎で教師をしているというのだ。
実に面白い。
加えて、この少年、北郷一刀は南洋校舎開設後初めての男子生徒として学習しているという。
南の島、白い砂浜、若い生徒・・・・なんだか背徳的だなというと、少年は真っ赤になった。
うぶだなぁ、とにやついてところ、シリを紫苑につねられた。
うん、こういう焼き餅もかわいいぞ、紫苑。
それはさておき、未来を知りたい私たちであったが、色々と知ってしまうと面白くないだろうから、一つのことだけを集中的に聞くことにした。
彼にとっての「今も」、私たちは一緒にいるか、だ。
さすがに永遠の誓いはできないが、少なくとも私たちの今の状態に近い関係が結べていられれば、それに越したことはないと思うから。
その質問はすんなりと答えが返ってきた。
「はい、今も仲が良い二人ですよ・・・・」
そうか、うん、そうか、うん。
「・・・璃璃ちゃんをまるで二人の子供のように育てていますから」
なに?
「紫苑先生の実子ですけど、桔梗先生も・・・」
思わず私の腕は、少年の首に延びていた。
「・・・少年、貴様、今なにを言った?」
ぎゅっと指に力がこもってしまう。
指先に少年の痙攣が伝わる。
「きさま、いま、なんと!?」
怒りに沸騰した私の頭を誰かの手がなでる。
いや、誰かではない。
窒息で既に真っ青になっている少年が、まるで愛しい者を見るような瞳で私を見つめ、そして撫でているのだ。
・・・今、私はなにをしているのだ?
「だめ、桔梗、だめーーー!」
紫苑に抱きしめられて我に返る。
私が手を離した瞬間、咳込みと、そしてすごい勢いで呼吸を始めた少年。
そりゃそうだろう、まさに息の根を止められていたのだから。
しかし、少年の語る未来は容認できなかった。
紫苑が、私の紫苑が妊娠?出産?育児?
なぜだ、なんで私の紫苑が!!
気づけば私は少年に抱きしめられていた。
寝起きの汗くさい、男臭い体臭なのに、ゆっくりと落ち着く自分に気づいた。
「・・・ごめんなさい」
耳ではなく、少年の体から響く声。
その響きに私は自然と瞼が重くなるのを感じていた。
~忠 紫苑
衝撃的だった。
聞かなければよかったとすら思った。
私が、この私が、桔梗以外に抱かれるなんて想像もしなかったから。
だけど、彼の話す私は、子供が居る以外は理想的な未来像であり、信じられないけど幸せそうだった。
彼の持つ携帯電話には、その写真が写っており、私と桔梗とそしてかわいい少女が写っていた。
理屈じゃなく、その子が私の娘だと確信した。
これは時間や空間を越えて感じることができる女の勘だろう。
ほかに体験をした人を聞いたことはないけど、多分、女ならば誰もが理解できる感覚に違いない。
子を産み育てるという本能がもたらす奇跡の一種だろう。
そしてもう一つ、私はすぐに理解できたことがある。
この子の父親と、未来の私や桔梗の状況。
というか、ほんとうに大丈夫だったのかしら?
