第一生徒会ルート 拠点フェイズ2
第一生徒会ルート
拠点フェイズ 2
~北郷一刀「・・・奇人かな?」
ふらりとカリンが第二生徒会にやってきた。
曰く、「久しぶりに一刀の手料理が食べたいわ」とのことだった。
春ねぇも秋ねぇも連れずにやってきたのは不審に感じたけれど、そういうこともあるだろうと思
って仕事を切り上げた。
思いのままに包丁を振るっている背後に現れたカリン。
「ね、『アレ』の話してもいい?」
いわずと知れた氷柱の「アレ」の話だろう。
僕が頷くと、カリンはオズオズと口を開いた。
「あのとき、従兄弟がいるっていたじゃない? 私知らないんだけど?」
そりゃそうです。
僕だって、こっちに進学する寸前まで知らなかったし。
「・・・そういう事ってあるのね。」
まぁ、一度会ってれば忘れないという意味ではカリンレベルに凄い人だけど、カリンは貴人、あ
っちは「奇人」の部類だしなぁ。
「・・・?」
背中で感じても「疑問」の気配を感じたので、その辺の話は食事を終えてから、ということにな
った。
食後のお茶を、と言う段になって、いつの間にか集まる第二幹部。
僕の過去に関わる話なら聞きたいらしい。
さぁ話せ、と爛々とした瞳の星さんと翠さん。
興味なさそうにしながらも聞き耳を立ててる風。
まるで紙芝居を待っているかのような恋とねね。
そして、じっと待つカリン。
で、何故かいる桂花。
「って、桂花が何でいるんだよ?」
「カリン様のあるところ、私ありよ!!」
すげー、ストカーすげー。
「だ、だ、だれがストカーよ!!」
「桂花桂花。」
周囲の幹部も頷いてる。
「あら、こんなかわいいストーカーなら大歓迎よ?」
曰く、掃除洗濯はしてくれるわ、ゴミ捨ても分別もしてくれるわで、気にしなければ便利よ、と
のこと。
すげー、カリンすげー。
その懐の深さは犯罪クラスだ。
「そんなことより、その従兄弟の話しなさいよ」
べったりとカリンにしなだれかかる桂花の要望を聞き、ちょっと話す事にした。
その日であった零斗は、同い年だけど変な風格の有る男だった。
子供っぽいところも有るという話だったけど、どちらかというとそれを演出している雰囲気だっ
た。
そんなことを指摘した途端、彼は大爆笑となり「なに、それ? どこの厨2設定?」とかいって
いたけど、実際は引きつった笑みを隔すためだったんじゃないかと考えていた。
直接会ったのはそのときだけだったけど、電話では何度か話す関係になっていた。
で、僕がフランチェスカに進学すると聞いた零斗は、しきりに羨ましがった。
『・・・だってよ、フランチェスカっていえば、あの元女子高だろ?』
「いまだって男子がいないから殆どそうだけど?」
『くぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!! うらやましぃぃぃぃぃ!!!!』
「いやでもさ、今年あたり、入学資格を緩和するって話もあるし、男子がいっぱい入るかも、だよ
?」
『一刀、おまえ夢がねーなー。自分以外が全員女の花園で、選り取りみどりの状態だって考えてみ
ろよ?』
「経験上、気苦労の塊だよ」
『あのなぁ、そりゃ、お前が一筋に思いこんでる「カリンさま」のこったろ?』
「・・・カリン相手で気苦労なんか無い!」
『あー、はいはい。ご馳走様』
「でもね、個人的には本校舎じゃなくて・・・・。」
『南洋校舎だろ? うわさは聞いてるよ』
聖フランチェスカ学園南洋校舎。
それは小笠原諸島よりも南に位置する南洋最大の島にして最大の私有地。
学徒の天地にして可能性のパラダイス、となるはずの南の島。
『灼熱の太陽、南国ビーチ、覆い茂る木々つうか密林、謎の施設、はびこるゾンビ!!』
「はぁ?」
『・・・いいよなー、南国ファッションのゾンビ美人!! 打ちたい放題やりたい放題!!』
「あのー、零斗・・・さん?」
『くはぁーーーー!! 俺も行きたいゾンビパラダイス!!』
「そんな悪夢のような南国ねーよ!!」
その後は、「いつものように」ゾンビの魅力を熱々と語る零斗をつっこむ一刀というバカな関係
が続き、南洋校舎に旅立つ前まで続いた電話のやり取りだった。
『南洋ゾンビ美人を見つけたら、ぜひとも紹介してくれ!!』
というのが、決まり文句だった。
そんな話をしたところ、みんなやっぱりゲンナリしてる。
いや、桂花がガタガタ震えていた。
「あ、あ、あ、あんた、一刀!! なんて不気味悪い話したのよ!!」
「?」
肩をすくめた僕だったが、周囲の幹部は判ったようだ。
そこから始まる海+南洋+謎の施設に関する怪談は熾烈を極めた。
追記
ねねはゾンビの話の時点で気絶していたそうです。
ども、神代です。
今回は実験的に他のSSからキャラをゲストでカットインしていただきました。龍の骨さんサンクスです。
拠点につきましてはこんな感じで民マサンのご希望を細かく反映できればと思っています。
これからもよろしくお願いします。