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第三生徒会ルート 拠点フェイズ3

第三生徒会ルートエピローグ後の拠点フェイズです。


山のなければ事件もない。追い詰める相手も叩き伏せる敵もありません。


南洋校舎の日常をお楽しみください。

第三生徒会ルート 


拠点フェイズ3



~北郷一刀「はじめての全面休暇」



 生徒会長って忙しいのです。

 雑務は山盛り、陳情は山積、これじゃぁ何のために大食堂を開いたのかわからない。

 そりゃ、ねねやルルがきてくれているから問題ないけど、それでも忙しすぎます。


「まぁ、仕方ないだろう? 第二の幹部が投げ出してきた雑務が死ぬほどあるんだからな。」

 

 それが第一の問題。


「さらには、事務幹部がいない。」


 それが第二の問題。

 時々、朱里ちゃんや雛里ちゃんが助けにきてくれるんだけど、正直にいえば焼け石に水。

 全く終わる気配がない。

 というか、次々と増えて行ってるんですけどぉーーー!


「・・・そりゃ、生徒会が正常化したんだから、日常業務だってふつうになるだろ?」


 ・・・そうか、そうだったんだ。

 これが普通の仕事の量だったのか・・・・。


「・・・早いところ事務人員押さえないと死にますね」

「そうだな。一応打診はしているが、難しそうだな。」


 そっかー、とため息。

 でも、やると決めたんだから、と気合いを入れ直した。

 さぁ、もうひとしごと、と言うところでドアが開いた。


「きたわよ」


 なにが、とかどうして、とか全く無視のこの登場こそ、第一生徒会会長 曹巍カリン様クオリティー。

 続いて現れるのは、第一生徒会が誇る事務部の方々。


「・・・どうせ、誰にでもできる書類を抱えて狼狽えてる頃だろうと思ってきてみれば、予想以上ね」


 あーもー、おみとおしですか。


「おっじゃましまーす。」


 現れたのは、第三生徒会会長 桃香さんと愉快な仲間たち。


「へっへへ~、たぶん事務初心者が困ってるだローなーと言うことで、助っ人参上。」


 あー、こちらも、ですねー。


 すごい勢いで事務方が処理してゆき、あっと言う間に本日の庶務終了。


「報酬は、おいしいご飯でいいよ」

「辛いのはいやよ?」


 久しぶりに大食堂で腕を振るった僕に、みんなから言葉が贈られる。


「明日は久しぶりにお休みでいいよ?」


 やったー!



~桃香「・・・一刀君の趣味がわからないよ」


 引継なしで実務に入った第二生徒会はパニックになっていたけど、第三うちとカリンさんのところで一気に処理してしまった。

 でも、実際の事務量的にみると、過去の処理が七割で現在の処理が三割で、一日の処理量から考えれば、うちの倍は処理しているのが恐ろしいところだと思う。

 いくら処理速度はあっても、物理的な量は処理しきれないので、手伝ったわけだけど、そのおかげか、一刀君に休みができた。

 せっかく出来た休みなので、積極的にアプローチをしようと、彼の部屋に忍び込んでみたものの・・・


鈴鈴「・・・・くかー」

朱里「・・・・すぴー」

雛里「・・・・にゃー」


 すでにうちの幼女三人組が、一刀君と一緒に寝ていた。

 三人が三人とも幸せそーに寝ているのがうらやましすぎる。

 ・・・わたしも添い寝したかったのにー。

 ・・・いやいや、まてまて。

 私、大人。

 三人、子供。

 一刀君、大人。

 いやーん、まるで三人の子持ちかぞくぅー。




~雛里「・・・不気味です」朱里「・・・同意」


 人の気配に気づいて薄目をあけると、なぜか桃香会長が顔を赤くしてクネクネしてる。

 同時に目覚めたであろう朱里ちゃんに視線を送ると、朱里ちゃんも解りかねるようだ。

 天才秀才の名前を欲しいままにする朱里ちゃんに解らないことが私に解るわけもない、と思っているところで、鈴鈴ちゃんが起きあがった。


「・・・むにゃ~、なんで桃香ねえちゃんがいるのだぁ?」


 はっと我に返った桃香会長は、ちょっと怒ってますと言う感じに胸をはる。


「・・・もう、一刀君は連日の仕事で疲れてるんだよ? もっとお休みできるようにしないと・・・」


「お兄ちゃんは、鈴鈴たちと久しぶりにはなせてうれしかったと行っていたのだ。いい気分転換になったっていてたのだ。」


 すばらしい切り口です、鈴鈴ちゃん。


「そりゃそうだよ。でもね、鈴鈴ちゃんたちとはなす時間よりも、一分でも長い休養をだね・・・」

「寝てるだけが休養じゃないのだ。体だけじゃなくて心も大切にするのがいいのだ。」


 すばらしい、すばらしいです、返す刀で滅多切りです!

