(93)動機
物事に変化が生じるには動機が存在する。動機がなければ物事は起こらず、何の変化もない。この動機は直接、目に見えない心の動きである。汚い話ながら、生理現象でプゥ~~! っと、おならを漏らしたとしよう。^^ 音がすればまだ分かるが、嫌な臭いだけなら、誰が漏らしたのか分からない。もちろん、見えないからだが、この見えない動機こそが一番の曲者だ。通り魔事件とかいう説明のつかない事件が起こるが、行為者というより犯人は動機なのだから、人には捕らえようもなく、実は厄介なのだ。一応、犯行に及んだ者を、捕らえたっ! くらいの結果に終始し、真犯人である動機は巧妙に逃れているのである。^^ まあ、一目惚れの動機が何なのか? までは分からないようなものだろう。^^
とある家庭内での話である。
「戸棚に入れておいた昨日の月見団子、一つ足りないぞっ! お前が食ったのかっ!」
「知らないわよっ! お団子が一人で歩いて散歩にでも行ったんでしょ!」
「そんな馬鹿な話があるかっ!」
するとそこへ、離れからご隠居が現れた。
「団子? ああ、それなら儂が食った。腹が減ってたんでな…」
「なんだ! 父さんでしたか。ははは…」
息子は青菜に塩で、それまでの威厳はどこへやら、萎えて愛想笑いした。
「小さいわね…」
妻は、たった一つくらいで…という気分で呟いた。
「すまんなっ!」
「いいえっ! まだ、こんなにありますから…」
いい動機でコトが進行する場合は大いに助かるが、悪い動機は、不意に襲ってきて助からなくなるから始末が悪い。^^
完




