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【プロットタイプ】幼少期は逃れられない

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


上手い回答が出来ない人間なので、感想欄閉じてます。

これは読者様の問題ではなく、私の問題。


詳しく知りたい方は代表作の『作品と作者の注意点』に書いてあります。


注意事項2

子供って逃げられないよね。

不登校になっちゃうのも必死の逃げ。

だけど、完全には逃げ切れないのは自分が子供だから。

大昔の事、其れは私が小学生の時の事、夏休み前に先生から言われた事がある。

――この曲で合格点取れなかったら、夏休みは無しよ。

音楽の教科書に乗っていた、『エーデル・ワイス』という曲。リコーダーで演奏して、合格点を取らないと駄目だった。

歌うのは好きだったけれども、楽器の演奏は不得意で、発表会になっても上手く演奏出来なかった。だから結果は不合格だった。その結果が辛くて、苦しくて、泣きながら音楽室を飛び出したのを覚えている。

学校に行きたく無かった。夏休みを潰してまで、音楽室まで行きたく無かった。だから私はその時の出来事から逃げた。一度たりとも音楽室に行く事は無かった。

夏休みが開けて、音楽の時間が再開した。先生は一言、二言小言を言ったけだけで、あの話は無かった事になった。

けれども……私はその時に痛感した。逃げられないのだと。嫌な事から逃げる為には死ぬしか無いのだと。


瑠衣と共に本やを訪れた。此処は店名の通り、時代を先取りした様な本が並んでいる。

所謂、アングラ系が多いのだ。江戸川乱歩や夢野久作の作品をコミカライズした様な、薄暗く、何処か気味の悪い作品。それでも一部のマニアが次々と手に取っていく。

その中で、こんなキャッチコピーが目に入った。

――大人は逃げられます。でも子供は逃げられません。

その言葉を見た時に、思わず息を飲んだ。過去の音楽の授業。あの時痛感した話を改めてアタマに流し込まれた気がしたから。

思わず手に取って表紙を眺めてしまう。耽美な淡い画風が、ただ閉ざされた箱の中の二人の子供達が、穏やかに瞼を閉ざしている。

「お前の高校の時の作風の様だ。薄気味悪くて気持ちが悪い。非常に生々しい」

隣で見ていた瑠衣が淡々とそう言った。言葉だけ聞き取ると痛烈な物言いをしている様に思えるが、声を聞くとそうでもない。『あれはあれで好きだ』と言いたげだった。

「あのさ……私、小学生の頃、先生との約束を破ったの。夏休み、リコーダーの補修があったんだけど、全部サボったの。行きたくなくて……。この帯と一緒」

「話を聞く限り、逃げられたように思えるが」

頭を振った。あれを逃げたとは言えない。逃げ切ったとは言い難い。

「夏休みの間、どうやって逃げるか考え続けてた。一人で電車に乗った事も無い。家出をするも祖母の家。バレたら両親に絶縁レベルで叱られる。先生が家に殴り込んで来たらどうしよう。だからずっと死ぬことばかり考えてた。

……逃げられなかったよ。あの苦しみからは絶対に。子供って全てを捨てて逃げられないんだって思った」

瑠衣は何時もの様に最後まで黙って聞いてくれていた。聞き終わると、黙って私の頭の上に手を乗せた。

「我儘とは言え、苦労の多い幼少期だな」

私の幼少期、音楽の授業でリコーダー試験があったんです。

それに合格しないと、夏休み無しよ。とは良く言われていました。


其れが本当に嫌で。冗談抜きで嫌で。大嫌いで。

なんで夏休みなのに学校行かなきゃ行けないんだ。

旅行も何処にも行けないじゃないか。

って思ってました。


子供なんですよ。

だから先生に相談して、『その日はちょっと……』とか『一日のうち、一時間だけね』とかそういう交渉とか、想像が浮かばない。

ずっと夜まで拘束されると思ってた。

で、行かないなら行かないで、先生が竹刀とか鉄ポール持って、殴り込むと思ってた。

両親の死体が転がる想像ばかりしてて、申し訳なくなっていた。


だから逃れる為に、絶対に学校には行きませんでした。

でも夏休み、蟠りとして残ってました。

ずっと不安だった。どれだけ楽しくても、すぐ不安が襲って来た。


其れから逃れる為には、首吊ったりとか、川に飛び込んだりとか、高所から飛び降りたりとか、するしか無いのかなって。

人生これが最後の思い出って言い聞かせながら、旅行いったな。


大人だったら、会社行かなくなって、そのまま縁切りだと思うんですけど。

子供なんですよ。何処へ行くにしても親の許可がいる。

先生の目が必要になる。


一人じゃこの世界から逃れられない。

だから不登校になってしまうのも、逃れる為の必死の抵抗なのかも知れないと思って振り返ってます。

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