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統合生徒会ルート プロローグ

お待たせしました。


第四ルート開幕です。


謎も憎しみもありません。お気軽のお楽しみください。

聖フランチェスカ学園 南洋校舎


統合生徒会ルート


プロローグ



 カチ、カチ、カチ、カチ・・・・

 時計の音だけが響き渡るこの部屋には、かなりの人口密度があった。

 総勢は40名ほどだが、その色分が恐ろしいほど分かれている。

 旗にすれば


「覇の青」「絆の赤」「徳の緑」


 と分かれる陣営だった。

 それぞれの旗の下に集まる人員を端的に纏めるなら次のとおりだろう。


 曹魏カリン率いる「覇」の第一生徒会。

 孫呉雪蓮率いる「絆」の第二生徒会。

 劉蜀桃香率いる「徳」の第三生徒会。


 聖フランチェスカ学園南洋校舎を代表する有名人が居るだけでも凄いことなのに、更には彼女らの配下も全員いた。

 そう、全員が、いるのだ。

 ・・・自分の周りに。



「・・・どういうことかしら?」


 深いため息と共に沈黙を破ったのは、覇王と名高き曹魏カリン会長。

 彼女が示した書類には、全部「北郷一刀」の名前が載っている。

 一枚目は第一生徒会幹部リスト

 二枚目は第二生徒会幹部リスト

 三枚目は第三生徒会幹部リスト

 記載日、参加日、全て同一であった。


「・・・少なくとも、第二うちでは毎日脱走と捕縛を繰り返していたわよ?」

「・・・私だって一日たりとも手放してないわよ」

「・・・毎日ご飯作ってもらってたんでしょねー、第三うち


 じとーっとした視線。

 みんな何か言いたげだったけど、こっちもこっちで困ってる。

 何しろ「全部」記憶にあるのだから。

 桃香さんたちと共に、南洋校舎改革を推し進めた記憶も、カリンと共に南洋校舎を運営した記憶も、雪蓮とあの日別れをして涙を流した記憶も!!

 ああ、そうさ、気が狂ってるといわれても仕方ないけど、全部記憶してるんだ。

 桃香さんを抱きしめたあの夜も、カリンと共に見上げた露天風呂の夜空も、雪蓮に噛み付かれて押し倒されたあの夜も!!


「・・・って、あれ?」


 真っ赤になる三人の生徒会長。

 その背後にいる幹部たちは、非常に白い目。


「北郷、もしや・・・・・」

「北郷、きさま・・・・」

「おにいちゃん、けだもの」

「兄様、不潔です」


 って、やべ、喋ってた?

 呪詛のような囁きが響き渡る中、ほいっと手を挙げる少女が一人。


「・・・ならば、風との事も覚えているのですか?」


 ゆっくりと頷くと赤くなった風は引っ込み、周囲全員が何かを期待する顔。

 ・・・ああ、そうですそうなんです。「全部」覚えているんですよ、はい。


 「(ぼっ!)」


 うわっはー約一名以外全員赤くなりましたよ! つうか、その中でも鼻血で出血多量が一名!

 やばいやばいと駆け寄って、風みたいに「トントン」すると、意識を取り戻した模様。


「ふ、ふぁぁ、こんなところで、大胆ですね、一刀くぅん・・・。」


 しなだれかかる彼女を周辺の手が止めて、すっくと立たせる。

 自分はというと、三人の生徒会長に引きずられるようにして元の場所へ。


「さて一刀。あなたがどう思ってて回りがどう思おうとも、アナタは私のものよ」

「そりゃ無いんじゃない? こっちはそれなりの段階まですすんでるんですけど~?」

「あはははは、私も一刀くんを「取られる」のは困るなー」


 《ガキン!》と音がするように、三者の視線が交差する。

 自分はそんな状況で、心底情けなかった。

 桃香さんを支えたかった自分が、カリンと共にありたかった自分が、雪蓮を失いたくなかった自分が同時に存在するわけないのに、なぜかここに居た。

 本当に、どうしたらいいんだろう・・・。

 ガックリを項垂れているとほほに手を当てる誰か。


「・・・ねぇ一刀。アナタはどうしたいかしら?」


 判らない、どうしたらいいのかわからない。

 桃香さんを支え続けた自分も本当だし、カリンと共にあることを誓った自分も本当だし、雪蓮が戻ってきたとき抱きしめた自分も本当だったから。


「・・・そうやって聞くと、最低男ね。一刀って。」


 最低だ、本当に最低だ。がむしゃらに頑張ってきたはずなのに、何で・・・。


「・・・でも、そんな一刀君が結構大好きなんだよね、私たち」


 見上げれば苦笑いの三人。


「・・・決まってるじゃない。一刀は私のものだもの。嫌うはずが無いわ」

「・・・所有宣言はおいといて、私だって向うより一刀を選んだんだもの。嫌いなわけないでしょ?」

「私は大好きですよ?」


『ず、ずるい!』


「あたしだって大好きよ、大大大好き! 子供の頃から好きだったし、今も大好きよ!」

「あら、時間は関係ないんじゃない? あたしなんか向うの人生捨てるぐらい大好きよ? 一刀が居れば世界なんか関係ないぐらいすきだし」

「人生とか世界とか重石につけるんじゃないわよ!」

「ふん、子供の頃の妄執を盾に取るのもどうかと思うわ」


「一刀くん、怖い人たちは置いといて、こっちでお話しましょう」


 わーいと自分の体を引き寄せる第三生徒会。


「徳とかいってて小細工すんじゃないわよ、桃香!!」

「徳じゃなくて『御得』じゃないの!?」


 再び中央に引き戻される。

 なぜか両足に朱里ちゃんと雛里ちゃんがついてきた。


『がるるるるるるるる』


「はい、おちびちゃんたち、ホーム、ホーム!!」


 しっしと追い払われつつ唸りながら戻る二人。

 随分と野生化してるなぁ・・・。


「朱里ちゃんも雛里ちゃんも、一刀くんの手料理に飢えて・・・。」


 うわーそりゃ申し訳ないな・・・。


「じゃぁ、今度・・・・」

『一刀ォ!!!!』


 鬼がいてはる、背後に鬼がいてはる・・・。



 がたがたと震える自分を中央に据えて、腕組の三人。

 烈火の笑みのカリン、凍土の笑みの雪蓮、漆黒の笑みの桃香さん。

 やばい、何か知らないけど、やばすぎる。

 ああ、誰かたすけてぇ!





 何でこんなごちゃごちゃになったかは判らないけど、三生徒会の決定が下された。

『北郷一刀 三生徒会各本部への常駐を禁じる。』


 どこにも常駐するな、ということだと所払いかと思いきや、次の条文が続く。


『新設の統合生徒会付き警備隊隊長を命ず 統合生徒会連名』


 統合生徒会というのは、新しく作られた三生徒会共有の生徒会事務所。

 三つの生徒会からほぼ均等の位置にある校舎を使ったもので、2週に毎に持ち回りで各生徒会が常駐しに行くという。

 とはいえ、真ん中にあるのってらくだよね。

 どこにでもいけるもの。


いかがでしょうか、統合生徒会ルートです。


色々な幅を持たせつつ、全員が自分のルートが主流だと主張している怪しげな空間になってしまいました。


とはいえ、これで念願の「紫苑・桔梗」拠点が書けます、書きます!!


いやっほーい!

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