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第一生徒会ルート 第六話

第一生徒会ルート


第六話


~北郷一刀「・・・忙しすぎる」



 毎日が忙しすぎた。



 第二生徒会消失は本土も知ることとなり、あわやギブアップかと思いきや「第二生徒会再建」と「新生徒会長の選出」という二項目を実施するように言われただけだった。

 事実上の黙認であることは間違いない。

 ことは重大と言うことで第一と第三の幹部がこぞって選出に頭を痛めたのだが、カリンが「面倒ね、一刀。やりなさい」とか言い出した。

 桃香さんまで「それはいいですね、一刀さんにしましょう」とか言い出した。


「いやほら、だって・・・なんで?」


 僕の言葉を聞いて、心底不思議そうな顔のカリン。


「あら? 私はやりなさいって言ってるのよ?」


 うっわ、ドコの世紀末覇王ですか、あなたは。


「私は、一刀ならできると思って推薦してるのに、あなたは出来ないって思ってるのね? つまり、私の目が信じられないと?」


 あー、あのー、カリンさん。

 だんだんと怖いトーンになってますよね?


「・・・一刀、やるの? 死ぬの?」


 ・・・・はーい、やりまーす、うれしいなー、これからは「カリン会長」「一刀会長」のなかですねー。


「なっ、・・・あなた、私を脅すつもり?」


 え? それってどういうこと?


「か、一刀は、私が「一刀会長」とか呼んでもイヤじゃないの!?」


 あー、それはイヤかなー。うん、だから・・・・


「これからは役職で呼ぶなんて事はやめるわ、いいわね、桃香。」

「はいはーい、賛成ですよ、カリンさん、一刀君」


 なんだかよく解らないうちに第二の生徒会長にされつぃまいました。




 とはいえ、幹部全員が行方不明、生徒会関係書類全部紛失という巨大な緊急事態のため、事務関係をフォローしてくれる助っ人が結構集まったのが助かる。


「お兄さん、そろそろ打ち合わせ時間ですよ」

「了解、風副長。」

「お兄さん、役職を呼ばない話しなのです」

「すまんすまん、じゃ、いこうか。」


 事務中心と言うことで、そちらが強い程ヶ谷 風を第一から副長に迎えて何とかやっていた。

 風はちびっ子ながら、僕の4倍は事務処理が早くて助かる。


「お、北郷遅かったな。」「そろそろやるぞ。」


 第三からは馬場姉妹の姉、馬場翠さんと子雲星さん。


「おそいのです!! とっとと片づけるのです!!」


 さらに、昔第二に所属していた元浪人学生 音宮ねね。

 もう一人、布宮恋がきてくれたけど、事務には向いていないと言うことで、巡回してもらっている。


「それじゃ、本日も業務開始しましょう!」

「「「はい!」」」



~曹巍カリン「まるで夢物語ね」


 二ヶ月もすれば、どうにもこうにも流れというものが出来る。

 第一や第三に避難していた生徒たちが、じわりと第二の敷地へ戻りだしたのだ。

 来る者拒まずの第二は、今では「博愛」の第二とか言われているが、実際は試験成績の反映のための最低人員をそろえなければならないだけなのは秘密だ。

 前回の期末試験も好成績ながら、一歩人員が足りなかったのだ、悔しかろう。

 ともあれ、電気や電信のインフラなど全くそろっていない第二になぜ、という向きもあるが、その辺を越えて第二は活きやすい環境になりつつあることが要因だろう。

 第二生徒会は、実のところ南洋校舎一番の革新集団になりつつあるのだ。

 治安維持も巡回も学習意欲の維持についても、様々な役職を「クラブ活動」にしてしまったのだ。

 たとえば、日々の巡回、たとえば困窮学生の救済、たとえば周辺施設の清掃等々。

 本来は生徒会幹部が部下を連れてやるところを、「クラブ活動」が実施することにより、生徒の自主性と活動範囲の拡大をねらったのだ。

 加えてこの「クラブ活動」は、活動自体に予算が配分され、実施毎に予算が配給される。

 この予算で食事にあり付いてもいいし、本当に「クラブ活動」をしてもいいというわけだ。

 勉強以外の活動の場は、今のところ生徒会しかない南洋校舎には驚くべき変革であり、恐ろしい変革だった。

 現状、第二にしかその場がないため、勉強以外の活躍を望む生徒たちは、ぞろぞろと民族移動を開始しているというわけだ。


 さすが作り直されたばかりの生徒会。

 やることが大胆すぎる。

 幹部たちでも「うちもやりますか?」という話はあるが、やめておいた方がいいだろう。

 第一でそれが成功するというなら、今頃第一の生徒全員が第二に行ってるはずだ。

 逆に第三は第二にないクラブを設立して生き残るだろう。

 体育会系・文化系・生徒会、そんな住み分けになるように思える。




 まさに天下三分の計、かしら?




~北郷一刀「この湯船だけは作りたい」


 カリンの話を聞きに第一まできていた。

 なにしろ第二は素人集団。

 こう言うことに詳しい人が一杯居る第一に相談しようと言うことで、みんなで第一まできたんだけど、書類関係のスリ合わせがあるとか言われて、早々に僕は追い出されてしまった。

 どうしようかなーと思っているところで、本日が大浴場に火が入る日だという事に気づいた。

 聞いてみれば、すでに火は落としているけどまだ暖かいという。

 これ幸いとお邪魔することにした。


 もちろん扉には「北郷中」のカードを指しておく。

 いまだ、「北郷中」のカードがあったのを嬉しいと思います。


 いやーこのへんが、施設の第一と言われる所以だね。

 インフラもそうだけど、この大露天風呂は他の生徒会にはない。

 うらやましい。

 うちでも作りたいけど、風に怒られるだろうなー。


 そんなことを思いながら湯船につかっていると、カラカラという戸の音。


 え、え、え、まじ、まじ、まずい・・・・。

 誰か知らないではいってきちゃった?

 う、う、う、うわぁ・・・・どうしよう・・・・。


 脳味噌が沸騰する勢いでパニックになっていると、その人がするりと僕の隣にはいってきた。


「もう、一刀。何かたまってるのよ」


 そりゃもちろん、カリンが隣にいるからですよ、はい。


「あら、結構初うぶね。・・・もしかして女の子って初めて?」


 あ、あ、あ、当たり前です。僕はカリン一筋だったの。


「その割には、雪蓮と仲良さそうだったわよ?」


 またです、またですよ、この何ヶ月もずうっとそのネタを使ってきますがね、僕には何の記憶もないし、なにも覚えていませんし、雪蓮さんなんてあの日初めてあっただけですし、カリンだけですから!!!


「へー、そう?」


 ちょっとうれしそうなカリン。

 だけど、意地悪そうな顔になる。


「じゃ、春蘭も秋蘭も眼中にないの?」


 あーもー。この人は知ってて意地悪するー。


「・・・ふふふ、嫌いになった?」


 僕はカリンの耳元でささやく。





「大好き、です」




 二人ではいても余裕の露天風呂で、僕らは互いを抱き寄せた。 

 この時間が、この時間だけがすっと続けばいいのに。

 そんなことを考えていた。


あとは第一生徒会ルートのエピローグになります。


いくつかの拠点をこえて、最後のルートが幕あけます。


ご意見ご要望がございましたら、よろしくお願いします。

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