第11話 橋の下のお家
俺は追放者という事で期間限定ではあるがレナと一緒に住む事になった。
正直宿代がかからないのは助かる。Fランクギルドは在籍した事はないけど、宿屋暮らしなんてランクに関係なくまともな生活できないからな。
まぁ……実入りが良い仕事ばかりしてても年中宿屋生活なんていずれ破綻するって事だ。
俺の経験上ギルドマスターってのは例外なく金持ちだ。名誉と地位。それにマスターと相応しい強さと判断された者にしかなれないある意味で憧れの的だ。
目の前でフンスフンスと鼻息荒い幼女が何故ギルドマスターになれたのかは知らないが、名前が3つあるのなら条件を満たしているのだろう。
たぶんレナの場合の偉業はファルシオンだろうな。
ヤン・キ伝説に記されてた神を殺した者に送られる称号か。
先祖が噂におひれを付けて代々継承された可能性が高いんだけど幼女がギルマスになれるのだから実際に神を殺したのだろう。
「ジェイ君、最初に言っておくけどわたしの家なんだから少なくとも我が家ではわたしの言う事には従う事!いいかねえ?」
「勿論さ〜」
当たり前だ。レナは部屋をポンッと気前良く貸してくれるのだ。ある程度の言うことは聞こう。
炊事洗濯に始まり朝昼晩のちゃんこ鍋を作ろうじゃないか。
しかしそんな心配も無用だ。
商業街を通り過ぎて住宅街を過ぎる。
町の郊外に移動しているあたりかなりの大豪邸が予想される。この流れだと新キャラのメイドさんがいるな。
『本日よりジェイク様の身の回りのお世話をさせていただきます。まずは入浴ですので服を——失礼します』
『ちょ、ちょっと待てって! 一人で脱げるからさ……参っちゃうな〜』
本当に……参っちゃうな〜。
「ここがわたしの家【レナちゃんハウス】だよぉ〜」
「一人で食べれるって……仕方ないな〜。あーん」
「ジェイ君はわたしの家を食べる気なのかい? まあ、食べられなくはないと思うけど」
「——はっ!」
妄想に浸っている間に家に着いてしまったのか!?
ここは何処だ!?大豪邸なんて何処にもないぞ!
あるのは例えるなら三匹の子豚の長男と次男の家を足して2で割ったような家。木とその隙間に埋め込まれた藁がいい味出している。
「俺の部屋とか……なさそうだな」
雨風を凌げるだけマシと思う事にしよう。
「って、んな訳あるかぁ! レナはギルマスだろう! なんでこんな浮浪者みたいな場所に家を構えてんだよ! 橋の下だぞ橋の下!ギルドで寝てた方がマシじゃないか!」
「ギルドを家代わり、私的に使うのはご法度だよぉ。それに住めば都だぁ。不自由なんて何もないよぉ」
レナ飄々とした口調で扉を足でチョンと押した。
俺は唖然とした。
3匹の子豚ぐらいしか満足出来なさそうな外見とは裏腹に中は意外と広く煌びやかで埃ひとつ無いほどに清潔に保たれている。
「ふふふ、どうだねジェイ君?」
「ベッドもフカフカだぁ〜……流石はマスターレナ、このような邸宅に住まわせていただきこのジェイク、感激の極み」
レナにの前で片膝をつき頭を下げる。
「ひっひっふー、苦しゅうないからねぇ。この部屋にある物は好きに使って良いからねぇ〜」
レナは帽子をとり、髪をほどき櫛でとかし始めた。その際にチラチラとこちらを何度も見ている。
俺はどこまで気が回らないんだ。
こんな所が積もり積もって追放される原因になったのだといい加減気付くべきだ。
「あ、お着替え手伝いましょうか?えっと……衣類の入ってそうな場所は——っと」
「いやいやいや、ジェイ君はもう寝たまえよー。ベッドは適当に使っていいからぁ!着替えはジェイ君が眠った後にするからさぁ」
「はっはっはっ!遠慮なさるな。すべてこのジェイクにお任せあれ……下着類はここか!? ふむ、マスターレナ、本日のお召し物はゆるゆるゴムのくたびれたカボチャパンツでいかがでしょう?」
「あぎゃーー!!女の子の下着をそんな無造作にひろげて……ジェイ君はデリカシーを持ちたまえよー!」
最近街の至る所、橋の下などに不法なオンボロ建造物が建てられており、子供が出入りしていると報告を受けています( ̄^ ̄)ゞ
ギルド連盟が調査したところ近辺、特に建物内には強力な幻覚魔法がかけられており、侵入したときに限り危険度をB+と判定、近くにAランク冒険者を派遣して駆除しますので、住民の皆様、お子様には立ち入らないようご指導お願い致しますm(__)m
ギルド連盟
「……これ清書頼む」
「はいはい……はぁ、これって絶対あの変なギルドですよね? もう取り潰しちゃいましょうよ。今日も詐欺まがいのビラを回収したばかりですよ。しかも最近では『ミッフィーズ』なんて名乗って。あいつらヤバいですよ」
「……証拠を抑えてからだ。それにブクマも評価も貰えなければあの子供たちも飽きてやめるさ」




