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悪役令嬢シリーズ

悪役令嬢は、恋をしたい。

作者: 平樹美莉

前作の短編に続き、悪役令嬢ものです!

よろしくお願いします。

 私はエリザヴェータ、16歳。親しい人には、リーザと呼ばれている。


 輝くような銀の髪に、猫のような大きいけど少しつり目な青い瞳。でるところはちゃんと出てる、ナイスバディ。

 自分で言うのもなんだけど、ものすごい美少女よ。

 もちろん、公爵家令嬢にして、第1王子の婚約者。コレ、鉄板ね。

 どんなに恵まれた環境に生まれても、素晴らしい容姿に生まれても、全て無駄!勿体ない!

 だって、私は悪役令嬢ですから。


 ここは乙女ゲームの世界。

 ―――何で知ってるかって?

 それは台本があるから。

 紙の台本じゃないわよ。生まれた時から、頭の中に台本があるの。

 強く思い浮かべると、シナリオの筋道が見えてくる。


 この世界では、生まれた時から皆、シナリオ通りに、その大筋に沿ってしか動けないようになっている。

 誰が私の頭にこんなものを植え付けたのかしら!


 自分で言うのも何だけど、私の性格は本当はそこまで悪くないのよ。

 素直でまっすぐ、裏表のない明るい性格。

 ちょっと自分の気持ちに馬鹿正直すぎるけど、第1王子の婚約者だから、そこら辺、教育により、ちゃんと隠して生きているわよ。

 ただ、ヒロインへの嫉妬心は、その性格の悪い面から出てきたものという設定らしい。

 私も頭ではヒロインをいじめたらどうなるかくらい分かってるし、裏でコソコソいじめたくない!

 正面からぶつかっていく方が、私らしいのに!

 でも、いじめろと私の台本にあるんだから、仕方ないじゃないの。

 これ、ある意味、私へのいじめだよね……。

 結末は何パターンかあるけれど、大体、私は修道院に行くか、国外追放とかになるらしい。


 ―――これがこの世界、エカテリーナが主人公の『虹の彼方〜リーナの真実の愛の物語』



 私だって、本当はヒロインになって、真実の愛とやらを見つける人生を歩みたかった。

 でも仕方ないじゃない?

 そういう台本なんだから。


 シナリオは大筋はあるけど、細かい設定はないらしい。

 それなら、大筋にのりながら、私は片隅で真実の愛をこっそり探してもいいかしら?


 ちゃんと王子様の婚約者として、ヒロインをいじめて、王子様を束縛する演技はするから。

 こうみえても、私、演技力あるのよ。


 そうと決まれば、私の相手を見つけなくっちゃ。

 シナリオに影響を与えないポジションの、私だけを愛してくれる誰か。


 ……と思ったら、近くにいいのがいるじゃない(ムフフ)


 私の王宮から派遣されている護衛騎士。

 顔は近衛騎士なだけあって、それなりに整っているけど、所詮脇役。いかんせん地味。


 でも、私は知っている。彼が休憩中、中庭で木から降りれなくなった猫を助けてあげたり、重い荷物を持った人がいたら、業務に差し障りのない程度に助けてあげたり、私が落ち込んでいたら、さりげなく甘いものをくれたり、彼が優しい人間であるということを。


 惚れるなら、顔じゃない!

 優しくて、誠実なのが一番!


「あなた、今から私に惚れなさい!」


 2人きりの時を見計らって、思い切って声をかける。

 ああ、何故に命令口調……これも悪役令嬢の(さが)かしら。もちろん、なぜか手は腰。

 だって仕方ないじゃない、例えストーリーの脇道でも、私は悪役令嬢なんだから。


「えっ!」


 彼の顔が強張った。


「む、無理です」


 ―――ガーン!!!


 即答ですか、はい。

 世の中、甘くないよね。

 どんなに素晴らしい容姿でも、こんな可愛くない性格の私なんて、好きにならないわよね……


 私の初めての恋は速攻振られたわ。

 真実の愛って、なんて難しいのかしら。


 ――――――――


「む、無理です」


 だって、俺はずっと貴女に惚れてるから。

 それは、生まれた時からの定め。


 彼女の顔が、見る見る間に落胆に沈む。

 なんて分かりやすいんだろう。そこがリーザの可愛いところだけど……


 俺の台本では、俺は貴女に身分的にも立場的にも一方的に報われない片思いをして、思い余って、婚約破棄後、馬車で修道院に移送される貴女を奪い、国外に連れ去るということになっている。


 だから、悪いが今はリーザの想いには答えられないよ。

 両思いだったら、()()()()連れ去ることができないだろ?


 ちなみに、俺はずっとリーザの近くにいたよ。

 地味だから気が付いていないのか、子供だったから覚えていないのか分からないけど。


 俺は4歳年上のリーザの兄とスクールの同級生で、彼女が6歳の頃から、結構公爵家に遊びに行っていた。

 ―――そこで俺は天使に出会ったと思った。

 台本効果もあるんだろうけど、俺のリーザへの執着は正式にはここから始まる。

 一生懸命兄について回る貴女の相手もしてあげたんだけど、きっとリーザは覚えていないんだろうな。

 その頃から、まっすぐ素直で明るくて、俺もいろいろ悩んでいた時期だったから、俺がどんなに救われたことか。


 そうそう、貴女は自分で演技力があると思っているみたいだけど、かなり下手くそだから。

 リーザにとって、表向きはバッドエンドになってもらわないといけないから、今はとにかく我慢だ。


 でも、その後、俺たちは台本から晴れて自由!

 俺とリーザで、真実の愛の物語を紡ごう。


 ―――だから、もう少し我慢してな、俺の愛するリーザ。

読んでくださり、ありがとうございました!


男主人公、乙女ゲームで名前のない存在だったので、敢えて最後まで名前を出しませんでした(^_^;)

想像にお任せします(笑)

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