(98)丸焼き
人間、空腹に苛まれれば何でも食らう。七面鳥[ターキー]やニワトリ[チキン]の丸焼きは美味しいが、腹が極端に空いていて知らなければ、カラスの丸焼きだって、「こりゃ、美味いやっ!」などと言いながらカブリつくかも知れないのである。^^ いや、そればかりではない。加えて、「チキンじゃないなっ! 鴨肉かいっ!?」なんてことを訊くかも知れない。^^ 訊かれた方も、「えっ!? ああ、まあそんなとこ…」などと適当に誤魔化してしまえぱ、話は、なおいっそう面白くなる訳だ。^^
だが、この丸焼きに似通った諸々(もろもろ)の出来事が日常の我々の世界でも起きているのである。
とある普通家庭の夕暮れどきである。キッチン・テーブル前のテレビがガナっている。
『なお、この受注で大手ホニャララは下請け会社ドコソコに工事を丸投げし、自らは何の関与も示さず…』
「ほぉ~~! 丸焼きじゃなく丸投げかっ! 美味そうな話じゃないか…。おいっ! この唐揚げ、美味いなっ!」
主人は丸焼きではない唐揚げを美味そうに頬張りながら、丸投げされたテレビニュースの画面を眺めた。
「そりゃ、そうよっ! 美味しそうな揚げたてを買ったんだからっ!」
「ああ、そうか…。ホニャララは挙げられたか…」
「揚げられたじゃないのっ! 揚げたてっ!!」
「んっ! ああ…。どうも丸投げと丸焼きは似てるな…」
主人は、ボソッと呟いた。
「なんか言ったっ!?」
「いや…」
このような丸焼き話は他にも多くある訳だが、火付け盗賊改め方が活躍するような事件でなければ助かる話である。^^
完