 瞬時に私たちはアイコンタクト。

 絶句の桃香会長に畳み込みます。


「・・・会長、我々は確かに女子ですが、未だ『それに』至っておりません。ご安心を。」

「・・・人肌が恋しい夜もあるのです、我々も、一刀さんも」

『誓ってやましいことはしていません』


 きまりました!!


「えっと、それじゃぁ・・・・」


 もじもじとした桃香さんは、なぜかコチラにダイブ。


「わたしもひとこいしー」


 計算外ですぅー!




~北郷一刀「・・・っ、ごほごほごほごほ」


 とりあえず逃げました。

 朝で、女の子の匂いが充満している部屋なんか居られるはずもありません。

 タダでさえいろいろな事情で女性には見せたく無い状態なのに。

 その上、布団にダイブしてきた桃香さんが、上目遣いで「・・・いいよ?」とか言われて正常でいられる分けないしーーーーー!!!


 走るがままに浜辺まで行き、海に飛び込んだ。

 水着?知りません知りません。

 まずは頭を冷やしたい!! 




 存分に海を堪能した僕は、濡れネズミの状態で浜辺にあがる。

 蒼天と蒼海と、白い波と白い雲。

 やばい、本気で楽園だ。


「・・・朝っぱらから水泳とは、何の訓練だ?」

「ああ、ちょっと頭を冷やしたくてぇ・・・・!」


 振り返った瞬間、再び海へ視線を戻した。

 戻さないとやばかった。


「そうか、なら、一緒に泳がないか?」


 ああ、雲関愛紗さま、そんなに背後から抱きつかないでください!

 あなたの今着てるビキニな水着などでは押さえきれない二つの山が、双丘が・・・・・。


「・・・私などでは、迷惑、か?」

「いえ、そんなことありません!すっっごく光栄です!!」


 僕のその言葉に、花がほころぶような笑みを浮かべた愛紗さん。


「なら、朝食まで、ちょっとつきあってくれ。日差しが強くなる前に、な?」

「・・・はい!」


 波打ち際で、バカップルみたいに戯れてしまいました。

 ・・・いい朝だ。




~雲関愛紗「・・・ふむ、好評なようだな。」


 視線で女はきれいになる。

 紫苑先生の指導のたまもので、朝から一刀の良い視線をうけられた。

 無骨な私の体など興味の対象になるのか不安だったが、抱きしめた背中から強い鼓動を感じてうれしくなった。

 まるで映画のワンシーンのような時間を過ごせて、非常にうれしかったのだが、さすがに大胆な水着のまま出歩くのは気が引けた。

 そんな風に逡巡していると、一刀が上着を掛けてくれる。


「・・・その、汗くさくて、すんません」


 ぶっきらぼうに照れた仕草が愛おしい。

 この時間を永遠に出来ないものかと思うけど、そうは上手く行かないのが南洋校舎。


「かいちょーーーー!!」


 第二生徒会所属の代食堂班が集団で一刀を奪取してゆく。

 まぁ仕方ないだろう。

 あの時間をせしめることが出来ただけでも暁光だ。


「後で行くから、なにかくわせろよー!」

「・・・・はーい!!」


 遠ざかりながらも力強い声。

 胸の内が熱くなる思いだった。



~角田詠「・・・おいしいじゃない」薫ゆえ「おいしいね」


 久しぶりに一刀が大食堂で仕事をするというので見に行くと、すでに満員御礼で長蛇の列になっていた。


「うわー、これじゃぁ一刀さんに迷惑だねぇ。」


 苦笑いのゆえだけど、私にはわかる。

 あいつの手料理が食べたいのだと。


「詠ちゃん、また今度にしましょ?」


 だめだめだめ! 押し通す勇気と知略があればいいの!!


「でも、こんなにお客さんが居るんだから、無理は言えないよぉ?」


 無理じゃなければいいのよ!

 ・・・・そうだわ!