そんな心配を込めて、彼を見つめると、なんとなくばつが悪そうであった。
まるでイタズラが見つかった子供みたい。
抱きしめていた桔梗をベットに押し入れて、彼は延びをした。
すると胸を締め付けられるかのような臭いがする。
いままでこの部屋になかった臭い、男の臭いだった。
私と桔梗はこの臭いがイヤでイヤでたまらなかった。
だから付属大学までいって、その上で教師としてフランチェスカに帰ってこようと考えていた。
そう言う意味では目指す未来がかなった話だった。
でも、今思う。
この臭いにトキメく理由が解っているから。
まるで未来に引き寄せられるように想いが加速する。
だから、自然と彼の手を取った。
「・・・おぞうすい、作ったの。食べる?」
にこやかに笑う彼の顔を見て、トキメいた。
・・・もっと踏み込むつもりだったけど、さすがに桔梗が寝ている横はまずいものね。
~巌 桔梗
一刀が部屋に住み着いて一週間になろうとしていた。
時は年末、三人でこたつに入って年越しそばをすすっていた。
なんというか、こう、三人は自然になっていた。
女二人も自然だったけど、それ以上に一刀が居るのが当たり前になっていた。
そんな一刀に操を捧げたのは間違いではなく、生涯の想いの一端に思えた。
だけど、思う。
いま、今だけの一時期なのを知っている。
一刀は語らないけど、間違いなく一刀は未来に戻る。
そして再び出会うまで私と紫苑は彼を待ち続けなければならない。
時間にして・・・・
いや、やめよう。
いま、こたつの中で握りあうことができる手があるという現実を喜びに変えよう。
たとえ今私と紫苑が得た子種が、あの少女につながっていなくても。
~忠 紫苑
それは、冬休み最後の日だった。
シンシンと雪が降る中、彼が雪かきをしている背中を見て抱きしめなくちゃいけないと思った。
桔梗も同時に感じたようで、左右で彼を挟む。
すごくうれしそうにほほえむ彼だけど、ひどくうつろな笑顔だった。
「桔梗、紫苑、あなたたちの初めてがもらえてうれしかった」
未来で関係していた彼は、誰とも解らない私たちの初めての相手に嫉妬していたそうだ。
そう聞いた途端、ひどく愛しいものであることに気づく。
まるで、かなり年下のやんちゃ坊主のようだった。
それでいて女を喜ばせるプロホストのようで。
ああ、もう今から彼に出会うのが楽しみすぎる。
「またで会える日を待ってるぞ」
「すぐ食べちゃうんだからね」
照れくさそうにほほえんで、そして彼は消えた。
腕の中から消えた彼を思い、滝のような涙を流す桔梗。
だから私は抱きしめた。
まだ、まだまだあきらめなくて良いことを教えるために。
「桔梗、よーくこれを見てね?」
私が差し出した彼の携帯をみせながら。
~北郷一刀
帰ってきた、そう感じることができたのは、真夏のような日差しのおかげでもなく、夏の空気のおかげでもなかった。仰向けで目を覚ました僕をのぞき込む紫苑先生と桔梗先生の存在が、今を強く感じさせた。
「どうじゃったか?」
「ふふふ」
いたずらっ子のようなほほえみの二人を僕は抱きしめた。
二人は抵抗せずに抱きしめ返す。
深呼吸で周囲を見回せば、そこは統合生徒会の僕の部屋で、入り口には何故か雪蓮が微笑みつつ立っていた。
すごく怖い笑顔で。
「・・・巌先生、忠先生。」
「なにかしら? 雪蓮ちゃん」
「「鏡」を貸せとおっしゃるから何かと見れば、なんで一刀を過去に飛ばしたんですか?」
「そりゃ、タイムパラドックス回避の為じゃな」
「・・・ほほぉ、ではもう一つ。」
「なにかしら?」
「あと何度必要なんですか?」
ふふふふふ、と笑う紫苑先生と桔梗先生。
「ずるいぞ、わしにも!!」
なぜか二人にすがる祭先生。
「少なくとも、五年前に一度行ってもらわなんと、な」
「ええ、一度じゃなくてもいいんですけどね」
ほほほと笑う二人は置いておいて、なぜか僕は雪蓮に首根っこを捕まれて、会議場へ引き面れていった。
さらに何故かそこには、「みんな」がいた。
とても良い笑顔の「みんな」が。
久しぶりの南洋校舎でした。
書く気が盛り上がると、それなりにいい感じになるなぁ、と思いましたが、南洋校舎の拠点でもっとも書きたかった「紫苑&桔梗」が書けてしまい、ちょっと気が抜けています。
やはりカリンで気合いをあげるしか・・・?