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初恋は成就しないと言うけれど ◇私は仕事がしたいのです!番外編◇  作者: 渡 幸美


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14 トーマスの決意

それは、唐突に始まった。


「エマ嬢。私は君が好きだよ。私の唯一だと思っている。……婚約者にしたいのは、国の為だとでも思っていた?」

「……!だっ、だって、その……」

「ともかく私は、努力家で、家族思いで、友達思いで優しくて、しっかりしているのに時々やらかすエマ嬢が……可愛くて仕方ない。エマ嬢が聖女でも聖女じゃなくても、側にいて欲しいと願っているよ。……誰にも渡したくないんだ。愛している」

「!!っ、……で…」

「一生共に歩きたい。……改めて、私と婚約をしていただけますか?」

「……っ、はい」


ラインハルト殿下とエマ嬢の、教室を舞台にした一幕。


……俺は、人前でなんて無理だけど、こうやって素直に真っ直ぐに、きちんと伝えれば良かったんだな。


セレナの、自分の、子どもの頃の淡い気持ちだけに胡座をかいていた。

格好つけて、これだけ人望があるのだと、見せつけているような気分になっていた。


本当に何をしていたのだろう。誰を見ていたのだろう。自分が隣にいて欲しいと思っていたのは、誰だ。


盛り上がるクラスメート達の中で、セレナとローズマリーは涙ぐんでいる。……俺が、こんなで、嫌な思いをしているだろうに、友人の幸せを心から喜んでいる。

そう、ずっとそうだ。そういう女性だ。

俺への諫言も、俺の立場の心配と、周りの人への配慮で。俺は、そんな完璧な彼女が何だか悔しくて。


振り向いて欲しかったんだ。


あれだけ、見ていて貰えたのに。ますます、自分の愚かさに気づく。


……俺が離れれば、セレナには婚約希望者が殺到するだろう。他の奴がセレナの隣に?……自分は棚に上げてしまうが、嫌だ、絶対に嫌だ。


だったらどうする?……足掻くしかない。


自分勝手な言い分だと怒られるだろう。……拒否をされても否めないけど、もう、すがる!!


セレナからしたら迷惑であるだろう決意を、俺は固めた。





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