 私は自分の思いつきに惚れた。




「おーだーおねがーい!!」

「はーい!」


 詠ちゃんのアイデアはすごかった。

 客として店に入れないなら店員としてはいればいい。

 さらにはマカナイをせしめようというのだから。

 当初計画よりも忙しくて大変だけど、私はこう言うところで働くのが楽しくて嬉しかった。


「ラーメン定食、焼きそば定食、中華定食お待ち!」

『おおおおおお』

「和定食、カルボナーラ、すし定食お待たせしました」

『うおおおおおお』


 くるくる働くのが楽しくて、私はこう言うのに向いているんだなーって思う。

 詠ちゃんは苦手そうだけど。


「・・・うがーーー! 注文まとめなさいよ!」

「こらー! 逆注文しないのーー!」

「だって、一刀ぉーーーー!」

『わははははははは』


 目論見ははずれたけれど、それはそれで楽しい日だと思えた。



 客足が途絶えたところで一刀さんがマカナイを作ってくれた。

 海鮮丼とおつけものだったけど、美味しくて美味しくて。

 久しぶりに食べる一刀さんの味は、たまりませんでした。


「へぅ、毎日でも食べたいなぁ。」「・・・そうね」


 私たちの言葉を聞いて、ひどく嬉しそうな一刀さんだった。


「うー、ねねは家庭用の量は苦手なのです」


 音宮ねねちゃんが一刀さんの隣で頬を膨らませている。


「・・・ねねのご飯も美味しい」

「恋さま~~~~!」


 ねねちゃんの反対隣に恋サンガマカナイをカキコんでる。

 どうやら、この風景は結構一般的らしい。

 ちょっと焼き餅が焼けます。

 ねねちゃんや恋さんみたいな最良がない私たちには真似できませんし。


「・・・んん~、いいにおいがする~」

「ほんとですぅ~」「おいしそうなにおいです~」

「おなあへったのだーーー!」


 ひとかたまりで現れた桃香会長、朱里ちゃん、雛里ちゃん、鈴鈴ちゃんがフラフラと歩いてくる。

 一刀さんは自然なたち振る舞いで追加を準備してテーブルに並べた。


「えーっと、ご相伴に預かってもいいのかなぁ?」


 小首を傾げる桃香会長に、一刀さんは満面の笑みでうなずく。


『いっただきまーーーす!!』


 四者四様、というよりも、勢いだけは別で、一様にカキコみ始める。

 良いたべっぷりに満足そうな一刀さんでした。




~布宮恋「・・・・・」


 昼の配膳が終わった後、みんなでお昼を食べて休憩にはいった。

 私が出来ることは配膳ぐらいだけど、一刀はすごく助かるといってくれるのが嬉しかった。

 料理や食器洗いが出来ればいいのだけれど、私は不器用で上手く行かない。

 ねねは小さな体をいっぱいに使って手伝っているのに、チョット恥ずかしい気がする。


「向き不向きがありますから」


 ちょこっと撫でてくれながら何時も微笑んでくれる一刀は大好きだ。


 お客さんが集中するお昼と夕方の合間、木陰で昼寝している一刀に、ねねと一緒に寄り添った。

 暑いし汗もかくけど、でも、安心できる。そう思える。

 あんなに人見知りが激しかったねねも、一刀相手だと心を許すらしく、腕の中で寝てしまえるぐらいだ。

 そんな風にねねに安心をくれる一刀が大好きだ。


「・・・一刀、だいすき」「・・・だいすきですぞ」


 ささやくだけで心が温まる、そんなすてきな魔法が一刀にはかかっているのだろうと思う。

 だからみんな一刀が好きなんだろう。


「・・・ん、やっぱり大好き」

 私は彼の頬をついばんだ。




~北郷一刀「だいまんぞく!」


 いろいろあった一日だけど、朝から晩まで大満足でした。

 夜に語り合い、海で遊び、存分に料理をして。

 今まさに宴の時。

 ・・・あんまりお酒は飲ませてもらっていませんが。


「・・・・一刀はあんまり呑んじゃだめ」


 隣に座る恋からダメだし。


「そうですぞ、一刀。また乱行は困るのです」


 頬に両手を当てて真っ赤になったねね。

 その節はお世話になりました。


「・・・とはいえ、皆が呑んでいるのにおあずけでは、ねぇ?」「・・・そうですね、ええ、不公平といいますか」「あー、みんな怪しい目つき・・・・」「沙和だまれ」


 なぜか一升瓶片手に近づいてくる皆さん。

 えーっと、お酒呑んじゃいけないんですよね?


「いやいや、適量、適量」

「そうそう、適量ですよ」

『ふーっふっふっふっふ。』






 あーれ~。






~子雲 星「・・・ねっとりとした台風、再発」


~曹巍カリン「なんで私を呼ばなかったのよ!」


いかがでしたでしょうか? 南洋校舎第三生徒会ルート日常編。


お楽しみいただければ幸いです。


もう少し拠点を入れて、第一生徒会ルートをアップします。


おたのしみに。

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