第二生徒会ルート 第五話
申し訳ありません、ちょっと短いです。
話の区切り上、仕方なく。
ご容赦ください。
第二生徒会ルート
第五話
~楽進 凪
些か身勝手な話だが、第一と第三が北郷一刀救援に動き出したのを不快に感じている自分がいる。
もちろん、その行為自体を不快としているわけではなく、お題目の「第二生徒会難民救済」というやつだ。
実際、彼女らは難民でも何でもなく、単なる寄生虫にすぎないのだ。
第二がいやなら第三や第一に行けばいいのだが、求められる能力や思想が合わないと言うだけで、第二を離れず、成績的な努力もせずに食料にありつこうとする。
立地条件で言えば、第二はもっとも野生生活がしやすい状態だった。
庇護なんて気にせずに自立したり第二の補給物資を盗んだり出来るともいえる。
が、彼女たちは、そんな行動もせず、お行儀良く飢えていった。
そんなにお行儀良くしたいなら、なぜ南洋校舎などにきたのか!?
「楽進、そんなにいきりたつものではないわ。」
第一生徒会会長、曹巍カリンさんは言う。
「一度南洋校舎にきてしまえば、適正がどうのと言える状態じゃなくなるわ。」
だからこれは、いいシェイクダウンの時期だ、と。
つまり、文字通りの「救済」ではない、と?
「当たり前じゃない。救済の名を借りた選別と第二領の分割併合、さらには北郷一刀の救出。このぐらいは目的として掲げないと割に合わないわ。」
政治というものの本質の一部を知った気がした。
~ミンメイ
穏やかな笑顔でお休みの一刀様。
最近では言葉の方も、お戻りになられています。
どちらではなしているかわからなくなるときがあるようですが、どちらでもいいか、と笑ってくださいます。
「明命、おはよう。」
一刀様が向こうの言葉で話しかけてくれました。
その感動を込めて抱きしめます。
「なんだ明命、甘えんぼだな」
優しい撫でかた、なにも変わりません。
元通りです。
「しかし、この記憶も俺にとっては未来の記憶、なのかな?」
そう言う難しい事はわかりません。
それでも一刀さんが再び抱きしめてくれている、それだけが全てです。
「俺を抱きしめてるのは明命なんだけど?」
ぎゅーです、ぎゅー。
~北郷一刀
あの警戒心の固まりみたいだった明命が、かわいい寝息をたてて寝ている。
孫呉の彼女たちが言う「一刀」は俺本人なのかは疑問だけれども、記憶の向こうに感じていた夢の意味は分かった。
前世なのか後世なのか、はたまた未来なのか過去なのかはわからないけど、そのときの記憶が夢なんだろう。
未だ全てを思い出せてはいないけど、彼女たちが狂おしいまでに俺を求めてくれるほどのことを俺は成したのだろう。
過去ならば誇ろう、未来ならば奮起しよう。
何しろもう、受け入れてしまったのだから。
信用することにしてしまえば、全ての疑問がなくなる。
行うこと、実施することに訳と理由があるものと考えれば良いだけだった。
ちょっと考えれば自ずと筋道が見える。
ただ、少しだけ気になることはある。
彼女たちが急ぎすぎることだ。
もっとゆっくりなら俺も不信感を持たなかったのに。
いや、わかってはいる。
急がなければならない理由があることを。
その理由はわからないけど、彼女たちがここまで急ぐ訳があることを。
とてもトテモいやな予感しかしないけど。
~遼瀬 シア
あの「楽進 凪」つうやつは良い奴や。
船部屋だけの飯ストを救うために立ち上がり、浪人になって仲間を集め、さらには生活コミュニティーまで作ってしまう。
その行動力は惚れ惚れするほど。
「なぁなぁ、凪ちゃんよー。このままうちらと生徒会せんかぁ?」
「・・・シアさん。これでも私、オタヅネモノですよ?」
これは事実。
少なくとも浪人学生であるだけでは問題ない。
でも、それを集めて勝手に統制してるのはあかん。
いわば闇組織。
これについての禁止校則があるから。
「せやけど、曹ちゃんは『必要悪というより必要』つうとったで?」
そう、個々で活動らしい活動をしておらんかった浪人学生が、この「狼人会」という組織を得て、まるで生徒会活動のような活発さで生活をまとめていったのだ。
さらにすばらしいことは、この「狼人会」には生徒会と生徒の垣根がないこと。
誰もが会を支える必要人員であり、誰もがこの会を動かしている運営人員だった。
みんなが会を把握していたし、志もある。
ここには小さいながら生徒会の基礎と理想の一端がある。
そう判断した。
そんな組織をまとめた「楽進 凪」には新しい組織などではなく、自分の傍で何かをして欲しいと思う。
「だったら、シアさんがこっちにきませんか?」
・・・あかん、魅力的提案や。
こんな所での生活なんてごめん、なんて桂花あたりなら言うかもしれん。
せやけど、うちには・・・・たまらんかもしれん。
・・・曹ちゃん、うち、浮気してまうかも・・・。
~孫呉小蓮
多分、もう時間がないんだろうな、と思う。
明命の話では、既に第一と第三が動いていて、準備は万端だというし、第二の生徒達の解放も始まっている。
この流れが続けば、あと三日も持たないだろうと亜紗は分析している。
でも、実は私たちのほうも限界だった。
いつまでも一刀と共にありたいけれど、時間がそれを許さないから。
「蓮華姉様、御蔵船のほうは・・・?」
「もう殆ど消えかかってるわ。供物を使っても一日だって延ばせないほど、よ。」
じゃ、逆に、今の一刀は完全に「一刀」なのかな?
「違うわ、シャオ。ここにきたときから、ずうっと一刀は一刀だった。私たちとの思い出に縛られていなくても、それでも一刀だったわ。」
流石は姉様。
誰よりも一刀を感じているんだねぇ。
「・・・シャオだって、感じてるんでしょ?」
そりゃ・・・ね。
私たちは共に抱きしめあう。
そう、感じる。
私たちには、私たちの体には一刀が生きている。
その一事があれば、私たちは生きていける。
そのことを再度確認できた。
「私たちは幸せなんだね、姉様」
「私たちは幸せだね、シャオ」
この一瞬の幸せを私たちは永遠にできる。
それを信じてる。
どうにかこうにか第五話です。
そろそろ終局間近、もうすこし時間をください。