悪夢な始まり
初投稿です。拙いですが読んで頂ければ幸いです。
微笑んだ。優しく。柔らかに。
こんな、暗い、重い、雲に覆われた空の下で。
それは俺を安心させる為だ。分かっている。
きっと、一番怖いのは彼女の方だ。
白くて細い指先が震えている。
本当は、本当は、俺が今すぐ駆け寄ってって
慰めるべきなんだ。
分かってるよ!
でも恐怖で竦んだ足が思うように動かないんだ。
情けない。
彼女は普通に生まれてきた。
素直で、誠実で、謙虚で、優しくて。
良い子なのだ。
だったら、何故、
彼女にはこんな終焉しか許されていないのだろう。
ただ瞳の色が紅かったというだけなのに。
「そんな顔しないで。私はね、私の幸せを守りに行くの。」
声が震えている。
「だって、紅葉は…っ!」
「貴方が幸せなら私は幸せ。だから、私のことなんて忘れて。」
「…っ!」
「いつか、また、きっと、会えるから。ね?」
悲しくなるほど綺麗な笑みだった―
***
「んぁあっ⁈」
眼が…覚めたらしい。何時も通りの天井の木目がこちらを見下ろしている。
「夢…か。」
でも。
あの女性を俺はよく知っている気がした。あの景色を見たことがある気がした。もしかしたら夢なんかじゃなくて、
「俺の体験した過去、なのか?」
筆が進み次第続き書きます。m(__)m