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入れ替わりの先にある異世界 ~異種族と結婚するため、俺は冒険の旅に出る~  作者: 相馬アサ
第一部 似ても似つかぬ並行世界
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序章 相棒はドラゴンメイド 一話

一般的な異世界転移とは少し違うのですが、現代に産まれた青年が異世界で恋人探しをしながら、旅するお話となっています。


※2021年9月1日追記:本作にハーレム要素を期待して読む方がいらっしゃるようなので注意喚起です。

本作の主人公は異種族の女性との結婚を目標にしています。

数名の女性キャラクターが登場しますが、舞台が一夫一妻制の国かつ主人公は元日本人なので、その中から誰かを選ぶ形になります。

その過程でハーレム要素と受け取れる描写などが出てくる可能性はありますが、ハーレムエンドはありません。

貴重な時間を無駄にしないためにも、ハーレムエンド好きの方は別作品を読まれることをオススメします。

 俺が奇妙な夢を見る様になってから、どれほどの時間がたっただろう。恐らく、三年間は同種の夢を見続けている。

 夢の中で目覚めると、そこは必ず自分の部屋だ。例え旅行先のホテルで寝ていたとしても、夢の世界では自分の部屋で目が覚めるのだ。

 そしてそこには、俺そっくりの人物が待っている。名前はアキトと言うらしい。

 ちなみに俺の名前は春原秋人(すのはらあきひと)。19歳の大学生だ。

 俺は高校生の頃からこの夢の部屋で毎日のようにアキトと会い、彼と語り合う日々を送っていた。前の日の夢の続きを見ることは稀にあるらしいのだが、三年間も夢が連続した事例などあるだろうか?

 誰に言っても信じて貰えそうもないから、両親にだって話した事はない。

 さて、両親と言えば、最近は女っ気のなさを両親から心配されている。大学生にもなって彼女の一人だって出来たことがないからな。

 でもそれには理由があるんだ。何だか分かるか?

 俺がモテないから?

 違う。モテモテとは言わないが、モテなくはない。

 恋愛に興味がないから?

 それも違う。俺だって人並みに恋愛してみたいと思うことはあるぞ。

 その答えは実にシンプルだ。俺は人間に興味がない。

 これを伝えたら、両親はなんて言うだろうな。

 小説、漫画、アニメ、ゲーム。日本にある様々な創作物で頻繁に登場する存在。それは敵であることがほとんどだが、仲間として登場することもある。

 魔物、妖怪、モンスターなど、様々な呼ばれ方をする異形の生物。その中にも、たまに人型の生物がいたりするだろう?

 俺が人生で最初に買ってもらって遊んだRPGに登場した敵モンスターに、ハーピーというモンスターがいた。

 人間に鳥の翼と足が付いた女性型のモンスターだ。インターネットで調べてみると、ギリシャ神話に出てくる生物だと分かる。

 小学生だった当時の俺は、このハーピーに恋をしてしまったのだ。人と鳥が絶妙に混ざり合った美しい立ち姿に釘付けになったのを今でも覚えている。

 それからというもの、俺は女性型モンスターの虜になった。

 ハーピー以外にも、ラミアや人魚、蜘蛛女やアルラウネなど人間以外の女性に恋をした。

 先日、友人にどうして恋人を作ろうとしないのかと聞かれたのだが、人間には翼や尻尾がないだろうと大真面目に答えたらドン引きされたよ。


「……まあ、それが普通の反応だよね。人間なのに人間に興味がないなんて君くらいだと思うよ」

「うるせえ。どうせ俺は普通じゃありませんよ」

「はははっ。でもだからこそ、僕には都合がいいんだ」


 俺は今日も夢の中でアキトに会っていた。

 自分と同じ顔の人物と向き合って話すというのはとても違和感のある行為だと思うのだが、長く続けていくと意外と慣れるものだ。

 特にアキトは俺と顔は似ていても性格や喋り方は全く違う。彼は俺に比べて柔和で、それでいてどこか頼もしさを感じる。

 家が農家だと言っていたから、俺よりも少しだけ体格が良いのが理由かもしれないな。

 いつもは穏やかに笑っている事が多いアキトが、とても真剣な顔で俺に尋ねる。


「本当に……いいんだね?」

「ああ。お前が俺以上にこの世界に価値を見出したのなら、俺の代わりに人間の彼女を作って父さんと母さんを安心させてやってくれ」


 本当は価値を感じていないわけじゃない。でも、あえて言葉にすることで気持ちにけじめをつける。そうしなければ、この世界に――いや、家族と別れることに未練が残ってしまうからだ。

