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統合生徒会ルート 第一話

ちょっと短めの日常編です。

統合生徒会ルート


第一話



~北郷一刀


 各生徒会からの指示で、統合生徒会が設置された。

 場所は三つの生徒会から均等に遠く、均等に近い校舎が選ばれた。

 その場所は、重複記憶の中でも輝かしい、新制第二生徒会の場所と同じで、僕は感慨深いものを感じていた。

 改装して大食堂を作ろうかと思ったけど、その労力を割くだけの時間も予算もないということなので、仕方なくキッチン周りの強化だけにすますことにした。


「十分凝りすぎだと思いますけど?」


 様子をのぞきにきた朱里ちゃん雛里ちゃん。

 そうですかねー? と首を傾げつつ、キッチン周りをみるけど、そんなにすごいですかねぇ?


「うちの三倍はあるかと。」


 そりゃ、第三キッチンは、キッチンと言うよりも「洗い場」だからねぇ。


「あ、ははははは。」

「・・・うちじゃぁ、だれも水くみ以外には使いませんし・・・・。」


 いまからこの二人を仕込めば、少しは改善するのかな?

 ちょっと試してみない?


「・・・教えていただけますか?」「・・・覚えたいです」


 じゃ、ちょっとレクチャーですよ~。




~劉蜀桃香


 統合生徒会本部の先行整備部隊として、第三が選ばれたのはアミダによるところが大きいのだけれども、実際は特性の問題だと思う。

 第三はとにかく無色な方向性が売りなので(カリン「無色?暗黒でしょ暗黒!!」)、どんな人間にも馴染みやすい空間が作れると思うから。

 私たちが目指す島内クラブ活動の連絡拠点としても見込めることから、その辺の色づけも忘れてはイケナイ。

 あ、そうそう、周辺校舎を押さえることを忘れちゃイケナイ。どうせミンナも連絡所がほしいと思うだろうから。


「桃香、ずいぶんと黒くなったものだな。」

「え?何が? 星ちゃん」

「先行整備部隊とは名ばかりで、周辺校舎を押さえたり本部統合生徒会棟に自分たちの出張所を造ったり・・・。」

「大丈夫大丈夫。第一の分も第二の分も残してあるし。」

「・・・イイ性格になったなぁ」

「へへへ~、ほめてる、ほめてる?」

「・・・関心はしてるよ」


 私たちの記憶では、消失した第二生徒会の副長になっていたはずの星ちゃん。

 この現実では第二はあるので、その処置はない。

 そんなアンバランスな状態に不満はないのか聞いてみたけど、苦笑いが帰ってきた。


「道が交わると決まっているのだら、そんなに急がなくても良いだろう。・・・というか、多分急ぐ必要もないしな」


 何のことを言ってるのだろう、そう思った私だったけど、ちょっとさきで楽しそうな声が聞こえてきている方が

気になって移動した。




~子雲 星


 楽しげな声は、厨房から漏れ出ているものだった。

 ふたりのカミカミ少女と一刀が、きゃっきゃうふふと何かを作っている。

 イイにおい、これは・・・クッキーか?


「ね、ねぇ、なにをしてるのか、なぁー?」

「あ、桃香さん、ちょっと待っててくださいねー」


 にこやかな笑みの朱里。


「・・・もうすぐみなさんの分も、できます。」


 はにかむ雛里。

 これはこれでいい!

 GJ、一刀!

 私のグットサインをみた一刀もそれに答える。

 やはり道は交わるものだ、うんうん。



 時間をおいて第三の幹部や生徒たちが集まった会議室にクッキーと紅茶が振る舞われた。

 大半が朱里と雛里が作ったものだそうで、みんな絶賛した。

 それを聞いて恥ずかしげにしていた二人だったが、これからも一刀から料理を習うつもりだとはなしていた。

 自信にあふれた二人の少女を見つつ、一刀はうれしそうに笑ってる。

 あー、いかんいかん、かなり「キュン」ときてしまった。

 このまま死んだら「トキメキ死」だな、うん。


「・・・私にも教えてもらえないだろうか・・・」


 愛紗、それはだめだ、それはだめだ。


 とても大切なことなので二度言った。


 あの、一刀ですら逃げ腰だ。

 あやつには拭いがたい過去のはずだ。

 あの時だって、「料理不能?それはないでしょ」と安請け合いしたまではいいけど、その先にあった失敗を見て寝込んだものだ。


 あ、震えてきた、涙目だ、しゃがみ込んだぞ・・・


「か、一刀さん、気をしっかり持ってください」

「・・・一刀さんは私たちが守りますから・・・。」


 涙目で二人を見上げる一刀を、雛里も朱里もときめいてだきしめていた。

 ふむ、これもトキメキ死だな。

 あ、愛紗も傷ついた顔をしてるけど、そりゃ自業自得だな、うん。




~雲関愛紗


 私の料理の才能は皆無らしい。

 記憶の中にある練習でも、ずいぶんと迷惑をかけた。

 だから心機一転でがんばりたかったのだが、一刀は困っているらしい。

 イヤだとは直接言われていないが、あれだけ怯えられると心が折れる。

 仕方ないことだが、恐怖は人を曲げるものなのだから。


 とりあえず、キッチン周りの準備はみんなに任せ、私は翠と共に周辺施設の確認に回った。


「しっかし、一刀をあんなに怯えさせるって、どんな料理出したんだ?」

「・・・レシピにちょっと手を加えただけだ。」


 それであの事態なのだから、才能が足りないのだろう。


「まー、愛紗の場合、レトルトを暖めるだけで爆発させるしな。」


 事実だけに言い返せない。


「・・・なぁ、愛紗。逆に考えろよ。」

「・・・逆?」

「料理上手な旦那に家を守らせて、妻が外で戦う、燃えないか?」


 !!!!!

 衝撃が背中を走る。

 なんて野心的な、なんて巧妙な、なんてすばらしい発想なんだ!!

 目から鱗が滝のように落ちる思いだ!!


「翠、貴様、いや、ソナタはなんという知恵者かぁ!!」


 私は賞賛を大いに浴びせかけるのであった。

 そうだ、私が外で戦い、一刀が家を守る。

 なんと効率的で取捨選択上申し分無いものか!!

 ああ、すばらしい、バラ色の未来が開けた気がする。


次話はそろそろ第三所属教師との爛れた話を準備しています。


というか、統合第三生徒会編の肝になる予定です。


おたのしみに。

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