第十一話『体術最強』
理玖「安心しろ。殺してやるよ。苦しませてな。」
塩辛い透明な液体を眼から流し、そう叫ぶ。
それになる前三十分前。
俺は、
理玖「風葉大丈夫かなあ。」
そう心配した。何故心配するのか。それは、彼女が体術最弱。能力最弱だからである。
そのような事を考えていた矢先、突如地面が割れる。
そして、どんどんその割れ目は広がり、最終的に、俺の目の前で止まった。(と、止まった?)などと考えていると、割れ目に詰まっている瓦礫が、ナイフに変わり、それらの数は優に数百は超えていた。
[当たらなかった数約300本。]
[払う、若しくは避けた数約200本]
[突き刺さった数一本]
そして、その、突き刺さったナイフは、右眼の奥へ深く、深く突き刺さり、視神経当たりまで刺さっただろう。
勿論何も感じない訳もなく。
理玖「ぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎」
激痛が走り、絶叫する。もう片方の眼からは、涙が、溢れる。そして、突き刺さった眼からは、血涙を流す。
更に、集中できていなかった俺にビー玉が落ちてくる。左腕の付け根を貫通する。そして、恐る恐る下を見る。左腕が、落ちていた。また、
理玖「うがぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」
また激痛のあまり叫ぶ。そして、気絶しかけていた頃。
突如俺たちの館の窓が壊れて、風葉が血みどろで落ちて来た。
俺は怒りのあまり、気絶する直前でなんとか持ち堪える。
そして、更に俺の精神に苦痛を与える事実を見せられる。
雪華師匠のワンピースがおちていて、目の前の女性の拳には、血が、滴っていた。
俺は、身体に異変を感じ、その、異変に身を任せ、意識を任せる。
俺。“夜桜神夜”が、ここに顕現する。
―現在―
神夜「安心しろ。殺してやるよ。苦しませてな。」