お面と真実と運命と(肆)
書けました〜
「囲まれた…か。何が目的だ⁈」
…答えない…か。
切っ先を向けて斬り込んできた相手を一撃で仕留める。
今度は倒れて、動かなくなった。
「ちゃぁんと被ったみたいだな。」
さて、この大人数からの歓迎を1人で受けきるのには無理がある。
どうするかな。
…ん?
風が吹いた。
パッと鮮やかに紅の吹雪が舞った。
「待たせたな。ケン坊。さっさと片付けるぞ。」
「おう!」
***
「紅葉は寝ちまったかぁ…。」
すやすやと規則正しい寝息を立てている。これじゃあ腕に畳の跡がつくわ、面の跡がつくわ、だな。痛みで悲鳴上げそうだからなんとかしてやるか。
「紅葉…と言うのか。…ありがとうな。」
兄上は優しく丸い頭を撫でて始めた。
…なんとなく悔しい。
「兄上、容態は如何程に?」
すっと目を細めて、一言。
「大丈夫だ。」
…眩しい笑顔だ。
はいはい良かったですね。
「さて、紅葉。失礼するぞ。」
久々に再会した幼馴染の体を持ち上げる。
ふにゃりと力の抜けた彼女はお世辞にも軽いとは言えない。
片手で支えて、なんて器用な真似は無理だな。
「この子の面、俺が外してやる。」
答えを聞く間も待たず、すっと綺麗な手が伸び、滑らかな手つきで外していく。
不謹慎ながら、
…お似合いだ。
兄上と紅葉は並んで、
互いに微笑んでいて欲しい。
無論、運命を曲げることはできない。
分かっている。でも。
少しくらい良いじゃないか。
紅葉はきっと教わっていない。
それがなんとも不憫だ。
彼女のことなんて考えない、あのじじいが許せない。
己の保身ばかり考えていて。
犠牲になる側の気持ちなんて一切無視だ。
あんまりだ。
彼女の何が悪いと言うのだろうか?
呼びかける声で現実に戻った。
「俺の怪我はどのようにしてこんなにも早く治ったのか、ケン坊。説明してくれないか?」
…すぅ、と息を飲み込んだ。
紅葉ちゃんの能力について先延ばしに延ばしてる僕がいる…((((;゜Д゜)))))))