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一輪の花  作者: 雨井蛙
一章 偽りのマリー
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Ending√α あの日の答え

 アルストロメリアの《世界つむぎ》で元の世界に帰る。マリーがメイド達と過ごした元の世界だ。


「んじゃあ、オレはここで行くとしよう」


 王宮の門前でアルストロメリアはお別れを言う。


「なんで? 一緒に来てよ」


「オレは世界に愛されてねぇんだよ。そう言う性分だと思ってくれ」


 様々な世界、様々な時間を渡れるアルストロメリアにとって、一つの世界に留まるという。その世界に対する愛着心はとうの昔になくなっていたのだ。


 アルストロメリアはそういうとそのままどこかの世界に行ってしまった。別れの最後に彼女はこう言った。


「まあ、用が合ったら呼んでくれや。その妹なんだし、助けになるぜ。お、お姉ちゃん……」


 ◇


 マリーは王宮に帰ると暫くぶりのメイドたちと再会した。


「あら、マリー様。今日はお早いのですね。まあ! そのティアラ! お可愛いこと!」


 マリーのその頭には王たる証の黄金のティアラがあった。それはアマリリスの想いの詰まったティアラである。


「いいでしょ! どうよ、お姫様らしくなったでしょ!」


 その誇らしげ言うその姿はどこかアマリリスを連想させた。


 いつもの俗事のルートを辿って床に就く。


「明日は玉座の方に行ってみようかしら?座ってみたかったのよね。玉座」


 なんて浮かれているとドタドタと騒がしい音が聞こえてきた。


「何かあったのかしら?」


(はて、今日は何日だっけか)


 いつもは図書館に行っていたマリーはアルストロメリアのきまぐれによりこの日に飛ばされたのだ。


「嫌な、予感……」


 そう呟くと、ゆっくりと自室の扉が開けられた。

 そこに立ってるのは自分。

 あのとき、図書館から帰ってきた自分である。


「あの――」


 そのもう一人のマリーが床に就いたマリーに話しかけようとすると、もう一人のマリーは光が散っていくように消えていった。


「あのとき見たのは確かに私だったか!てか、これ全部アルストロメリアのせいだから!絶対、叱ってやるんだから!」



 《正当なる観測者の権限》、もとはアマリリスが世界を跨またぐために創った《想いの力》であったが、転生のさいのショックで〈本人の意思に関係なく勝手に〉世界を跨またいでしまう力になっていた。


 もう一人のマリーが消えていったのはこの力のせいである。


 メイドたちが騒がしい。

 説明するのが面倒になった私はそのまま布団の中に潜った。久々の休息ですぐに寝てしまったのだった。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とても面白い作品に出会ってしまいました。 想いの力の設定が興味深いですし、話の筋に密接していることについてもオリジナリティーを感じます。 第一章までの感想ですが、難しい構成だったと思います…
2020/04/05 04:34 退会済み
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