 俺の言葉を聞いて、アキトは申し訳なさそうに頭を下げた。


「すまない。ありがとう」

「気にするな。俺は自己犠牲の精神で言っているわけじゃない。俺は俺で、お前の世界に価値を感じているんだ」


 俺はこの夢の部屋のドアから外に出たことがない。この世界で寝ると、現実の俺は起きるシステムだ。

 そしてアキトはこの部屋のドアから入ってくる。つまり、部屋の隅にあるドアは彼の世界へと繋がっているのだ。

 アキトが言うには、俺と彼は遠く離れた並行世界の同一人物らしい。とは言っても、俺の住んでいる世界と彼が住んでいる世界は文化や文明などが全く違う世界らしい。彼が住んでいる国は日本ではなく、大陸にあるという。地形も国名も全く違う。そもそも同じ地球なのかどうかも怪しい。

 さらに驚いたのは魔法が存在する世界ということだ。こうやって並行世界の俺と夢の中で会話できるのも魔法の力ということだ。

 そして、俺が大学生になって少したった頃に、アキトは自分の真の目的を俺に打ち明けてきた。

 アキトの目的は俺の代わりに日本で暮らしたいというものだった。

 普通断るよな。

 アキトの世界はいまだ争いの絶えない世界らしく、彼の両親も既に亡くなっているらしい。つまり、彼と入れ替わりで俺が彼の世界に行っても、もう両親には会えないということだ。

 いくらなんでも、家族を捨ててそんな危険な世界に飛び込んでいく気にはならない。

 俺は直ぐに断ろうと思ったのだが、部屋のドアが開いたのを見て、出かかっていた言葉が引っ込んだ。

 開け放たれた入り口から一人の女の子が入室してきたのだ。歳は俺よりも少し下くらいの、美人だが硬い印象を受ける鋭い目つきの女の子だ。

 俺は彼女を見て、心臓を鷲掴みにされたかと思うほど驚いた。彼女の頭には二本の角が生えていたのだ。

 それだけではない。両腕には翠色の美しい鱗と鋭い爪、極めつけにトカゲのような尻尾が生えていた。

 夢にまで見た人間ではない女性が目の前にいた。いや、夢なのだが。

 アキトの話では俺と彼の世界を魔法で繋いでくれていたのはこの女の子だったらしく、彼の世界には彼女のような竜人と呼ばれる種族の他にもたくさんの種族がいるらしい。

 全く、最高な世界じゃないか。

 俺は直ぐにアキトとの入れ替わりを承諾し、彼と入れ替わる際の準備に取り掛かった。

 そりゃ、両親と会えなくなるのは辛いし、争いの絶えない世界は怖いけれど、アキトの世界には俺の世界にはない可能性がある。

 俺が人間の女性と結ばれることは一生ないだろう。だが、アキトの世界なら、人間以外の女性と出会い、結ばれることが出来るかもしれないのだ。

 俺はアキトが俺と入れ替わっても大学生活が送れる様に、スマホやらパソコンやらの使い方を教えることにした。それと、知り合いの写真を撮ってきて名前や関係を覚えさせるなんてこともした。

 これで安心だと思えるレベルまで到達させるのに数か月かかってしまったのは誤算だったな。もともと言葉と文字は同じだったので助かったが、日本の歴史をこれまでの三年間でアキトに話していなかったら、もっと時間がかかっていただろう。

 逆に俺は覚えることが少なかった。

 なぜなら、俺はアキトの世界に行ったら旅に出る予定だからだ。人間以外の種族がいるとは言ってもアキトが暮らしている国の八割以上が人間らしいからな。人間以外の種族は他国や地方の村でまとまって暮らしていることが多いらしい。

 それなら俺は国中を渡り歩いて好みの女の子を見つけ、結婚して幸せな家庭を築くつもりだ。アキトの人間関係などを教わってもあまり意味がないのである。


「では、行きましょう」

「お、おう」


 竜人の女の子が俺に手を差し出したので、俺は緊張しながら彼女の手を握る。トカゲのように冷たいかと思ったが、人間と同じで暖かい手だった。

 俺は振り返って、ベッドに腰かけていたアキトに最後の言葉を贈る。


「じゃあな。父さんと母さんをよろしく頼む」

「約束する。それと君が素晴らしい女性に会えることを祈っているよ」


 こうして俺は、アキトと入れ替わった先の異世界で生活することとなった。

いざ、異世界へ!


秋人は危険に満ちた異世界へ、ウキウキで旅立ちました。

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